えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

はるとゆき、の感想(ネコルート)

=ネコルート=

これからもずーっとここにいたいといネコ.

 

~第六話 ネコと、夜。~

トキに話したネコの未練.それは自由に,思うように生きたい.

本当にそれが未練なら,日々を過ごすことが未練の解消かあ.死んでもなお日々を過ごすことが一歩ずつ死に近づくことっていうのは面白いなあ.そして死んだように生きていた生前と,生き生きと死んでいる今.

そして日々をまだ過ごしているということは未練が解消されていないということで,ということは自由に生きていないということになる...

 

ー1ー

刺された日以来よく甘えてくるようになったネコ.

ある日の夜,遊ぼうとネコに言われて,初めてネコの部屋に行く.死んだゆえに制限が多いはずなのに,それでも自由を謳歌しているかのようなネコの発言は春斗にはネコの生前に自由がなかったのかのように聞こえてしまう.

なついてくるのは同族意識を感じるから.この旅館で死んでいると感じるのは目の前で刺されたが無事だった春斗だけ.そう言われた.

触れ合いが増える中,春斗はネコを異性として意識し始める.ネコはこの気持ちが気まぐれじゃない前からのものだと伝える.そして唇を重ねた二人.そしてH.

展開はやくなーい...?まあ死んでるからいいか.

 

~第七話 口調と、ゴシック。~

ー1ー

ネコは野良猫を見て,生前たった一つのことを強要させられていた時のことを思い出す.母親から強要されるレッスン.窓の外の自由な野良猫に憧れる日々.

だから美しい音色の子なのかなー.

 

今日の予約外のお客様は厨二病のゴシック服の女性...デザイナーであるこの女性の未練は作り損ねた服を作りたい.そして来てほしい.

服を着るのはネコ.

 

旋太郎から,あまり入れ込み過ぎるといつか必ず来る別れが辛くなると忠告される.

 

ー2ー

しばらくして服が完成した.

おかえりになられたお客様.関わりが多かったネコはどこか悲しそうであった.

 

夜,春斗にお客様の話をするネコ.なにより,ネコが喜んでくれたのが嬉しかったと言っていたこと.あの口調は自分の世界観を固めるために,気分を盛り上げるために使っていたことなどなど.

ではネコの口調はどうしてなのだろう.そういう疑問が湧き出る.

 

毎日が幸せで,ずっとこんな毎日が続けばいいというネコ.

 

~第八話 ネコと、美音子。~

ー1ー

今日の予約は一組だけ.

そのお客様はネコの生前のファンであった.橙花の名前を使ってまで嘘をつくネコ.しかしその嘘は明らかにバレバレ.

ネコから夜にこのことを話すと言われた.

 

阿久津美音子とネコ.全くの別人であるから,ネコはやめて阿久津美音子として話す.いつもと違う声色,口調はまるで二重人格であった.

ヴァイオリニストだった美音子.CDも出して,コンサートも何度も開くほどの人気だった.母の厳しい訓練を受けて嫌々演奏していたダメな演奏者と自分のことを語る.プロを目指していた最中,事故にあい二度とヴァイオリンが弾けなくなった母は,自分の娘である美音子に自分の夢を押し付けた.それでも生まれて以来ヴァイオリンしかしてこなかった美音子にそこから逃げ出すということもできなかった.そんなある日,病気にかかり,入院し,休止し,そしてそのまま亡くなっていった.そしてヴァイオリンのない自分に何ができるのか知りたい,自由に生きたいという未練を抱いたままこの宿に来た.

 

ー2ー

幸運なことにお客様はファンならばとネコのことを優先して黙ってくれるようだった.

 

~第九話 座布団と、やきもち。~

ー1ー

amazonからネコの荷物が届いた.

ネコの荷物は春斗の部屋に置く座布団.「私がどこかに行ってしまったとしても,おにーさんの部屋に私の場所がある,これがここにある限りいつでもここに戻ってくるという証明だぞ」とまるでもういなくなるかのような悲しいことを言う.

 

ー2ー

今日はお客様は0.みんなで飲み会を開く.楽しい飲み会.ホッケ食べたい.

 

夜中,旋太郎のもとにご予約の電話.お名前はアクネヒロシ.予約は2名.

 

~第十話 家族と、雪だるま。~

ー1ー

予約外のお客様,父母と娘さん.予約外の担当はネコ.いつもより気合の入っているネコ.

ネコが聞いてきたところによるとあの一家は借金の末の心中らしい.未練は働いてばかりで娘さんをどこにも連れて行ってあげられなかったこと.最後の家族旅行.3人そろって雪だるまを作っていた.

それを聞いて羨ましいと思ったネコ.それほどまでに両親に気にかけられていたから.道具だった美音子とは違って...

楽しそうな娘さんと両親を見ていると涙が...本筋と関係ないところの方が胸に来るぞ.

 

いつも以上に率先して,その家族の仕事をするネコを見ていると今日は来ないのかと思っていたが,夜中にやってきた.あの親子をみているといつの間にか自分の母親のことを思い出してしまって,そのごまかしと言って甘えてくる.

まさかネコの親類なわけあるまいと思ったが,念のためネコにご予約のお客様の名前について伝える.ネコの様子が変わる.もう一人のお客様の名前までも知っていた美音子は私の両親ですと呟いた.

 

~第十一話 美音子と、未練。~

ー1ー

起きるといつも通りのネコに戻っていた.

 

昨日のご家族はたまたまネコが清掃しているときにお帰りになられた.ネコにお礼をいって3名様はそろってお帰りになられた.

いくら幸せそうと言ったって,この両親はクズと思いますけどね.未成年までにいくら意思決定を任せられないといったって,その生死を決めたり,未来のすべてを決める権利はないでしょう.そういう意味で美音子の両親とやってることは変わらないでしょう.

 

昼休み,ネコと雪だるまを見に行く.あの家族を気にかけていたのは,あんなふうに自分にも両親が好きだった時があったのだろうと思うと胸が苦しくなるからだと,雪だるまを見ながらネコは言う.そして今も.

美音子はそのまま話を続ける.別に自分は両親を嫌っているわけではないこと.しかし両親はきっと実の娘に嫌われながら死なれてしまったと思っている.それは両親に「もっと自由に生きたかった」と言ったから.

意識も朦朧とした状態で,母はまたヴァイオリンを聞かせてと懇願してきた.それが励ましであるのは朦朧とした意識の中でもわかった.それでもその言葉が腹立たしかった.だからそう最後の言葉を言った.それを聞いた母の言葉は絶望に満ちた顔であった.あの家族の娘さんのように,家族が好きなままならそんなことは...そう思ってしまう美音子.

春斗は本当の未練について聞かずにはいられなかった.それでも美音子は未練は自由に生きたいことという.もちろんもやもやはあるが,春斗に触れるとそれはすぐに消えてしまうから.未練のはずがないと.

ネコは3つの雪だるまをひと時も話さないように日陰に移動するのを手伝ってほしいという.

 

夜,ネコはもやもやが止まらないから抱いてくれと尋ねて来た.何も考えられなくなるくらい春斗でいっぱいにしてほしいと.

 

行為の後,ネコの頭に繰り返しよぎるのは,真実ではあるが真意ではない「もっと自由に生きたかった」という言葉.

 

~第十二話 親と、娘。~

ー1ー

アクネさんが来る今日にお休みをもらっていたネコ.トキも春斗ももやもやが残る.きっとネコが休んだのは,元気な自分を見せて期待をさせたくないからだと思って.

 

やってきたのはネコによく似た女性とその夫の男性.

意を決してネコにこのことを伝えに行く.

説得する春斗と言い返す美音子.操り人形を求めていた母は自分なんかを求めていないという美音子は春斗までも拒絶する.

 

旅館にいたネコの母は働く泣きの若さを見て娘のことを口に出す.大切な娘だと.そして美音子の言葉に後悔し続けていることも.

その話を聞いていたトキさんたち.春斗は今日残りを休みにしてもらう.今は未練が解消された先のことは考えない.

 

再びネコに会いに行く.察するネコ.美音子に美音子の母が,美音子の最期の言葉をずっと引きずっていることを伝える.美音子が演奏が好きだと勘違いしていたことを後悔していることを.そして何より,美音子の後悔を消すために,会ってほしいことを.

図星をつかれたかのように怒り,自分の部屋に帰る美音子に春斗はただ未練を解消してほしいと願う.未練を叶えられない春斗だからこそ.

これ美音子としての未練は解消されたけど,ネコのはまだだよー的なので残るエンドなのかな?できない私が繰り返すの作者さんだからそんなことはないと信じたい.

 

部屋に帰った美音子は過去を思い返す.胸に手を当てるまでもなく未練は明白だった.そして部屋の片づけを始めた.

 

夜,ある部屋に向かう美音子.トキに仕事をやめることを願い入れる.そしてそのために必要なものをお願いする.

 

~第十三話 美音子と、別れ。~

ー1ー

朝,トキさんから阿久根夫妻の引き留めを依頼される.その理由は美音子から伝えられた.自分の本当の未練は顔を見せなくても叶えられることも.

母に,演奏を聞かせたい.最後にされた「またあなたのヴァイオリンを聞かせて」というお願いを叶えてあげたい.

 

ネコとの離別のために頭を下げる春斗.

制限時間は11時.残り2時間.

ヴァイオリンは余裕をもって間に合った.まるで別れが運命かのような都合のよさ.

 

宴会場へと呼ばれた夫妻.美音子は姿を現さないが,その声で母だけはすぐに気づいた.ただ後ろに向くようにお願いをする声に従う二人.

絶対にこっちを振り向かないように,そう言って,美音子のそっくりさんだけど性格がすこし違って,演奏が少し下手なネコが美音子の言葉を伝えていく.美音子が抱いていた後悔.本当の気持ちを.

美音子はヴァイオリンが大嫌いだった.厳しい練習も嫌いで,それを強いる母も嫌いだった.それでも逃げられなかった.父も庇ってくれなかった.そして死ぬ前に伝えたもっと自由に生きたいという言葉は本心だったが,あのタイミングで言うべきではなかったこと.それが自分の母を悲しませた後悔になっていること.でも本心だからこそ取り消しはできないから,母の悲しみを上書きしたいと伝える.ヴァイオリンは嫌いだったけど,お母さんを悲しませた自分はもっと嫌いだから.

演奏を始める美音子.二人のためだけのコンサート.本人は好きじゃないと言っていたが,その演奏する姿は本当に両親のことが好きでたまらないように見えた.

演奏が終わり,会わせてくれと懇願するネコの母.しかし約束は約束.

 

憑き物が取れたかのようなネコ.それは二人の別れを象徴する表情.

 

~第十四話 春と、猫。~

ー1ー

残された時間は10時間程度.

ネコの希望で宴会はなし.個別に挨拶をするという.代わりに一つお願い.春斗を一日貸してほしい.

 

二人はみんなにお別れを伝えに行く.

旋太郎から聞いた生まれ変わりの話.次は猫として春斗のもとに帰ってきて,その次はまた女性として春斗のもとに帰ってきたいなどと話をする.

そうかあ...初めてできた友達や仲間なんだもんなあ…そしてトキが母で,まことが父で,橙花が姉で,旋太郎が兄で,春斗が恋人で.

 

そして残された時間は二人で過ごす.二人になって初めて悲しげな顔をするネコ.まだまだ離れたくないと叶えることのできない本心をこぼす.みんなと,春斗と離れたくないという未練のために成仏できないなんて未来が来ないかとありもしない可能性をこぼす.

ただ何もせずに二人で引っ付いて過ごす.ネコとして生まれてからの思い出を話す.そしてその話が現代にいたるころにはすっかり暗くなっていた.

薄くなるネコは最後にお礼を伝えていない相手にお礼を伝える.ふたりは今度会ったときの話をする.

消えゆくネコは最期の言葉を口にする.「この旅館での毎日が楽しかったのは春斗さんのおかげ,春斗がいたからこそネコでいられた.なんだかんだいろんなことに付き合ってくれる春斗さんが大好きでした.本当にありがとうございました.同化また会える時が来たら,その時もまた甘えさせてください.大好きだにゃあ」

 

手持無沙汰になり旅館に戻ると,ネコの両親は仕事も休んで延泊していた.ネコさんに会えるかという願いに,もういないという真実を話す.気ままな野良猫は他のところへ行ったと.

 

~エピローグ~

猫がいなくなって9度目の春.ネコの部屋はずっと空けてもらっていた.

 

ある日,休みをもらっていつものように掃除をしようとするとそこにはあの少女の顔が一瞬見えた.そこにいたのは一匹の子猫.ネコの使っていた座布団を我が物顔で使っている.あの時の約束.

わかっていたENDとはいえ,最後は泣いてしまった...家族モノももちろん,こういう因縁ものも弱いんですよ...

 

うーん,なんというか春斗の感情の起伏がなさすぎて感情移入できなかった...まああとは3人家族の死因が心中っていうのも...

それでも胸が締め付けられるのは多かった!

つづく.

 

はるとゆき、の感想(共通,ノーマルルート)

=共通=

~第一話 冬と、旅館『ゆき』~

ー1ー

旅館ゆきで働く番頭の春斗.後輩の新庄傘,女将の鬼首トキさん,仲居のネコこと阿久根美音子,同じく仲居のヨシエさん,仲居頭の長沢橙花,板前の赤倉小羽,板長のまことさん.

ここは生者も死者も訪れる旅館.生きていても死んでいても同じように過ごす.そしてもう一つの変わった点,それは従業員がコスプレをすること.それは亡くなったお客様の服装が浮かないようにするため.従業員も生きたものと死んだ者が混じっている.

亡くなったお客様を成仏させるそれがこの旅館の存在意義.そのために未練を解消させる.

すでに北浦さんの未練の話で涙が止まらない.自分の死を自覚するってどんな気持ちなんだろう.任意の人間が不可能だもんなあ.自然の摂理に反して,寿命などの順番を反故にして,愛する人を残して逝くってどんな気持ちなんだろう.知りたくもないけど,北浦さんの話だけでこんなに胸が締め付けられるしなあ.他の作品でも見てて辛いし.

これから春斗たち,死んだまま働いている人たちの未練に関する話が紡がれるのかなあ.北浦さんのように簡単にって言うと悪いけど,簡単に成仏できなかった,それこそ何十年もこの世にとどまるほどの未練があるのかと思うとそれだけで胸が詰まる...

自分が今死んだとしたら残る未練ってなんだろうなあ.

OP好き.

 

ー第二話 逝く人と、来る人ー

ー1ー

小羽と傘は学校に行っているということは亡くなっていないのかな?なんか傘と小羽のネクタイ違うかったけど.

 

同僚の旋太郎の登場.

 

死んだ者は怪我をしてもすぐに治るらしい.

 

ヨシエさんもまことさんも亡くなっている.

 

予約客の最上咲奈様がお越しになる.

どうも春斗のこと知ってそうだなあ...そして10年ここで働いているのにまだまだ若い面立ちのの春斗は...

 

そして同じ日に来たお客様はヨシエさんの娘さん.ヨシエさんの退職.蒙古の話だけで涙止まらない...死んでから3年.ようやく叶った未練.北浦さんが感じていたような不快感を3年もずっと感じていたのかあ…よかったね...猶予は5日程度.働いた時間に比例した時間.

地で死こそ救いって感じだな...

 

橙花は外からの通いらしいけど,どういうことなんだろう?生きている人も働いていると思ってたけど,どうもみんな亡くなっているみたいだな…

 

ー2ー

咲奈が働かしてくれという.

え?やっぱり生きてる人でも働けるの…?

 

~第三話 お別れと、新入り。~

ー1ー

咲奈が住み込みで働くことに.

 

生きている人もどうも働けるっぽいな.それにしても死んだ人が働いている状況の説明とかはどうするんだ...傘と小羽は生きてるのかな.

 

無差別殺人犯が事故で死んだニュースを見る.来るのかなあ・・・

未練が人を殺したりなかった,とかだとどうするんだろう.

 

亡くなった谷地新右衛門が宿泊に来る.様もいらんだろう,こいつなら.未練は生死を賭けた真剣での戦い.

 

今日はささやかな宴会.ヨシエさんとのお別れの日.

ここで分岐かなあ...とりあえずノーマルエンドっぽい余った席にしとく...?

一人一人最期の言葉を交わす.

 

~第四話 休日と、動物。~

ー1ー

朝,新右衛門と決闘.破れた新右衛門は成仏する.

 

トキさんから休暇をもらう.

読んでいた漫画の作者がお客様がいらっしゃったと聞く.未練は最終回を書くこと.

 

ー2ー

お客様からのお願いはケモミミコスプレを資料に欲しいから見たい.

 

ー3ー

いつのまにか漫画家先生は成仏していた.残されていたのは原稿と最期の手紙.

 

~第五話 恨みと、騒ぎ。~

ー1ー

包丁が一本無くなっていたらしい.

そして現れる連続殺人犯.まあ来るよねえ...人質は傘.これが死んだ誰かなら何とかなったかもしれないのに...

要求は殺したい相手を呼ぶこと.電話を掛けろという要求に傘は応えない.殺人犯が酸に包丁を振りかざすと同時に春斗は身を挺して傘を守る.もう死ななくても燃えるような痛みはある.死なない春斗に狼狽える殺人犯を気絶させ,捕まえた.

 

ヒロインの4人はここで初めて春斗が死んでいたことを知った.

刺された心配とはまた別の悲しげな目線を向けられる.

 

招かれざる客の対処法.それは「祓い」.叶えられない未練を生きている旋太郎が祓う.

じゃあここにいるみんなはまだ叶いそうな未練なんだね.春斗は旅館に来た当時に払われそうになっていたらしいし,また別の話なんだろうけど.そうなるとネコルートはネコの未練関連で,他のルートは春斗の未練関連かな?

 

こんなことがあっても業務はいつもどうりに行われる.

終業時,4人から春斗の未練について聞かれる.春斗の未練はわからない.死んだ時より前のことはわからないから.

 

ええ…旋太郎ってトキさんのひ孫なのか...

 

死んでいるのにここにいる.果たしてそれはこの世に存在していると言えるのか.それでもこうして触れ合えるのはたしかにここにいるという証明.

 

夜,トキさんとお酒を酌み交わす.そして,もしこのまましばらくここに残るつもりならばいずれこの旅館を継いでほしいと言われる.トキさんの未練,この旅館の跡継ぎを見つける.

 

春斗の日々はまだまだ続く.

 

次はネコかなあ.

続く

アオイトリの全体の感想とちょっとした考察

ー総評ー

名作...めちゃ好き...

おすすめ順は

理沙→メアリー→小夜→あかり

小夜とメアリーについては好きな方でいいと思いますが,個人的には小夜ルートの方が好き.あとは一応「正史」とあかりも言っているので最後に回してもいいんじゃないかなあとは思います.

シナリオのよさは

理沙<メアリー<小夜<あかり

 

ー感想ー

理沙ルートでは,理性の強い美果子と理性を失った理沙の対比.そして美果子の恋を応援するために,自分の恋心が露呈するという矛盾.

メアリールートでは,吸血鬼を含めた関係が二人で入れ替わっていること,なにより普通そうに見えて普通でない律と吸血鬼なのに中身は普通のメアリー.また二人ともなりたくない何かになっていってしまうという共通項.それを解決するのが律の吸血ということ.

小夜ルートでは,妹がもともと屋敷にいること.そして二人に初めは兄妹と知らなかったこと.力を奪い奪われる関係.

あかりルートは,特別な人たちと特別じゃないあかり.そして目の見えないあかりと鼻の利かない律.

などきれいな対比構造が多く,すごく好みでした.

 

そして全体についてですが,各所に書きましたが「死ぬ権利」というものに焦点が当てられているように思いました.

メアリーでは最初の自殺と個別の3つの選択.小夜では命を奪ってもなお小夜の希望を叶えるか.理沙ルートではその権利(どちらを生かすか)を与えられる.それぞれ,奪う,与える,選べるものになっていました.理沙についてちょっと無理やり.いずれのルートも悪魔の力で律が何とかしましたが.

 

ゆきちゃんというモブキャラもいい味出しているというか,あったかもしれないあかりの姿,普通を楽しめる姿という点で重要だなあと思いました.

 

ーちょっとした考察などー

=赤錆姉妹ルート=

そもそも平行世界でのみ二人が生き残れば十分なのか(元の世界でどちらかが死ぬのは構わなかったのか).まあこれは何もしないよりも,そういった可能性を残したかっただけかな?

そして何よりもともと,初体験の時の記憶がなかったのはなぜか.パラドクスが生じているように思えるんですよね.つまり,元の世界で初体験の記憶がないのは,律が過去に戻ったから.そして普通に考えるなら悪魔が世界を統一するために,行った操作の弊害と考えられます.ということは物語開始時点で理沙の病は消え去っていなければならないのに,その症状は消えていない.

整理すると,Aが元の世界(理沙の死),Bが戻った世界からの分岐(病の吸収),そしてA’が整合させた世界(誤診).この3つが存在するはず.時空の狭間でAはA'へと変化した.しかし初体験の記憶の喪失から,Aの時点でAとBはすでに繋がっていた.すでに繋がっていたということはAの未来から律がすでに過去に戻っている.ということはAはA’でなくてはならない.ということは症状が理沙に出ているのはおかしい.

これを改修するにはそもそも理沙に症状を出さない風にするしかないと思うんですがどうなんでしょう...誰か真実を教えてください...

 

=メアリールート=

疑問点ですが,他のルートで吸血鬼化が進まず,メアリールートでだけ吸血鬼化が進むということは,律への愛が吸血鬼化を促進するファクターというわけでしょう.それはなぜなのでしょうか?前後で独占欲が強くなっているので,独占欲かなあと思ったりするのですが...

極端に考えるなら,律と一緒に同じ時間を生きたい.律さえいればいい.という吸血鬼らしい思いにより,吸血鬼化が進んで,独占欲としてそれが表立ったとかでしょうか.

 

もう一つは,やけに子供っぽくなったシーン.このシーンは何だったのでしょう...上記と違って,小夜たちにもアーンってしていたし,独占欲があったわけではないと思うのですが...人間っぽくなってきている精神年齢が見た目になっているというミスリード?あんまりわからない.

 

あと理沙さんが生き残ってたのはなぜ?濁すだけで十分だと思ったけど,,,

 

=小夜ルート=

小夜が言う「生きる」という意味の多さ.ただ生存するのではなく,大切な,愛する何かを愛でながら生きるという意味.たとえそれが死に直結するとしても.

 

初めなんでここまで容姿を似せたんだろうと思ったんですが,バニシングツインの話から,二人で一人っていうものを大事にしたのかなあと思ったり.

 

なにより,ちゃんとハッピーエンドに持っていけたのがいい.後述しますがそれぞれの世界がちゃんと正史になったのもいい!

 

=あかりルート=

まず母乳が出ることについて.これは処女受胎を受けたマリアのことを強く意識しているんじゃないでしょうか.ちょうどその事実がわかったとき,あかりは処女だったわけですし.だからこそ受胎というものが一種のキーポイントになっていたのかなと.

 

なんといってもお腹の子とのやり取り.お腹の子は救世主なのですが,そんな救世主だからこそ,死に往くあかりは自分の子と会話することができた.そして救世主もまた子供だから,父と母に愛されていることを知って,あかりの死を認められたし,もう一度生まれる未来を手繰ることができた.最後の世界はあかりの叫びと,小夜ルートの律の力と,物語の語り部である救世主の生きたいという祈りの力による,併せて言えば愛の力によるものですよね.最初から最後まで愛の力が奇跡を凌駕するというテーマ一貫性.神.

そして悪魔が死んだからこそ,もうどの世界を正史にするか選ぶ存在もなくなった.それぞれの世界が正史になった.これも好き…

 

以上!!

アオイトリの感想(あかりルート)

=あかりルート=

ー1ー

平凡ゆえに特別を忌避し,幸せのアオイトリを叩き落したいという悪魔からあかりへ電話がつながる.それはあかりの感情そのもの.

あかりは相手が悪魔と気づく.あああなたも特別なのか.それならあなたも叩き落してあげる.そう思う.

 

悪魔からいくつもの,まだ知らぬ未来を聞く.それぞれの結末.

契約.白鳥律から救世主の力を奪い,最悪の結末を迎えることができれば,何でも1つ願いを叶える.

そのためにまず一つの力をあかりに授ける.誰からも無条件に愛される力.メアリーの様に.

 

平凡な人間は力があっても平凡なままで,特別な人間は力がなくても特別.

 

迷える魂を成仏させる律.そして物語は始まりの3日間へつながる.

違うのはあかりに知識と愛される力があること.

 

あかりは自身を敬虔な信者だから,昼間でも礼拝堂に居たいと一緒に暮らすようお願いする.書類も用意していたので,仕方なく受け入れる.

 

その後二人で散歩する.そしてあかりは律に告白する.一緒に住みたいと一旦も実は好意があったからだと.

全てを知り,能力のあるあかりは魅力的だった.

 

そして温室でメアリーと出会う.しかしあかりもいたので,以前のような劇的な出会いにはならなかった.

さらに悪魔からの電話.様々なことを聞く.メアリーが自殺するつもりだということと,律の血を飲めば太陽晒されても生きていけることも.

 

夜中,あかりは律に迫る.初めて自分の快楽を優先した律.そのこともまた心地よかった.

 

ー2ー

飛び込みをするあかりに心奪われる.

今度はあかりから飛び込みを始めた理由を話す.落ちるのが好き,そういうあかりに艶やかさを感じずにはいられなかった.思わず,力を使って,透明な手であかりに触れてしまう.

 

ー3ー

悪魔からのクリスマスプレゼント.小夜がやってくる.今回は午前中.

本当に家族かと不安がる律と小夜.そんな二人に二人はそっくりだから大丈夫とあかりは諭す.

続いてメアリーが理沙先生を連れてくる.「どこかで」連絡の不備があったらしく,一週間早い到着.

 

そしてそのまま日は過ぎる.

苦労して予定を前倒しにしたのに,この平和にイライラする悪魔.それを宥めるあかり.

敢えて何も起こさないことでメアリーの存在の大きさは小さくなったし,兄妹として認める問題を解決することで小夜の女性面はなくなったし,先に教師として紹介してしまい理沙は教師として生徒と関係を持つことは無くなった.

障害がないことで,律は成長しない.真綿で包んで皆を愛するあかり.

ここから先はまだ見ぬ未来.あかりが直接律と関わる未来.

 

ー4ー

あかりが,メアリーの脚本の話を見つけてくる.そしてクリスマス,あの屋敷でやろうという提案.主役は律.

悩む律だったが,あかりの,メアリーにこの100年で失った恋心を取り戻してあげたいという理由を聞き承諾した.

同じように,ヒロインを選ぶことになった律.メアリーや小夜なら劇の想像はつくが,あかりとなるとつかない律.時間をもらい,学校へ向かおうとすると,律の袖を引いて,わたしじゃダメかと問うあかり.

あざといわねー…

 

放課後はあかりと遊びに出る.そしてあかりをヒロインにしたいと申し入れる.だからもっとあかりを知りたいとも.

強引ともいえるあかりの行動にあこがれているという律に,あかりは自分は他の人比べて普通だからこそ,強引にならなければ何もなしえないという.そんな風に落ち込むあかりに律はすぐにそれを否定した.何かをなそうという気持ちそのものが強い意志の表れで,あかりの言う普通は,変化,可能性に他ならない.特別は,すでに特別だからこそ何者にもなれないと.

 

劇と参考になるのはシンデレラ.

 

ー5ー

初めての練習.

緊張するあかりの手を握る不安を取る.簡単に力を使っていいのかというあかりからの問に人のために使いたいという律.あかりは悲しそうな顔をする.

正しいだけだと,悲しいだけだと思うという.「自分の好きな人が,自分のことよりも他人の幸せばかり願っている姿を見て,先輩はわらっていられますか?」

誰が見てもほめるべきことで,褒めることしかできない,止められない.その人を愛する人は何もできない.そんなのは辛すぎると.

本当に人を幸せにしたいなら,まず自分が幸せになるのが最低条件だという.こんな繰り返された陳腐な言葉も,今は先輩のおかげで実感があると微笑む.

初めて自分を見つめる律は,手が震える.そして自分に足りないのは言葉という可能性だと気づく.想いは秘めるものではなく,伝えるものである.そしてあかりに想いを伝える.

こうして舞台が始まった.

 

ー6ー

あかりとのまだ見ぬ未来に期待を寄せていると悪魔から,あの少女の声で連絡が来る.あなただけ幸せになるなんて許さない.律たちの舞台が幕を開けた.

 

授業中,やけに食欲を感じる.肉の匂い.その対象は授業を受ける他の生徒たち.胃の中を戻す.そこには真っ赤な液体.

悪魔は,救世主のための器である律が意志を持とうとするような反逆をしたからだという.役が意志をもったから.それでも律は自分の意思を曲げようとはしない.

他の人に食欲を抱かないようにする方法は女性を抱くしかないという悪魔に頼み込む律は,嗅覚を殺せば日常生活くらいはままなると教えてもらう.そして律はより強くなった救世主の力で嗅覚を抑え込んだ.

人として生きるために,人としての楽しみを一つ捨てた律.

少しでもあかりと話したいという想いは,早退した屋敷にあかりを呼び出してしまう.そして隠し事をしないと決めていたあかりにはすべてを話す.

 

それでも,ものを食べても食欲は収まらない.飢えそのものを感じる.悪魔はやはり女を抱くしかないという.そして律を誘うように,あかりの自慰の話をする.

戻ってきたあかりからは,嗅覚を消したはずなのに匂いを感じる.

 

ー7ー

美果子に,天使はいなくなったという噂を流すように頼む.そして他にも抱くように頼んできた女の子たちにも断りを入れる.あの少女のことを思い出す.そんな時,律を見つけ出し,手を握るあかり.これからは神父として,彼女たちの悩みに向かい合う.

 

ー8ー

悪魔から結界が壊れかけていることを聞く.律を閉じ込めるための鳥籠.それほどまでに律の力は増大していた.解き放たれるのはアオイトリかアカイトリか.

ただあかりを愛する気持ちだけはどちらの場合でも残るという確信はあった.

 

今日は通し稽古.

あかりと律の離別のシーン.本来ゆきが律を刺し殺そうとして,あかりを刺してしまうシーン.しかしあかりはアドリブをいれる.ゆきのナイフを受け流す.こんな最後は認められないと呟いた.劇は止めないという約束.そのまま演技を続ける.

律と結ばれるため,悪魔に魂を売り渡すというあかりに,律はどうすればいいかわからない.あかりを認めるか,悪魔に魂を売ったものとして殺すか.動揺から嗅覚を感じる.甘いあかりの肉の匂い.

そこに入ってくるメアリー達.そんなメアリー達に,あかりはナイフで首を切る演技をする.この世界に残されたのは律とあかりの二人だけ.そしてあかりは意識を失う.

 

意識を取り戻したあかり.あかりは目が見えないという.

悪魔に問いただすも,何もしていないという.とすれば原因は律.ただ一人だけに錠をかけた結果.律の力は奪うもの.このままいけば,視力のみならず命までも食い尽くしてしまう.その律の想いに比例して.吸血鬼や悪魔の力を持つメアリーや小夜,姉妹でそれを分け合える赤錆姉妹と違って,あかりはそれに耐えられない.

あかりが夢にまで望んだ「特別」.このような特別があかりの想像できる幸せの限界,アオイトリ.だからこそこの状況があかりの望む状況なのだと悪魔は言う.

 

ー9ー

目の見えないあかりと,それを気にせず,あかりの暮らしやすいように前向きなみんな.そんな特別さがあかりを追いつめていたのだろうか.

二人を学校に送り出して,体調不良の原因が自分との接触にあることを話す.別れか距離を置くか言いだそうとする律に,あかりは先回りして拒否をする.自分を見捨てないでと懇願する.

 

気分転換と二人で山荘へ行く.何をするわけでもなくゆっくり過ごす.

やけに時間が経つのが早い.二人はメーテルリンクの青い鳥の話をする.特に鳥について.

思い出の国にいた青い鳥は黒い鳥になり,御殿で捕まえた青い鳥は死に,未来の国で捕まえた青い鳥は赤い鳥になる.

黒い鳥も色が変わっても青い鳥であると律は言う.そこにはあかりを重ねていた.

そしてあかりが気にするのは,最後の青い鳥が青空に飛び立つシーン.本来不要なシーン.この本は,青い鳥がどこへ飛び立ったか問いかけているのだとあかりは言う.

他の必要な人の元へ行ったという律と,他の自分以外の青い鳥を求めて飛び立ち,再びチルチルとミチルのもとに帰ってくるというあかり.きっと鳥籠の中が安全と思うだろうからと.

そして律は問いかける.最初にチルチルたちの家にいたのは青い鳥と同じ個体なのかと.もし2話が同一のものでないとすれば,もともといた方はどうなってしまったんだろうかと.まるで人間である律と救世主のように.

 

二人は何十回も身体を重ねる.どうもおかしい.ここにきてからそれほどの時間が経った気はしないのに.あかりはそんな律の疑問を気にしないように誘う.

 

未来の国.それは最も過去の国.まだ生まれてくることのない子供たちの話.無限の可能性のある国.そんな国の子供たちはそれぞれ大小あれど様々なものを与えられて生まれてくる.生まれてくる意味のある物,価値のあるものを持たされて生まれてくる.生まれてくるときに忘れるだけで,君にも必ずこの世界に居ることの真実があるのだと書かれているとあかりはいう.

あかりと出会えたことが最大な贈り物と思う律は未来の話をする.今の目や様々な問題が解決しても,子供ができないかもしれないけどそれでいいのだろうかと.あかりは言う.子供ができないのは力を継承したくないという想い.なら子供が欲しいと,想いを,願いを,祈りを言葉にすれば...そして律は声に出して祈る.明里との子供が欲しいと.初めて神に祈る.

…こうしてあかりは力を子供に伝えることが目的だったのか...?自分じゃなくてもいいわけないし...力のある子どもを宿せば力を使えるのかな…?

 

そしてまた何十回,何百回と身体を重ねる.それでも夜は明けない.

 

ー10ー

鳥を鳥籠から解放する夢をみた.真っ黒な鳥.世界は闇に包まれた.

 

目を覚ます律.なにかを失くした気がする.

目が見えるようになったあかりに既視感を覚える.恍惚とした表情で,暗闇が怖くないという.これが律くんや小夜先輩やメアリー先輩の世界なのかと.一方で暗闇が怖い律.

あかりは言う.もうあなたは特別ではないと.

何かに吹き飛ばされる.そしてあかりの匂いもする.そう,あかりがすべて律の力を奪ったのだった.

あかりはその力を律に振りかざす.これがあなたが調子に乗っていらないと言っていた特別な力の一部だと言って見せつける.

ただ特別なものが欲しかったからしたというあかり.ほんの短い時間でいいから物語の主役になりたかった.ただそれだけ.だから受胎により力を奪った.そのお腹の子へと力を伝えた.

様々な,律の知らない世界のことを話すあかり.知らない光景が頭をよぎる.

あかりはそれでも平静を取り戻しつつある律に,自分に関することでは追い込まれないなら,大切なものを壊すしかないと煽る.怒りを見せる律.しかしあかりは笑う.自分が特別で律が普通だから.そして自分がもっと特別になるためにもっと憎めといい,あかりは山荘を立ち去る.

 

妹の小夜のために,人生の恩人であるメアリーのために,思い出の人である理沙のために,友人たちのために,なによりあかり自身のために立ち上がらなければいけない.そう思うが律の体は動かない.特別でないことに怒りと憎しみを憶える.それでも何度も立ち上がろうとする.

煽る悪魔は残りあかりの命は1時間程度だという.ただの凡人であるあかりが耐えられるはずがないと.だからこそあかりは律を殺さず,ずっとあかりのことを憶え続けることを,律の中で特別になることを優先しているのだ.

まだ起き上がれない.それでも律は諦めない.特別な人間.力でなく,信念や意志によって行動に一貫性がある者こそが特別.誰に笑われようが,否定されようが,自らの意志と足で荒野を歩き続ける冬の旅人.

律は悪魔に契約を持ち掛ける.代償は残り1時間以外の寿命.どこまでも正気で,正気のまま人を幸せにしないといられない狂人.

 

律は屋敷に戻る.

玄関には小夜が倒れていた.冷たかった.悪魔はまだ一人だけこの屋敷で無事なものがいるという.

ソファには赤錆姉妹が手を繋いで安らかに眠っていた.

礼拝堂.そこでメアリーの血を吸うあかり.崩れ落ちるメアリー.

あかりに対して何もできないが,それでもやってきてしまった律.そうするしかなかった.あかりが今こうしているように,そうするしかなかった.

 

翼を生やし,メアリーを蹴るあかり.それでもあかりを美しいと思ってしまった.

何を話してもあかりは考えを変えない,折れない信念を持つ.もう嫌だという.戦争,紛争,テロ.今の世の中を見渡してどこに幸せがあるというのか.もっと身近なことですら...特別なものだけが幸せをつかむ世の中.自分が間違っているのはわかっている.そんな中にも懸命な人はいるから.それでも諦めるなとか弱音を吐くなとか聞きたくない.諦めてもいいじゃない,頑張らなくてもいいじゃないか,弱音を吐いてもいいじゃないか.もう特別な人に振り回されるのは嫌.何も始まらないなら終わらせたい.そうあかりは言う.他の誰かが全て終わらせてくれるならそれで諦められる.でも誰もいつまでたっても押してくれない,幸せの青い鳥なんていないから,わたしがそのスイッチを押す.辛い現実も見たくない,それ以上に幸せを追い求める夢を見たくない.ただ眠りたいだけ.そうあかりは言葉を紡ぐ.

どこまでも普通で,どこまでも狂えないあかり.そんなあかりの前に特別な人たちが現れてしまった.

 

最期にあかりは律に手をかざす.始まりは言葉.最後にも言葉.律が使っていた力をあかりは使う.心の奥底からの言葉.

「僕がここに来たのは君を一人にしないためだ.何があっても一人にはしない.死ぬためでなく,共に生きるために悪魔と契約してここまできた.僕は自分が特別な人間でなくなっても誰も見捨てない.それだけあかりは僕にとって特別だから.僕が君を赦すよ」

 

あかりは最上の結果が得られたと喜ぶ悪魔と話す.最後の約束.なんでも個人的な約束を果たす.神に帰依しろ.なにもかも,ただ悪魔を壊すためだけの演技.ただそこに嘘がなかっただけ.悪魔こそ特別であるから,他の人は犠牲.

律の手に触れてなお,このような結末が描けたのは,それはあかりの根底にあるのが憎悪でなく純粋な愛情だから.

そして悪魔は死ぬ.

 

死に往くあかりは律の安全を喜ぶ.もう悪魔はいないから平気と.もう普通の人だから安心してと.本当に幸せだったという.

ただあの善意も悪意もない,ただ遊びに耽る悪魔を律のためにどうにかしたかった.遊びだからこそ簡単に世界を滅ぼせてしまうから.律と出会う前の自分と同じだからこそその危険性がわかっていたから.繰り返される今より,ハッピーエンドを見たかったから.もしも,メアリーや小夜や,だれにもできなかったことを私ができたら,この世界に間違って生まれてきてしまった私が,何かを誰かを憎むことしかできなかった私が,生まれてきてしまった意味を自分で選びたかった.ただそれだけ.

メアリーが生き返る.あかりが使った奇跡の力.メアリーや小夜も普通になった.それでも律はあかりが好きだと伝える.

最期にあかりは涙を流す.後悔なんてしないつもりだったのに,正しい勇気を持てればもっと律の特別に慣れたのに.そしてなによりお腹の子に謝る.こんな母でごめんと.この罪だけは赦さないでという.私はお母さんだからと.

そして幕は閉じた.

 

書き残すために,二回読んだの初めて...めちゃくちゃドストライク...

 

しかもあかりTRUEがこの後あるんですか!?

 

=あかりトゥルー=

ー1ー

闇の世界で電話を取る.それは律からの一人の女の子に関する話.

 

自分が生きているのが不思議なあかりは今日,友人と共に天使のもとへ向かう予定になっていた.そんなとき,悪魔から電話がかかる.どこか聞いたことのある言葉.悪魔もその違和感をおぼえる.

そして同じように,悪魔に危険性を感じる.この無限の可能性を選べる悪魔を生かせば,律の力を吸収した未来を選ばれてしまうと.しかし脳裏によぎるのは,律に自分が抱かれ死に往く風景.

そして同様に時は過ぎる.あかりにとって心から楽しい日常.

そんなとき,何者からか,コノママデモイインジャナイカ?とメールが来る.しかし悪魔は知らないという.しかも悪魔にすらどこから来たかわからないメール.

そして誰からも愛される力が嘘だったとも判明する.

よかった...律の好意は最初から本物だったんだ.

 

ー2ー

いつのまにか律に心を惹かれていた.もっとすごいことをしたのに,初めてのキスが何よりも嬉しかった.心の底から律を愛していた.

 

闇の世界で律はあかりのことを話しかける.そしてなにかを変えたいならそれは終幕の時だと.一人称が俺である律はもう一人の自分のようなもの,そのチョットした欠片だという.

 

ふとみんなにもしもうすぐ死ぬならどうするかと聞く.みんなは日常をそのまま過ごしたり実家に帰ったりするという.そしてあかりは本心を言う.以前までなら日常生活を過ごしたり,実家に帰ったりしただろうが,今は好きな人の傍にいると.

これ理沙先生に聞くって言うのがなー.

 

ー3ー

最期の幕が上がる.

劇の練習をぶち壊した.せめて作り話でくらい幸せな結末を迎えたかった.そして目が見えなくなった.

そんなあかりを小夜も心配する.私の力なら副作用はないからと.律のために劇が無茶苦茶になって,律も後悔しているなら,そしてあかりも心配だから何か手伝えるなら手伝いたいと照れくさそうに話す.目は見えていないけれど,きっと照れくさそうにしている.それでも別れないというあかりに,軽く同意する小夜.あったかもしれない小夜の未来を思う.律を奪ってしまったと思うのはやはり小夜で,だからこそこの人からも力を奪ってあげなくてはいけないと思う.そして自分に何かあったとき,律をよろしくとお願いした.

 

律から電話が来る.しかしどこか違う冷たい感じ.お風呂に入っているはずの律.言いたいことは,今あかりが置かれている状況は以前と同じようで実は違うということだけ.商店街での会話も,ゆきとの会話も,プールでの自慰も,夜のお茶会も,小夜との今の会話も.全部なかった出来事だという.考えてみれば劇の練習もあまりした記憶がないし,律との会話もなかった.この12月は律を選ばなければあかりに残る幸せの数々.今はあかりが主役だと電話の律は言う.あかりの望むとおりに世界は変わると.そして,だからこそ,最後に白鳥律に力を戻せと言う,律はあかりと世界のために死んでくれるはずだから.あかりにとって馬鹿げた,そして魅惑的な提案だった.

 

そして二人は山荘へ向かう.

奇跡の力を手に入れたあかりは夢で自分と対話する.これから先行う,律の愛情を踏みにじるという行為に覚悟はあるのかと問いかける.もう自分の死の心配などなく,ただ律のことだけが心配になっていた.永遠に二人で愛し合っていたい.現実に戻りたくない.それでも現実に帰らなければならない.愛する人たちの未来のために.

電話のあかりは予言する.きっとあなたは後悔する,あなたが死を覚悟しても,そこにある新たな命は奇跡という名の道具ではないから.

 

そして以前のように,律を組み伏せる.

痛みに耐えながら,あかりは力を使わず死に向かって歩く.そうしなければいけないと思うから.

屋敷で出迎えたのは小夜.小夜は律の力を取ってあかりがやりたくないことをしていると見抜く.そして抗わない.律があかりを好きだから.わかりやすい基準.なにがあってもぶれない,これこそが小夜の特別.小夜は勇気ややる気を流し込む.やると決めたならやりきれと激励する.友人だから,律が選んだあかりだから,間違ったことはしていないと信じている.

小夜の命を奪う.30分後生き返るように魔法をかけて.

 

理沙と美果子も命を奪う.

最期はメアリー.血を吸って命を奪う,人として死んでもらう.吐き気を催しながら,悪魔と律をだますためメアリーの体を蹴る.

律の最後の言葉ですべてが報われたように思うあかり.世界のためでなく,たった一人律のためにすべてを終わらせる.

悪魔の断末魔.しかし声は終わらなかった.「コノ瞬間ヲ待ッテイタ.サア,アナタノ選択ノ時ダ」あまりに冷静な言葉.

悪魔は律に力を戻すように言う.これは救世主そのものの声.今なら白鳥律はあなたのために死んでくれる.奇跡の力を持ったまま死んでくれる.いつしかその声はかつて死に追いやった少女の声になっていた.

声はあかりに生きるように律に力を移すように誘う.しかしあかりの線他kは決まっていた.「幸せになりたい,この世に生まれた意味を,価値をしりたい.この世に,自分だけの,傷を残したい.誰もがそれを願っている.願い,祈り,手が届かず,強がって店,他者を認める余裕を失い,自分の無力を心の底では嘆いていても…どれだけ狂っていても幸せになりたいという願いは同じなのよ.それでも.私が逝くわ.」最後まで笑う.「ありがとう.最後に律くん以外に私を心配してい見取ってくれる方がいるなんて思いもしなかった」そしてあかりは過去に経験した世界を思い出す.この世界を声の主が用意してくれたものだと気づく.「それでも私は同じ結末を望むわ.私にはあなたがわからないことがわかる.私は彼を愛しているの.どうしても愛しているのよ.死ぬのは怖い,あの日常を失くすのは惜しい,限りない未来が失われるのが惜しい.私は普通の,とても弱い人間だから.今ならそれを認めてあげられる」そしてあかりは気づく.あかりがこの世界に生まれてくるときに持たされた贈り物は,そういう”弱い人間の心”だったのだと.いつまでも迷って,何も決まられなくて,ぐずぐずして.お父さんの期待が重くて,すぐに飽きらめて,誰かに嘘をついて,自分を偽って.何もかもうまくいかなくて,上手くいっても必ずどこかに失敗があって.とても弱い普通の私.だからこそ,みんなの気持ちがわかる.どこまでも迷うことこそが答えだった.私の幸せは,意志は,決断は私のもの.だから答えは変わらない.お腹にいる子には申し訳ないけど,律を犠牲にしてまでも,あなたを産んであげることはできない.あなたをこの世界に産んであげたかった.抱きしめて,乳をあげて,泣いて,笑って,困って,また笑って,一緒に生きたかった.それでもごめんなさい.こんな私を選んでくれてありがとう.

お腹の中にいる救世主もそれならいいかなと呟く.あなたが選んだことならいいかなと.

 

止まっていた時間が動き始める.律との別れ.前の世界ではごめんなさいで終わったから,これだけは変えたい.だから息が絶えるまでありがとうと言い続ける.最後まで愛を伝える.

 

そして幕が下りた.だが律は狂人であった.4人の少女を背に考え続ける.「奇跡はまだある.今の主役は誰だ」悪魔が消え,あかりがいない今,物語は語り部が紡ぐ.

律はお腹の子に話し続ける.それでも君に選んでほしい.この世に生まれるかどうかを.そういってあかりの話をし続ける.君を幸せにしたいという願いを込めて.

「あなたはこの世界が好き?」「君はこの世界が好きかい?」そんな両親からの問い.

 

ー4ー

闇の世界.あかりは鳴り響く携帯を取る.それは律の声.小夜との世界の果て,また小夜と出会うために迷い続ける律の声だった.

全てを諦めるあかりに律は怒りを露わにする.残される人の気持ちを知ったのなら甘えるなと.「自分の足で立て.足が動かないなら,腕を使って這え.腕も動かないなら叫べ.口が動かなくなっても想え.奇跡の体現者であるなら,死んだ程度で終わると思うな.奇跡がないというのなら,普通の人間であるというなら,最後まで奇跡に抗って見せろ.まだ君はここにいるんだ.誰も彼もが君を待っている」

生きたいと強く叫ぶあかり.

 

そしてまた世界が闇に包まれる.あかりによって殺された悪魔を時計に捕まえた律.もう永遠の命もない悪魔を道標に,律は小夜のもとへ向かう.温泉に行くという約束を守るために.

 

ー5ー

あれから1年と少し,春になった.みんなが特別でない日常,もちろんその中にはあかりもいる.3年生.小夜は母を探し,律のもとに変える度を進路とする.

あかりは今日検査入院からの隊員.放課後,温室には子供に授乳するあかり.二人の天使.この子に力は受け継がれている.それでも二人から笑顔は消えない.未来を信じているから.この子が世界を嫌わないように幸せに育てる.

 

3くらいからはずうううっと泣いてた...神は存在したんだ...

この1週間,やるべきことにも手がつかずやり続けた...後悔はない...今日は徹夜だ...

 

アオイトリの感想(小夜ルート)

=小夜ルート=

ー1ー

妹と家族になるため,小夜を主役に選ぶ.

メアリーに一つのお願い.小夜と間違った道に進まないように,そうなりそうなら止めてほしい.それでもその道を進もうとするなら,殺してほしい.それが無理なら死ぬべきと告げてほしい.悪魔が用意した小夜となら,悪魔に人格が乗っ取られる可能性が高いから.

 

ー2ー

劇のため,兄妹っぽさを取り戻せとの指令.

 

力を使わずに人を喜ばせるということがいまいちわからない二人.

 

小夜からの兄妹らしくなるための最初のお願い.手を繋ぎたい.わがまますぎかと不安がる小夜.

なにこれ!きゃわ!!そのあとの線路のシーンといい,ほんとに小夜は可愛いなあ…

 

放課後,線路に沿って歩いているとさびれた駅舎を見つける.

 

お互いの力で積極的(?)になる二人は,離れてそのことに気づくと恥ずかしがりあう.きゃわ.妹として兄に甘えたいという本心に,これまで以上に庇護欲が沸く.

 

ー3ー

仲直りする代わりに小夜からのお願い.このまま学園をさぼってデート.そのまま駅舎へ.二人して雪だるまづくり.子供のころにできなかった兄弟としての体験.

かわいい.

 

思っただけで,ニンジンやバケツを出してしまう.しかし他のものは出ない.小夜のためにと強く願ったからこそ出たのだろう.他人のためという律らしさ.それにしても何故今この力が出たのか.メアリーが死のうとしたときは出なかったのに.そう思う律.

 

小夜と触れ合っていると,ふと頭に,妹だからこそ美味しそうナンダという声が響く.

 

いつの間にか暖かくなっていた.小夜のことを思って暖かくなったのか.

誰かと一緒にいることは心が温かいと,律に感謝を述べる小夜.そんな小夜は指を加えて眠った.

 

屋敷に帰ろうとするとメアリーに出くわす.どうも話がかみ合わない...

話していると,時間がまだ登校の時間のままだったことに気づく.「やっぱり学園をさぼるべきじゃなかった」そんな風に律が思ったのも事実.

 

ー4ー

メアリーから劇の最後のシーンの相談.兄妹が結ばれるエンドか,それとも離別エンドか.

 

律が悪魔と話したり,メアリーと話したり.特にメアリーと穏やかそうに話す律を見ていると心に針が刺されたようになる.

律が望むように,妹らしくなれてきた.それでも.家族になろうとするから律は隣にいてくれる.もし本当に家族になれたら,律は他の女を好きになってしまうのではないか.そんなことを考えると何も喉を通らなかった.

 

放課後,だれもいなくなった教室で小夜は迫る.誰かが入ってきても舐めるのはやめない小夜,力を使うように促す.そしてその入ってきた人たちには何も見えていなかった.

妹であると同時に,女でもありたい.そういう最後の動機を聞く.それを受け入れる律.様々な愛を伝えあう.

 

ー5ー

だるさが抜けないという小夜に申し訳なく思う.

 

悪魔は不慮の事故で劇が中止になるかもという.悪魔自身は何もしないらしいが...

バニシングツイン,妊娠初期に消える双子の片方.その言葉を残す.

変わり行く自分.その変化が周囲を幸せにするようなものであることを祈る律.

 

夜,小夜と散歩.再会の林道.桜並木の中,改めて律は小夜に告白する.女性として.嬉しなく小夜.うれしさのあまり隠れて跳ねる小夜.

可愛いなあ...

出会ったときのようにキスをする.全く同じだが意味は全く違うキス.

 

陰で大笑いする悪魔.

 

ー6ー

小夜はみんなに男と女の関係になったことを宣言.

そして練習へ.練習中,小夜は眠ったように倒れてしまう.悪魔も電話に出ない.

悪魔の言っていたギフト.メアリーと小夜の天秤.そんなことを考えていると,メアリーは小夜を選んでいいと言う.死のうとしていた命を救ったのは律だから,好きに使っていいと言う.

 

夜中,ようやく小夜は目を覚ます.体調が悪いんじゃなくて,だるいだけ.そして同様に律も少しずつおかしくなっていた.力は増大し,小夜になにかしたら悪魔を殺すと平気で口にする.

 

ー7ー

何気ない日常.そして気づく.小夜から力が失われていることに.

一方律の力は日増しに強くなる.

 

東京で恨みを買っているから心配だ冗談めかして言う小夜に,そんな奴らは殺してやると律.そんな律をみて,メアリーも違和感に気づく.

 

そしてまた小夜は意識を失う.律は力で,メアリー達の意識から自分たちを排除し,力で屋敷に戻り介抱する.小夜以外のすべてがどうでもいいという感覚,連絡が取れない悪魔へのいら立ち.そのいら立ちは責任が悪魔になくても,殺してやろうかという攻撃的な発言となっていた.

 

小夜が目を覚ます.力を失った小夜.そんな小夜に触れると,力以外の何かまで奪っているように感じる.それでも,小夜は身体を重ねたいという.恋人として,妹としての価値がなくなってしまうと.

小夜は,律に触れる度,思う度,可笑しくなっていることを告白する.律に食べられている,命を吸われていると言う.ギフト,バニシングツイン.もともと小夜は与える力で,律は奪う力だったのだから.

それでも小夜は笑いながらそれでいいという.初めから,こうなるとわかっていた.何も持たなかった私が,悪魔にとって利用価値があるとすればこれくらいしかない.だけど,命を失ってもそれ以上に大切なものが得られるならそれでいいと覚悟していた.死ぬのは怖い.それでも,死を恐れて生きるのを諦めることを私は選べない.私は生きているんだから.だから大丈夫.

そして小夜は身を捧げる.

小夜に死ぬ権利を,そして愛するものと共に生きる権利を奪わず,尊重する点で立派.

死に向かって,生を産むはずのセックスを行うってのもいいですね.

 

行為後,母を許せないかという律.きっと小夜と律が一緒にいるとこうなるとわかっていたから二人を引き離し,妹の小夜に普通に生きてほしかったから東京に小夜を置きさったのだと.それでも小夜は赦せない.たとえ今のように,小夜が死ぬ結末だったとしても,家族と一緒に居たかったから.

そのまま小夜は眠る.絶対に起こしてと律に懇願しながら.死の恐怖におびえながら.

 

律はそのまま外へ出て悪魔に呼びかける.このまま小夜を殺しても恨みを買うだけなのだから,きっと小夜を救う方法がある.悪魔の目的はメアリーの死なのだから.

最期の両親を失ったとしても,小夜のためにメアリーを殺すことを悪魔に誓う.

 

ー8ー

小夜は予期せぬ産物.胎内で律の力が移った.だからこそ律の傍にいると,触れると力が小夜の死まで持ち主の律に移り続ける.それをとめるには,それ以上の生命力を得ること.隷属としてではなく,主として吸血鬼になること.リミットはクリスマスまで.

律はこの悲劇を幕引きする一つの案を思いつく.最後の最期までその役を演じ切る.

 

メアリーに小夜の体調を考えて,劇の中止をお願いする.

そしてもう一つ,昔にしていたお願い.今律自身がやろうとしていることは,メアリーから見て死ぬべきかどうか聞く.内容がわからないけれど,こういう時はだいたい泊めてほしいよねとメアリーは言う.止まるべきか悩む律.しかしメアリーは止めない.「やるべきだと自分が決めたことに,他人の意見なんて関係ない.他の誰かを言い訳にすることは,少なくとも,わたしは自分に許さない.結果の喜びも後悔も,誰かと分かち合うとしても,ひとりひとりはすべて自分で背負うの.そうやって背負った重さで自自分が成長することで,誰かのためとか,もっと新しいことができるようになる.そうあるべきだもん」

とても普通で,まっすくに目の前だけを見据えた生き方.だからこそとても尊く,難しい.

 

小夜が目を覚ます.だるいという.辛いからこそ甘えたいのに,甘えることはさらなるだるさ,死を産む.

学校を休んで何気ない話をする.帰る場所があること,そこに誰かがいることのすばらしさ.メアリーがいて,律がいる幸せ.

そして小夜の勉強をみる.これから先,力を失くした小夜がしっかり生きていけるような未来を見据えて.

 

突然の吐血.そして小夜は再び眠りに落ちる.必ず起こしてと律に約束して.

 

ー9ー

あれから1週間.あれ以来小夜は一人で起きられなくなった.

 

12月23日.久しぶりに体を起こせるくらい体調のいい日.小夜は自分が死んだ後のお願いをする.力が増して,きっともうここから出られるはずだから,自由にどこでも行って,いろいろなものを見に行って,笑顔でいて.そんな律のことを一番に考えたお願い.震える手で律を求める.

そして二人は,小夜が快方に向かったら行きたいところを話し合う.きっと温泉に行こうと約束する.

苦しみに呻く小夜.急いで手を離そうとするが小夜は離さない.自分を見捨てないで,お母さんという.意識が混濁していた.

そんな小夜の頬に触れ,何か月か家族3人一緒にいた,胎内でのことを悪魔の力で思い出させる.

 

昔から不思議な力があった女性は処女受胎をした.お腹の子に愛情などなかったが,堕胎するお金もなかったし,頼る相手もいなかった.だからそのまますべてを捨てて家を出た.いつのまにかお腹に話しかける習慣がついた.そのせいか段々と愛着がわいてきた,それが托卵だったとしても.

そんな時できた初めての友達.しゃべった時間は10分やそこらだったけれど,それでも繋がった何かを感じた.銀髪の美少女.お腹の子の名前を聞かれて初めて名前が必要だと気づく.その少女に名づけを依頼した.女の子なら小夜.

また会うかもねという少女に,絶対に会いたくないからと言い,どこならあなたが行かないか聞くと霧原町と答えたのでそこへ向かった.

その町にあったのは全寮制の学園.予定より早いはずの陣痛.そしてものの数分で子供が生まれて来た.その子供をみて,恐怖のあまり叫ぶ.「これは私の子じゃない!」世界のためにもこれを産むべきではなかったと後悔した.

そして気づく.お腹にはまだ生命がいた.こちらが小夜.このままではこれがわたしの小夜を殺してしまう.必死の思いで石をその何かに叩き付けたが,傷一つつかなかった.そして都会ににげた.小夜を守るために.

しかしすぐに悪魔に見つかった.だから小夜のためにすべてを,これからの生活を捨てる覚悟をした.わずかながらのお金を残し施設に預けた.私を恨んでもいいから,幸せになってほしい.私やあのなにかに関わりないまま人として生きてほしい.生まれてきた小夜を見て,生まれて初めて幸せを感じたから.そしていま別れて,生まれて初めて涙を流しているから.

 

愛されていなかった事実に律は吐いてしまう.しかし小夜を殺そうとしているのは事実であった.それでも小夜は律を受け入れようとする.母に愛されていたことを知り,解放された小夜.もう小夜は一人でも生きていける,そう思う.

そして小夜にメアリーを殺せば生きれらることを告げる.当然小夜は断った.さらに自分のために何もしなくていい,ただ最後まで一緒にいてくれればいいと願う.

もう大丈夫じゃないから,明日終業式に出るという.そして駅に行ってあの雪だるまを見たいという.

 

律はナイフを握りしめて,メアリーのもとへ向かう.すべてを察しているメアリー.

明日殺されるように頼む.

ここまでが演技なんだろうなー.がんばれ律!想像だけでメアリーを殺すとか?

 

ー10ー

朝,悪魔から釘を刺される.監視しているぞという連絡.

「僕が助けられなかったのは,君が最初で,君を最後にする」その決意は変わらない.

 

一人になった律は「これをみろ」と虚空に携帯を投げる.

 

放課後になり,選択の時が来る.

小夜は一人で駅に向かわせる.そして向かう先はメアリーのもと.

メアリーは笑顔で律を迎え入れる.メアリーには,これから起こることすべてについて,小夜に謝っておいてほしいと伝える.

メアリーの胸を刺す.しかしそこからあふれたのは血しぶきではなく,赤い花びら.手首があった場所,そこから段々と花になる律.

 

小夜はただ歩く.そして独り言つ.死にたくない,生きたい,幸せになりたい.そして父からも母からも愛情を注がれなかった空っぽな律を幸せにしたい.

 

駅で待つ律.メアリーのもとの律は,力で作り出した体.

二人は穏やかな最期を過ごす.そしてそのまま眠る小夜.

 

そして律は行動に移す.この血こそが力の根源なら,血を喪失するような死に方なら死ねるはず.そして何より,人間のまま最も力のある今なら...

正気のまま,他人を幸せにしないと気が済まない狂人.それ以上に愛する女を幸せにできないなら,生きている価値がない.そう信じ,自分に死を命じる.

 

暗闇の中電話が鳴る.しかし出る前に途切れる.見慣れないSOSボタン.それを押すとかつて自殺に追いやった少女の声.他人のために死ねるなら,どうしてあの時私を見捨てたの?それに対し,律は「小夜は愛していたが,君を愛していたわけではない.だからもう一度同じことがあっても君は救えない,救わない」と答える.

彼女は律の中の救世主でもあり,そうでないともいえる存在.想像できる範囲での死のイメージとしての彼女であり,それはかけらに過ぎない.この世界もまた律の死のイメージ.このまま律が死ねば煩わしい現世に囚われず,他の人を依り代にまた救世主として現出できる.

神に等しい存在である救世主.それならば本来は悪魔ごときにどうこうできる存在ではないはず.それでもなお律や悪魔という存在が必要だったのは,万能ではないから.

律が願うのは人間に正しい死を与えてほしいということ.自分はどうでもいい.ただ自身が死ぬなら小夜は死ななくていい.小夜こそ奇跡である.バニシングツインとして生まれるはずのなかった小夜,本来この劇に登場の予定がなかった小夜,完全な偶然の末生まれた小夜.人は偶然生まれ偶然死ぬ.ただそれだけなのに.小夜やみんなのことを愛しているから,だから自分はこの世に必要ない.特別なものは必要ない.

万能でない少女には答えがわからない.ただ本当に良かったか聞くばかり.

初めて律は涙を流す.「死にたくない.苦しいことや辛いことはなく,ただ幸せであればよかった.もっと遊んでいたかった.愛する人ができて,その隣で笑って,一緒に年をとりたかった.ただ,それだけ.」

一つだけ彼女はこたえる.「自殺なんてするんじゃなかった」

律は以前の通り,約束を守る.君のいる場所にいつか行くという約束.そして救えなかった人は君が最後にするという約束.

律は最期に赦しを与える.自殺を赦す.もうこんな死の世界に居る必要はないと,永遠の眠りに安らぎがある様祈る.

 

 

ー11ー

律は死体も残らなかった.

小夜は一人旅立とうとする.律を探す旅.帰ってくる可能性のほうがまだ高いかもしれない.それでも待っていることは性に合わないから.メアリーや母がそうしたように,一人で歩きたい.誰かを愛せるようになった今なら見えるものも違うはず.律がしたかったこともしてあげたいから.なにより,自分が律の帰ってくる場所だから.諦めなければきっと会えるから.

 

ーエピローグー

この程度の結末には満足しないあかり.

二人の母.舞台にいないのなら成り代われる.人を動かすのは絶望でなく,愛情.私がみんなを愛してあげる.

 

めっちゃ好きだけど,死のイメージ世界での話がいまいちわからなかったなあ.結局あの死んだ少女は何者なんだろう...あかりルートでわかるかな?

 

続く

アオイトリの感想(メアリールート)

=メアリールート=

あかりがTRUEならメアリー先でもいいかなということで.

 

ー1ー

メアリーを主役に.

 

ー2ー

悩んでいたメアリーも,みんなに背中を押されついに承諾.

 

脚本は...ラブシーンラブシーンまたラブシーンの常にイチャイチャし続けるもの..案外好評.ただそれを演じるつもりはなかったので恥ずかしくてたまらない.吸血鬼である律とお嬢様のメアリーとのラブロマンス.

 

つかれたメアリーは律に肩をもんでもらう.それでも心地よい疲労.律に取ってもらうものでもなかった.他愛ない日常こそがメアリーにとってのかけがえのない幸せ.

もう私(律)うぃ吸血鬼にして,同じ時間の中を生きさせて~~

 

ー3ー

今日から練習.

台本を書いた本人だからこそ恥ずかしいらしい.

肝心のラブシーンもどこか気がはいっていないような演技のメアリー.恋というものを,この100年でしてこなかった,できなかったからこその問題.人と違う時間の流れの中で生きなければならなかったからこその問題.

粘膜接触により感染させてしまうからそういった行為やもちろんキスなんかもできないし,律九人も敵わないわけだ,どんなことを言っていると,悪魔からの電話.律は正当な吸血行為でもなければ,粘膜接触程度では吸血鬼にならないらしい.

そこで提案.しばらく恋人のふりをしよう.もちろん粘膜接触はなし.もし律とメアリーの二人がしたい状況なら話は別だけど.

 

ー4ー

とはいえ二人は何をしていいかわからない.それでもお菓子を食べさせあったり.律からするとより一層にメロメロになる1日だった.メアリーと共に生きたい,守ってあげたい,そんな感情も芽生える.

 

ー5ー

メアリーと恋太としての日々を重ねる.ヒロインの心が揺れるように,メアリーの心も揺れ始める.

 

ー6ー

本番前日...もう⁉今日は午後からリハーサル.

小夜に,理沙先生に,あかりにメアリーのことがすくとバレる.応援してくれる3人.

メアリーの演技もものすごく上手くなっている.

しかしクライマックスのキスシーン.今まではしなかった照れが出てしまうメアリー.それほどまでに律を意識している.

 

夕飯後,二人で話をする.懺悔.

自分の罪はまず吸血鬼であること.存在そのものが罪深いのに,人間の男の子を好きになってしまった.そしてそれを自分の心の中に押し込めるには満たされそうにない,相手にも自分のことを好きになってほしいと思ってしまった.そうなればその男の子は幸せに離れないのに.吸血鬼と人間は違う時間を生きるしかないから.たとえ共に生きようと言ってくれてもメアリー自身がそれを許せない.

メアリーは以前の祈りのときのように,血を流しながらそう懺悔する.

律はただ,律として返答する.「僕は罪とは思えない.たとえどんな生まれでも,どんな生い立ちでも,どれだけ本当の罪を背負っていようとも.人を好きになること,愛すること,思いやること,それ自体が罪だなんてことは絶対にない.メアリーのような女の子に好かれて,男の子が嬉しくないわけない」

二人は唇を合わせる.

 

ー7ー

劇本番.何の問題もなく劇は進行する.

そして離別のシーン.メアリーの口から出るのは,あなたとどこまでも行くという言葉.そして本当のキス.

 

ー8ー

二人でイチャイチャしていると悪魔から電話が来る.そしてそれは「愛は奇跡に打ち克つ」というメアリーの案.最初は危なかったが,今は大丈夫と勝ち誇る悪魔.メアリーのおかげでやりやすくなった部分がある.そして自分にとっては律のためになるかどうかがすべてだといって電話を切る.

 

ー9ー

休日の学園でデート.

 

将来の不安は様々あるけれど,それでももう自分から死のうとは決してしないと約束するメアリー.かつては人間のまま死なせてと言ったメアリーを吸血鬼にさせてしまってはいけない,だから吸血鬼にはなれない.今ある時間を大切にすることを改めて心に思う律.

 

ー10ー

少し体調が悪そうなメアリー.病気にかからないはずの吸血鬼のおでこは少し熱い.

 

またしても悪魔からの連絡.何かを知っている.律の思う通りのこと.律と身体を重ねたことによる,メアリーのメンタル面の変化が原因の体調不良.

そんな時メアリーが顔を青くして律を呼ぶ.下腹部から血が止まらないというメアリー.

それにしても原因は...?少し人間に戻っているなんていう期待も律の中にはありそう.

 

凄く積極的なメアリー.かわよ.

人間に戻ってきて,だから精神年齢も...とかってこともある?

 

ー11ー

寝違えた小夜にマッサージ.その声に,メアリーは勘違いして入室する.もちろんすぐに誤解を理解した.しかしそれでもメアリーは声を張り上げてしまった.小夜も売り言葉に買い言葉で言い返してしまう.そして,必要とあらばどんな女性も抱かなければならない禁句まで言ってしまう.もう誰も,たとえそれで自殺する誰かが出ても抱かないつもりかという小夜からの問.律はメアリーがそう望むならと返事をした.

小夜の退出後も,すがるように自分以外の誰とも身体を重ねないことを確認するメアリー.そしてセックス以外でも,わたし以外の女の子になるべく触らないでとお願いされた.

えぇ...メアリーはそういう気質だったの...?いや全然いいけど,これは気質なのか,なにかの弊害なのか...?

 

夜,二人はいつものように庭園へ.調子がいいというメアリーに担いでもらって空を飛ぶ.やけに艶っぽいメアリー.

 

行為のあと,ずっと一緒にいてほしいというメアリーは,その白い牙を律の首筋に寄せる.無意識の吸血衝動.

このまま進めれば二人は共に永遠の闇の中を生きられる.しかしそれは二人して人間を辞めるということ.欲望と理性が葛藤する.

そんなとき鳴り響く電話の音.正気を取り戻したメアリーは自分がしようとしていたことに動揺が隠せない.怯えるメアリーを悪魔は攻め立てる.「人として死にたい」そう言っていたことを詰る.ただの吸血鬼に過ぎないと.

いくら切ろうとしても電話は切れない.崩れ落ちるメアリー.いくら律がメアリーのことを人間と言おうとその言葉はむなしく響くだけだった.自分の中にうごめく欲望に対し,抗い祈るメアリーはそのまま血を流して意識を失った.

まあそうするよなあ...メアリーの吸血鬼の要素を簡単に捨てないよなあ...

 

ー12ー

メアリーが意識を取り戻す.輸血パックを飲もうとしないメアリーにいつものように血を紅茶に混ぜて飲まそうとするも,それに気づくメアリー.

人間は血を飲まない.そんな当たり前のことに気が付かないほど吸血鬼だったと自分を責める.

吸血鬼化が進むメアリーはただ血を流しながら祈る.その顔はもう青くなっていた.

 

自分がメアリーを好きになったことが原因でメアリーが死に向かっている.そう責める律に小夜は不可抗力と励ます.もっとボロボロになるまで頼らせないと激励する.

 

悪魔に呼びかける律.まずメアリーに残された時間について.それは2,3日.祈ることを辞めればすぐに元に戻るとも.そして,悪魔が律にさせたいことを聞く.

真に救世主となれば,メアリーも人間に戻せるという悪魔.助かるのは自分かメアリーか.そしてその答えを悪魔は知っている.最後に同乗の言葉を残して電話は切れる.

 

選択肢は3つ.

1.メアリーのこのまま死なせること.これはあり得ない.もう自分の欲望に嘘はつかない.

2.自分を犠牲にメアリーを人間にすること.問題点は意識のない自分がメアリーを助けるか.最善の結果ながら分は悪い.

3.メアリーに律の血を飲ませて,吸血鬼にする.そして自分も吸血鬼になる.確実だが最善ではない.

律が選んだのは3つ目.

メアリーの心を殺してまで生かすことにそれほどの価値はあるのかな.赤錆姉妹ルートでも書いたけれど,それは最後に残される死ぬという権利すら奪うということに他ならない.

 

ー13ー

祈りの果て,意識を失ったメアリー.意識を取り戻したメアリーは最期の会話化のように,これまでの生活の楽しさを話す.

律のしようとしていたことを見抜いていたメアリー.愛するが故にわかる相手のこと.律が悪魔にならないように,他の娘を好きになってくれという.それは辛いことだけど,自分のように,なりたくない何かになる苦しみを味合わせるよりはましだから.

メアリーからの最後の願い.「私と一緒に苦しんで」明日の朝に死ぬというメアリー.今度はみんなからもらったいっぱいの幸せを抱いて死ぬ.

メアリーの幸せを優先し,3つ目の選択肢を破棄した律.メアリーへの愛は揺るがないという確信.だから2つ目の選択肢を選ぶ.

 

互いが互いのために死のうとする.

別れの言葉を話すメアリーの前に立つ.それを吸血鬼の力で止めるメアリー.律を止められるほどの力を得ていた.しかし律も止まらない.今まで吸収してきた,女の子たちの魔の力.それを使う.そして上り往く日を背に,メアリーの首に歯を当てる.極上の味わい.それを味わうほどに意識が薄れる.それでも,メアリーからすべての吸血鬼の力を取り込むまでは意識を保った.

 

意識を取り戻すとそこは闇だけの世界.鳴り響く電話を取るとやはり悪魔がいた.勝ち誇る悪魔.メアリーの血のおかげでより,救世主は完璧なのもとして復活したと感謝を述べる.しかし律もそのまま死ぬつもりはない.今まで取り込んできた魔の力,そしてその中でもひときわ輝く吸血鬼の力.なぜ吸血鬼の力が律を助けるのかがわからない悪魔.

メアリーを確実に助け,危ない橋は自分で渡る.そういう選択.神でも,奇跡でもなく,メアリーの愛の力を信じた選択.最初から最後まで人間だったメアリーのことを信じた選択.人間だからこそ,悪魔でなく律を助けると信じた選択.

 

ー14ー

自分の部屋で目を覚ます律.いつもの掃除をしようとするが,屋敷にメアリーはいない.そのうえやけに暑く,掃除も終わっていた.

 

驚きを隠せない小夜とメアリー.そしてやけに心配する.それもそのはず,律は3か月も眠り続けていた.

そしてまた日常が始まった.

 

メアリーからのお願い.わたし以外は抱いてほしくない.今度は本当に唯の女の子らしいお願い.これからは二人そろって,エッチなしで人助けをする.

 

あとなんかしらんけど理沙先生も生きてるっぽい.やったね.

 

ーエピローグー

あかりはいろんな世界を体験しているというわけではなく,悪魔からそれぞれの平行世界のことをあるかもしれない可能性として聞いているだけか.

あかりはこの話を聞いて気づく.どの力も鳥籠から別の鳥籠へと移せることを.

 

落ちは弱いけど,好き..続く.

アオイトリの感想(理沙ルート)

=理沙ルート=

ー1ー

理沙先生を主役にすると決めた.

 

ー2ー

なぜかノリノリの理沙先生.

どうして理沙先生を選んだのか.それは過去のトラウマの清算

 

演劇経験者の理沙先生の先導の元練習.

そして役柄が決まっている律と理沙先生だけは他の3人より先に役作りへ入る.

 

ー3ー

昔の理沙先生の演技をこっそり見る.本人は下手だからと恥ずかしがっていたが,才能というものを克明に感じる.

そして理沙先生との初体験のことも思い出す.しかしどうも思い出せない.押し倒されたところまでは憶えている.そこからは…?これはトラウマによるものなのか,それとも果たして...

 

役作りのための恋人ごっこ.繋いだその手からは新生活で感じる以上のなにか靄のかかった不安を感じた.

律のもっと理沙先生を知りたいという言葉に,再び救われたという理沙先生.最後に立った舞台は失敗に終わった,だから今度の舞台を最後の舞台にしたいともいう.

初体験の経験を憶えていないことも話す.あの時,理沙先生を癒せたのだろうかという懸念.律に自分をさらけ出すことで,本当の自分になることができたという救いを齎されたという理沙先生.その笑顔に律は救われる.

 

ー4ー

今日は礼拝堂で稽古.制服姿の理沙先生.初体験の当時を思い出せない律に,制服の記憶の上書きを.

そして稽古が終わると,律に抱かれたいという理沙先生.律の力で癒されたいのではない.律の中に,自分と重なっている時間を残したいだけ.それこそが癒しとなるから.今度こそは忘れないで,体も,表情も,匂いも,全部….

目を合わせるだけで胸が高鳴る律.こんな経験は初めてだった.

行為の中で二人は好意を伝えあう.理沙先生にとってはずっと隠していた本心.律にとっては初めて気付いた本心.

 

快楽のみを求める行為が悪いとは思いませんけど,自分の中でやっぱりどこか汚らわしいものというよろしくない固定観念があったんでしょうね.それでも律のことだけを好きという理沙先生のことが尊く思えました.大人ぶっているけれど,律のことが大好きでたまらない一人の女性.

 

行為のあと鳴り響く電話.律は自然と悪魔であることを願っていた.

悪魔は理沙先生との愛のあるセックスが悲劇への一歩だという.劇の序盤で幸せの予感を感じる主人公が進むべき先は決まっている.悪魔自身は傍観するという.

 

ー5ー

台本が完成し,みなで拝読する.あまりにも陳腐でプラトニックなのろけ話.

そして美果子が現れて,姉がいるから演劇に参加するという.物語を盛り上げる三角関係の一役を任せる.

話の関係を現実と同じく身体だけの関係にしようと美果子がいう.理沙先生は何より驚く.世界で一番大切な姉と,姉の好きな男性と身体を重ねる妹.

困惑する美果子以外.そんなとき悪魔から連絡が来る.自己紹介.

 

帰り道,つい理沙先生に聞いてしまう.他の女生徒まぐわっていると聞いて嫉妬しないのかと.美果子が理性でおさているように,自分は演技で抑えている.そして,私は,律くんと一緒にいい劇を創って,それを律くんがずっと憶えていてくれればいい,それだけが今の望み.

もし最高飲ん舞台になったら,恋人役としてでなく,本当の恋人になれるかという問いに,理沙先生はそれはできないという.律が天子様だからでも,美果子との関係があるからでもないその理由は教えてくれなかった.

 

理沙先生は一人思いにふける.どれほど律のことが好きか.どれほど自分が律の中に残ってほしいか.そして美果子のことも.あの美果子も,律となら普通の女の子になれるのかもしれない,普通の幸せをつかみ取れるかもしれない.きっといつか普通の恋心が芽生えるはず.だから今度は私が美果子の背中を押そうと決意し,悪魔に契約を持ち掛ける.

 

ー6ー

今日からは3人で稽古.

律との恋人の演技をする中で,どこかぎこちない美果子.自分でわからないその感情が気持ち悪い.

美果子が席を立った後,気を失う理沙先生.契約.願いを叶えるための代償として,悪魔が心に入った.電話が切れると同時に,キスをする理沙先生.いつもと違う艶美さ.そしてまた気を失う.

契約の内容.頭が良すぎるが故に,人の心がわからない美果子.そのような悪目立ちを嫌う赤錆家は美果子を幽閉した.だからこそ美果子が律と身体を重ねていると知って驚いたし,恋の喜びを美果子に知ってほしいと思った.だから,自分の恋心を,美果子に植え付けるよう願った.自分が演劇の役をするとき,その役の心を自分に植え付けるがごとく.自分の子の恋心は,美果子に背中を押されたからこそのものだからという.そしてその代償は,1日1回理性を失うというもの.では理沙先生の心は律のことを好きなはず.その理由は気っと話すから待っていてくれという.

 

夜,美果子が訪ねてくる.確かめたいことがあるといって二人は触れ合う.そして一つの仮説を導き出した美果子はそのまま帰宅する.

 

自分でない感情にいったいどれほどの価値があるのだろうか...本当に美果子の中に恋心のかけらがあったとして,それを自覚させるために,理沙の恋心を植え付けたとして,その美果子の恋心は仮初のものとしか考えられない.感情という人間特有の,もしくは生物の中で人間が傑出して持っているものは,自分の中から湧き上がるからこそ尊いんじゃないでしょうか...

 

ー7ー

朝,悪魔が意気揚々と電話をかける.面白いことになったという.

まず代償について.悪魔のきまぐれで理性を奪う.そしてそのときの欲望を満たせば理性は戻る.そして期限は演劇本番当日まで.

 

美果子と3人で散歩しようという理沙先生からのメール.それに従って湖畔に向かう.

屋敷に帰り,疲れた美果子は眠る.そして理沙先生は理性を奪われる.

理性を失った理沙先生からは,律が好きという気持ちがこれでもかというほど伝わってくる.

美果子が起きないわけがない.それでも美果子も,理沙先生もぎこちないところはない.今度は一緒にしようと約束して,理沙先生が眠りに落ちる.

 

さすがにそのあと起きた時は恥ずかしそうな理沙先生.そして美果子は理沙先生が律と美果子をくっつけようとしていたことに気づいていた.そして3人で仲良くしようと提案する.2人とも好きという純粋な感情.

 

ー8ー

昔からなんでも美果子に譲ろうとしていた理沙先生.それでも今回はやりすぎと思う.それが本心なら律と付き合うことを考えた.しかしそれは本心ではない.姉と同じものが欲しいから律とも寝た.それでも姉が幸せになってほしい.そしてその本心は律と添い遂げることにある.今は自分の心の中の理沙と会話できるからこそそれを確信できる美果子.理沙先生が律を受け入れない理由を知っている美果子.律が悲しめば理沙は悲しみ,理沙が悲しめば美果子が悲しい.そんな結末にはさせないという美果子が心強かった.

 

今日は理沙先生の家で演劇の鑑賞.

理沙先生が演劇を始めた理由.律とまぐわった日,初めて自分をさらけ出せて救われた理沙先生.初めて自分じゃない誰かを演じていたことに気づいた,家でも学園でも.

学園を卒業後,すぐ結婚させられるはずだった理沙.親からの命令に対し,初めて迷う.小さな神父への恋心.「恋がなんだかわからないけれど,心の中に何かが生まれたんだったら,産んだお姉ちゃんが大事にするしかない」そんな美果子の言葉に背中を押された理沙.何かを演じていた自分と,何かを演じることで救われていた自分.そんな自分に出会って,演劇を始めた.

勘当された理沙に対して,「赤錆の人間じゃなくても,あたしのお姉ちゃんは1人しかいない」そういう美果子.その言葉があったからこそ,外の世界に旅立てた.

帰り際,理性を失う理沙先生.今回はやだやだモード.帰ってほしくないやだやだ.

えぇ...理沙可愛すぎる...きゃわきゃわ…

 

自分たちがいないときにこうなられても困るので,これからは一緒に暮らすことに.

 

ー9ー

台本の完成.そして何気ない日々が続く.

 

そして終業式の日.クラスメイトの前で理性が奪われる理沙先生...律がフラグ立てるから!!終わった...

 

1枚だけ,なにもかかれていないDVDを見つける.

 

ー10ー

本番が明後日に迫る.

 

理沙先生の家に帰ると,演劇を見て泣いていた.ただそれを見るのは止められた.

美果子は律にはどうしようもないから悩むなという.これまで数多くの女性を癒してきた律.しかしこの世で最も愛する女性を癒すことができない.

 

ー11ー

理沙先生は仕事,美果子は実家に諸々の挨拶に行くという.残された律.理沙先生のために何かをしたい.そう思い例のDVDを見てしまう.

そこには舞台上で倒れる理沙の姿があった.演技ではない.

 

理沙先生を呼び出す律.あのDVDを見てしまったことを告げる.

半年前の舞台で倒れた理沙先生の病名は原発性悪性骨腫瘍.自力で動けるのはあと1年と言われた.だから今でいうとあと半年.どうしてそこまでして個々の学園に来たか.それは律に会うため.残された時間でやりたいことを考えて,一番に浮かんだのは律のこと.律との楽しい思い出が欲しくて,会いたくて,もう一度楽しい時間を過ごしたくて.学園にいるのは冬休みが終わるまで.きっといい舞台になるし,自分の恋心は美果子に託せた,だからもう悔いはないと笑顔話す.

しかしそれが演技なのは明白だった.二人が気づかせてくれた自分の居場所である舞台を成功させたい.それだけが願いだと言う.つないだ手から流れ込む膨大な不安.どうしてこれほどまでの不安を抱えながら笑顔を演じられるのだろうか.

この悲劇を仕組んだのは悪魔.

 

立ち上がれない律を迎えに来る二人.そして初めて理沙先生は恐怖,後悔,羨望を表に出す.悪魔に奪われた理性.ひた隠しにしていた感情の数々,生きたい,死にたくない,律と一緒にもっといたい.悪魔は理沙先生から矜持すら奪ってしまった.

律の胸で意識を失う理沙先生から,病ごと吸収しようとする律.「そんな末期の病はあなたの力でも癒せない」.そう話しかけたのは美果子であった.悪魔が美果子を乗っ取って話す.本来制約もなしに乗っ取れないはず,つまり美果子も悪魔と契約したということ.

天才だからこそ真実にたどり着いた美果子.生きて律と結ばれたいという姉の望みを叶えるための契約.代償は美果子の体すべて.姉の生と妹の死.姉の精神が妹の体を乗っ取る契約.

演劇を中止すれば姉は死に,妹が生きる.演劇を完遂すれば妹は死に,姉が生きる.その選択を迫られたのは律.そしてそれを知らないのは理沙のみ.

めっちゃ泣いて,美果子が話し始めて涙が止まって怒りになって.めちゃくちゃ心揺れ動かされた...

 

理沙先生を同じく愛する律は美果子の気持ちも十二分に理解できた.美果子から不安や恐怖は感じられなかった.

 

どうすれば二人を救えるのか.あの悪魔は葛藤する律を見たがっている.だからまだ重大な選択による二人を救う方法があるはずである.

きっかけは記憶のない初体験.そして悪魔と契約する.自分の精神を自分自身に植え込む.過去の自分,初体験の時の自分へと戻り,初期の病ごと吸収する..

悪魔からの助言.一部の精神では不十分だから全てを過去に移さなくてはならないと.過去に戻ることで平行世界が増える.するとこの世界から律の精神は無くなり,別の世界のみに律の精神が移る.平行世界の管理を嫌がる悪魔からの譲歩.「律の願いがかなった後の律の精神の所在は悪魔に一任する」.この不利な契約を受け入れる.

 

ー12ー

目をあけると自分を押し倒す理沙の姿があった.

年を経るごとに強くなった力を理沙に使う.理沙に触れて,すべての不安や病気を吸い取る.

例え,自分の身がどうなっても,理沙と美果子が隣り合って入れるように,セカイのすべてを犠牲にしてでもあなたを守る.そう決意を理沙に話す.

もう理沙は大丈夫.理沙を癒した魔の力を理沙は優しさという.その言葉を聞いてすべてが報われた気がした.最後に最愛の相手を救うことができた.最初の相手が理沙で良かった.最後の相手が理沙でよかった.

最後に,もう絶対にこの時を忘れない,愛するあなたを思い続ける,そう告白した.

 

悪魔は,理沙の病が残った世界とない世界を繋ぐいけにえを捧げろという,そのうえで,理沙の死ぬ世界に戻ってもらうとも.そしてその生贄は理沙.理沙には医師に誤診され,恐怖の怯える日々をもう一度送ってもらう.

いいのか!?悪魔!?

悪魔の,演劇をいいものにしたいという言葉.それを守ったに過ぎない.

 

ー13ー

劇を終える.

お別れを言おうする美果子に,そして理沙に真実を告げる.

劇の裏で行われた戯曲こそが楽しみだったという悪魔.悪魔が過去を知っていたということは,未来も知っていたといころ.つまりすべては悪魔の描いた脚本.ここから先は知らないという.描かれていたものかもしれないけれど,それでも3人が互いのために身を捨てた覚悟は本物だった.

二人に抱き着かれ,キスをされた律は,二人にも癒しの力を感じた.

 

ーエピローグー

悪魔と話すあかり.手ぬるいどころかいいやつだと怒りを見せる.そして人間にとっての決断の重要性のため,この悪魔は生かしておけないと考える.

様々な世界線を理解しているのか,あかりは...そして自分が律と結ばれるような,もしくは破壊願望のあるあかり自身や律が破壊されるような世界を追い求めている...

このエピローグはすべてで共通っぽいかな?あと悪魔の力はどうなった?TRUEで回収されると思っていればいいかな?

 

大好き!!好き!!だけど細かいところが気になる...

思ったことの詳細は総評で書く…

続く...!