=傘ルート=
ある意味ここまで段々好みじゃなくなっているのは傘ルートをやるうえでいいかもしれない.傘は最期固定らしいし.
まあ内容は咲奈ルートに出てきた妹の美桜関連だろうなあ.
~第六話 傘と、妹扱い。~
ー1ー
ちょっと元気がない傘.
夜,早退した傘をお見舞いに.
原因は春斗が死んでしまっているという事実だという.そして春斗の今まで通りにしてほしいという以降に沿えないことも気にしていた.
なぜ黙っていたかを聞かれ,ここまで悩んでくれているのだからと正直に答える.死んでいることを認めてしまえば,生前の記憶がない自分の存在が揺らぐような気がするから.
傘は春斗の手を握り,春斗の存在を実証する.あるがままの春斗を肯定する.
まああとはいつも通り.
~第七話 雪と、夜のデート。~
ー1ー
今日来た予約外のお客様はカップル.死因は旅行の途中での事故死.担当は傘.
一般のお客様もカップルばかり.そんな様子をみて春斗は少々自責.
そんな春斗を見て,傘は雪夜の散歩デートに誘う.そして手を握ったまま門から出ることを試してみる.なんとかなるかもしれないという淡い期待.この手の感触が消える,それは春斗の死を改めて認めるという恐怖.その恐怖に打ち勝ち傘は門をくぐる.そしてその瞬間手の間隔は消失した.淡い期待は打ち砕かれたが,前以上に一緒にいるだけで幸せという気持ちをかみしめる.
ー2ー
亡くなったお客様も旅立たれる.
~第八話 傘と、幸せ。~
ー1ー
今日は生きたお客様が予約外でくる.きっと昔ここで成仏されたお客様の一人.
60年も前にいらっしゃった野球選手,しかし戦死した方.未練は野球をしたい.それが叶うまでの2年間働いていた.たまたま来たプロ選手に打たれて,泣いて喜んでお帰りになられた.春斗もそんな風に戻ってくるといいというトキさんの話を聞き,酸は少し暗い顔をしていた.
傘がこの旅館に来た理由は,両親が今海外にいるから.一緒に来いと言われたけど断って,その折衷案でどこかにお世話になる条件を突き付けられ,今に至る.
今は両親が帰ってきても,やめるつもりはないという.
~第九話 来客と、頭痛。~
ー1ー
予約されたお客様,川渡様.そのうちの女性は美桜という女性であった.春斗の顔を訝しんでみる美桜様.兄とそっくりという.その言葉を聞いて,なぜか心乱される春斗.
そんな春斗の異変に傘だけは気づいていた.
そして,旋太郎に美桜様を気にしていることもバレた.
なんとかなる,傘の言葉を胸の中で繰り返す.そして苦しみから逃れるために,体を重ねる.
ー2ー
咲奈が川渡様のお部屋に朝食を運ぶと,美桜様と咲奈はお互いに気づく.池月くんの妹と兄の友人.
咲奈はその兄妹という事実を伝えるか悩む.
~第十話 過去と、妹。~
ー1ー
咲奈から美桜が春斗の妹だと聞く.そして咲奈が同級生だったことも.同様の隠せない春斗は思わず咲奈を責めてしまう,何故教えてくれなかったのかと.咲奈は正直に未練が叶って春斗がまたいなくなるのが嫌だと言う.
もし美桜と接触して,未練が判明したら,この旅館から去らねばならない,傘がいるこの旅館から.
会いたくないと思っていても,チャックアウトの時間は来る.妹のような傘と妹の美桜.美桜の口から紡がれる,咲奈が兄の同級生だという事実.
ここをまだ去りたくない,そして何より怖い.そう思いそのまま川渡様を見送る.
しかし川渡様の部屋からスマホの忘れ物が見つかる.色はピンク.きっと美桜のものだろう.それについたイルカのストラップを見た瞬間,頭痛がする.
「お土産それにするの?」という咲奈に似た女性の声.そしてそのお土産を嬉しそうに受け取る声.春斗に向けたであろうお兄ちゃんという言葉.
まるで切れない縁かのような忘れ物.
傘に会いたい,ただそう思い傘の部屋を訪ねた.
ー2ー
そして来る美桜からの電話.そして川渡美桜の名で宿泊予約がしたいとも言われた.2週間後に今度は一人で.
~第十一話 春斗、美桜~
ー1ー
美桜の宿泊の日.トキさんにも傘にも心配される.
そんな傘に手作り料理を作ってもらう約束をする.
平静を装う.美桜からの視線に耐えられない.
そして仕事後,部屋に呼び出される春斗.断りたいという春斗に,後悔しないのなら断ってもいいというトキさん.選択肢はなかった.なんとかなる,傘の口癖をつぶやく.
呼び出した理由.それは受付の春斗が兄に似ていたから話がしたかった.そしてイルカのストラップの思い出を語る美桜.そして兄と美桜の写真を見せられる.自分そのものの美桜の兄.そしてまたよみがえる記憶.
本題を急かす春斗.美桜は自分の旧姓を告げる.池月美桜.そして美桜は春斗に名前を聞く.それが部屋に呼んだ,この旅館に来た理由.静かな,そして何かを確信しているかのような声.
池月春斗.美桜は兄と同じ名前だという.兄は死んだけれど,それでも信じるしかない,信じたいと思う.今自分の目の前に最愛の兄がいるという事実を.「お兄ちゃん」その美桜の一言で春斗は正気を保っていられないほど動揺する.
頭痛がする.平気だという美桜の声,そして火傷の痕.そのまま倒れる春斗.
~第十二話 春斗逝き、~
ー0ー
殴られる.コンクリートの冷たい感触.数の暴力で殴られ続ける.
きっかけは美桜.同級生から酷いいじめを受けていた.それに全く気付かず,気づいたのは美桜が病院に運ばれてからだった.二度と消えることのない足の火傷痕.怒りに任せ,無理に美桜から名前を聞き出し,その同級生の元へ向かう.思わずその同級生を殴ってしまい,そこからはその彼氏と仲間に殴られ続けた.何より怒りを感じたのは自分自身にだった.唯一の肉親,それなのにこんなことになるまで気が付かなかった.自分以外に美桜に寄り添ってくれる人はこの先できるのであろうか.美桜に心の中で謝りながら意識を手放す.
ー1ー
意識を取り戻す春斗.自然なほど美桜が妹である事実を受け入れられる.
火傷の痕を確認する.今もまだ残っている.依然と同じような怒りを感じる.美桜はこれまでのことを話す.川の中から春斗が見つかって,何も受け入れられなくて,学校を退学して,施設を出て,何とか生きて,好きな人ができて,火傷のことを気にして,それでも受け入れてもらえて.
その場にいた傘に記憶,未練を取り戻したことを伝える.美桜の未来を知ること.自分がいなくても美桜が幸せになること.それが未練.
美桜の口から今は幸せという言葉を聞く.好きな人と暮らせて,死んだはずの兄とも会えて.満面の笑みを浮かべる.胸の奥が熱くなって安心した気分になった.ああこれが未練を叶えた気持ちなのかと春斗は理解する.
現実に引き戻したのは傘の動揺した声であった.春斗がここからいなくなるという事実に動揺が隠せない.なんとかならない.きっと二人はこの冬を越えられない.
~最終章 春と『幸』。~
ー1ー
美桜と最期の別れをする.またここに幸せなまま来ると約束して.
残された時間は18日程度.この10年を考えると,あっという間であった.
傘は部屋から出てこない.
夜,トキさんの口からみんなに春斗が退職することを告げられる.
そしてそのあとまっすぐ傘の部屋に向かった.
いつも通りの笑顔を浮かべる傘.口調もいつも通り.それでもどこか違う.まるで違う人物と話しているような感覚.異様なまでに明るい声.今日仕事を休んだとは思えない.現実を受け入れていない,来るはずのない春斗との未来を語る.ただ一言名前を呼ぶ.震える傘.涙ながら出ていかないでくれと言う.自分じゃなんともならないから,なんとかしてと.自分が未練を作る,ここから出ることを考えられなくなるくらい気持ちいいことしてあげる,そういいながら唇を押し付ける.泣きながら,いなくならないでくれと懇願する.
傘が眠ってから今までのことを思い返し,あまりに酷な現実を恨む春斗.
ー2ー
着替えたものの体が動かないという傘.ただ抱きしめ合う.
傘を励ますみんなの声.それでも現実を受け入れられない傘.そこにトキさんがマスターキーで入ってきた.
駄々をこねる傘に,橙花やトキさんは叱りつける.そういうことで誰が一番苦しむのかと.それでも諦めきれない傘に,春斗は優しく諭す.未練を叶えたものだからこそわかる死の予感.だから安心して逝かせてほしいと.一緒にいれないから,せめて悔いを残さないまま逝かせてほしいと.
トキさんからのアドバイス.「寄り添う心を忘れるな」それは誰に対しても.この旅館に来た時にもらった忠告.自分の望みに向き合うように言われた.
春斗の望み.それは悲しむことなく,最後の日まで過ごしたい.どうせ逝くならば,ここでの日々が幸せだったと心から思いながら逝きたい
本当に愛する人であれば,その人に寄り添ってあげなさい.そう言って部屋を去る.
休みをもらった春斗たちはただ抱きしめ合っていた.
傘は,最初で最後の春斗のわがままを受け入れる.先のことを考えずこれまでと同じように楽しい日々を過ごし,2人きりの時は今の春斗だけを見て,そして最期は笑って見送ってほしい.
二人はまずみんなに謝りに行く.そして春斗は荷物の整理をする.最後の日まで二人は傘の部屋で暮らすことに.
ー3ー
今までと同じ日常を過ごす.そんな日常が無くなることが惜しく感じてしまう.
ー4ー
お客様がどうも懐かしい気持ちがすると言っていた.やはり生まれ変わりはあるのかなあと思う傘と春斗.
トキは自分の未練が後継者を探すことだと言いながら傘と春斗を見る.傘が気になるのは生まれ変わるのにどれくらいの月日がかかるか.
トキさんは責任ある立場にもなれるように,様々な経験を傘が積むことを願う.
ー5ー
今日はお客様なし.トキさんの言葉に甘えてみんなは露天風呂に入る.
ー6ー
橙花さんに飲みに誘われる.傘と3人で飲み会.最後の飲み.
酔った橙花さんの目からは涙がこぼれていた.
ー7ー
まことさんとお風呂に入る.まことさんにしては珍しい夜風呂.去り行く男の背中を流すというまことさんなりの選別.
そして傘は手料理を作ってくれていた.大好物のカレー.いつの日かの約束.
ー8ー
残り1日.明日の夜にはもういない.
旋太郎から別れの言葉を受け取る.お前とだべるの,嫌いじゃなかったぜ,親友.生まれ変わってまた来いよ.
二人は最後の夜を過ごす.最後になんでもお願いを聞いてくれるという.春斗の願いは,一晩ずっと一緒にいてほしいというもの.ただそれだけで十分だった.
ー9ー
今日は傘も小羽も学校を休んだ.いつ逝くことになっても間に合うように.
残りの時間もできる限りいつも通りに過ごした.
与えられた最後の自由時間で旅館を歩き回る.10年間の思い出を振り返る.
ゆき,雪,逝き.ゆきの看板を見ながら,思わず逝きたくない,ずっとここで過ごしたいと思ってしまう.そんな時,旋太郎に宴会の準備ができたと呼ばれた.
それぞれから贈られる最後の挨拶.みんなが共通して述べるのは感謝.支えてくれてありがとう.遊んでくれてありがとう.
咲奈も残る決心をしてくれて様でよかった.
そして消える気配のないまま宴会はお開きになった.
トキさんから傘以外へ言葉を促される.傘は最期を見送るのだから.
春斗が述べたのは感謝.
トキさんからの言葉は一つ.どうかまた.
二人はデートをする.初めてしたデートコース.
春斗がいなくなった後の未来の話をする傘.このままゆきに残りたい,ずっと.どうなるかわからないけれど,ずっと春斗のことを忘れない,忘れられない.これだけは確実.
消え始める春斗.そんな春斗に本当はきっと辛いから,春斗のことは全部忘れてしまいたいという.春斗も同じことを願う.それでもこの気持ちや思い出は消えることはない.それでも将来を見つめ生き続けると約束する傘.なんとかする.最後に今までの感謝を伝える傘.春斗と出会って,好きになって,叶うことはないけれど初めて目標を見つけられた.そして今新しい目標をみつけたことも.ここでずっと,春斗が生まれ変わってまた来ることを待ち続ける.二人は涙を流しながら笑い合う.そして再開を約束し,春斗は消えた.
~エピローグ~
あれから20年.若女将になった傘.咲奈は仲居頭.小羽は料理長.
美桜のリクエストで久しぶりに普通の仲居服を着る.
傘は帰ってきた大学生の娘に微笑みかける.傘の娘を紹介したいお客様は父親の妹.
そこへ童顔の青年が訪れる.童顔の青年にじゃれる,ゆきにすみ着いた猫.青年は初めて来た気がしないという.春斗と同じため息.傘の名前を聞き,ひっかかりを憶える青年.笑って出迎えるという約束.一瞬幼き日の傘が今の傘に重なる.
「旅館ゆきにようこそ!」
ピークは妹の話だったなあ.本当に純粋な妹への愛情を感じられてよかった.落ちがネコと一緒っていうのがなんだかなあ.ただでさえ予想がつく展開だから…それでも傘ルートはなかなか好き.ちゃんとネコや咲奈や小羽の問題を放置しなかったのも良き.
続く