えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

アオイトリの全体の感想とちょっとした考察

ー総評ー

名作...めちゃ好き...

おすすめ順は

理沙→メアリー→小夜→あかり

小夜とメアリーについては好きな方でいいと思いますが,個人的には小夜ルートの方が好き.あとは一応「正史」とあかりも言っているので最後に回してもいいんじゃないかなあとは思います.

シナリオのよさは

理沙<メアリー<小夜<あかり

 

ー感想ー

理沙ルートでは,理性の強い美果子と理性を失った理沙の対比.そして美果子の恋を応援するために,自分の恋心が露呈するという矛盾.

メアリールートでは,吸血鬼を含めた関係が二人で入れ替わっていること,なにより普通そうに見えて普通でない律と吸血鬼なのに中身は普通のメアリー.また二人ともなりたくない何かになっていってしまうという共通項.それを解決するのが律の吸血ということ.

小夜ルートでは,妹がもともと屋敷にいること.そして二人に初めは兄妹と知らなかったこと.力を奪い奪われる関係.

あかりルートは,特別な人たちと特別じゃないあかり.そして目の見えないあかりと鼻の利かない律.

などきれいな対比構造が多く,すごく好みでした.

 

そして全体についてですが,各所に書きましたが「死ぬ権利」というものに焦点が当てられているように思いました.

メアリーでは最初の自殺と個別の3つの選択.小夜では命を奪ってもなお小夜の希望を叶えるか.理沙ルートではその権利(どちらを生かすか)を与えられる.それぞれ,奪う,与える,選べるものになっていました.理沙についてちょっと無理やり.いずれのルートも悪魔の力で律が何とかしましたが.

 

ゆきちゃんというモブキャラもいい味出しているというか,あったかもしれないあかりの姿,普通を楽しめる姿という点で重要だなあと思いました.

 

ーちょっとした考察などー

=赤錆姉妹ルート=

そもそも平行世界でのみ二人が生き残れば十分なのか(元の世界でどちらかが死ぬのは構わなかったのか).まあこれは何もしないよりも,そういった可能性を残したかっただけかな?

そして何よりもともと,初体験の時の記憶がなかったのはなぜか.パラドクスが生じているように思えるんですよね.つまり,元の世界で初体験の記憶がないのは,律が過去に戻ったから.そして普通に考えるなら悪魔が世界を統一するために,行った操作の弊害と考えられます.ということは物語開始時点で理沙の病は消え去っていなければならないのに,その症状は消えていない.

整理すると,Aが元の世界(理沙の死),Bが戻った世界からの分岐(病の吸収),そしてA’が整合させた世界(誤診).この3つが存在するはず.時空の狭間でAはA'へと変化した.しかし初体験の記憶の喪失から,Aの時点でAとBはすでに繋がっていた.すでに繋がっていたということはAの未来から律がすでに過去に戻っている.ということはAはA’でなくてはならない.ということは症状が理沙に出ているのはおかしい.

これを改修するにはそもそも理沙に症状を出さない風にするしかないと思うんですがどうなんでしょう...誰か真実を教えてください...

 

=メアリールート=

疑問点ですが,他のルートで吸血鬼化が進まず,メアリールートでだけ吸血鬼化が進むということは,律への愛が吸血鬼化を促進するファクターというわけでしょう.それはなぜなのでしょうか?前後で独占欲が強くなっているので,独占欲かなあと思ったりするのですが...

極端に考えるなら,律と一緒に同じ時間を生きたい.律さえいればいい.という吸血鬼らしい思いにより,吸血鬼化が進んで,独占欲としてそれが表立ったとかでしょうか.

 

もう一つは,やけに子供っぽくなったシーン.このシーンは何だったのでしょう...上記と違って,小夜たちにもアーンってしていたし,独占欲があったわけではないと思うのですが...人間っぽくなってきている精神年齢が見た目になっているというミスリード?あんまりわからない.

 

あと理沙さんが生き残ってたのはなぜ?濁すだけで十分だと思ったけど,,,

 

=小夜ルート=

小夜が言う「生きる」という意味の多さ.ただ生存するのではなく,大切な,愛する何かを愛でながら生きるという意味.たとえそれが死に直結するとしても.

 

初めなんでここまで容姿を似せたんだろうと思ったんですが,バニシングツインの話から,二人で一人っていうものを大事にしたのかなあと思ったり.

 

なにより,ちゃんとハッピーエンドに持っていけたのがいい.後述しますがそれぞれの世界がちゃんと正史になったのもいい!

 

=あかりルート=

まず母乳が出ることについて.これは処女受胎を受けたマリアのことを強く意識しているんじゃないでしょうか.ちょうどその事実がわかったとき,あかりは処女だったわけですし.だからこそ受胎というものが一種のキーポイントになっていたのかなと.

 

なんといってもお腹の子とのやり取り.お腹の子は救世主なのですが,そんな救世主だからこそ,死に往くあかりは自分の子と会話することができた.そして救世主もまた子供だから,父と母に愛されていることを知って,あかりの死を認められたし,もう一度生まれる未来を手繰ることができた.最後の世界はあかりの叫びと,小夜ルートの律の力と,物語の語り部である救世主の生きたいという祈りの力による,併せて言えば愛の力によるものですよね.最初から最後まで愛の力が奇跡を凌駕するというテーマ一貫性.神.

そして悪魔が死んだからこそ,もうどの世界を正史にするか選ぶ存在もなくなった.それぞれの世界が正史になった.これも好き…

 

以上!!