=第2章=
ー0ー
被害者園城寺景子の息子でミステリー作家の園城寺渉.義弟,本職探偵の浜勇士郎.そして萌花と一真の四人.創作によくある密室殺人.唯一のカギは景子の死体の下.
この4人以外の声が聞こえる.真相に気づき,現状を楽しむかのような声.
心の声を頼りにその人物が潜む隠し部屋を見つける.犯人は高永.
ー1ー
話はさくらが亡くなってから3週間後に遡る...そろそろ班合宿の時期であった.
平常運転に戻ってきた学校の面々,萌花と一真を除き.
さくらが転落した時の状況:
百合子,夏希→グラウンドで目撃
グラウンドに到着したのは,沙彩,一真と萌花,北上,高永の順.
沙彩はプール,北上は部活棟,高永は体育館から.
ここまでの矛盾のなさは3班の中に犯人がいないことを示していた.犯人の心の声も聞こえず,あの聞こえた声も何かの間違えだったのではないかと思い始める.それでも萌花は愚直なまでにあきらめていない.
そんな声を聞いているうちに,萌花を3班に誘っていた.萌花がもともと余っていて,さくらという欠員が出たからというわけではないが.そしていつの間にか班長になっていた一真.
萌花も無事3班に入った.バタバタしていた中勝手に決められた合宿先.そこはある屋敷.そこの手入れの手伝いが目的.
百合子の左手薬指にはまった指輪と,園城寺景子さんの息子が来ることに緊張する百合子.大鳥家の後ろ盾を欲しがる園城寺家.
みんなで女子風呂の覗き.さくらのことを思いしんみりする中,聞こえる声.「さくらが霊としてついてきているなら,きっと彼女を殺した私のことをにらみ続けているだろう」
一真は夏希も犯人じゃないと言っていたけど,3班に犯人がいるとして,犯人じゃないと言い切れるのは萌花だけだよなあ.直接落としたか,精神的に殺したかみたいなのもあるよなあ.
食欲のない百合子.もちろんその原因は左手の薬指にはまった指輪.両家は乗り気だが,本人たちは乗り気でない政略結婚.自由になるため,家から出たいという百合子.
優秀な人物を残すため,身内であろうと無能は放逐し,養子を迎える.時代と共にその策略もうまくいかなくなってきた.そんな時利用されたのが百合子.さくらの件があったからか,本気で百合子を心配する心の声たち.
皆イイヤツなんだなあ...
夜,眠れないので談話室に行くとそこには沙彩が.二人でお茶を飲む.いつもと違って不思議ちゃんではない沙彩.そんな沙彩にさくらの話を持ち掛けられる.誰かに頼まれて事件を調べる沙彩.不幸な事故ということに確信を持っている沙彩.様々なことがわからず混乱する一真.それでも沙彩が一真のことを本心から心配していることだけは理解できた.
一真は心の声から沙彩もシロと判定.じゃあ残りは百合子だけになるのでは...
ー2ー
浜と渉がやってくる.作家を続けたい渉と,跡取りになりたい浜と,渉に継がせたい景子.
争う3人.そこに仕事で入る萌花と一真.そんなとき景子はゲームを持ち掛ける.稽古がトリックを用意し,浜,渉,一真と萌花の3人で真相を争うというもの.稽古からの挑戦.そして物語は冒頭へと戻る.
ーー
一真たちが勝利し,意気揚々な景子.
お礼として館内図をもらう.まるでからくり屋敷.これで課題も終わり.
酷い嵐で眠れない.昨日のようにお茶をしようと廊下に出るとうずくまる百合子がいた.衝動的なノイズが聞こえる.さくらや夏希が性的興奮を覚えた時の様なノイズ.続けざまに聞こえる,女の子でもすがってしまうかもしれない,熱い熱いという声.
ここで見たことを秘密にできる?という問いかけ.ばれることに恐怖を感じる百合子に,絶対秘密にすると約束した.おそらくは景子に騙されて一服盛られたのだろう.そして二人は身体を重ねた.
一真を巻き込んでしまったときにする百合子を慰める一真はただ一つ聞く.さくらの死について知ることはないかと.ただ知っているのはさくらの必死そうな,自殺なんてしそうもない顔.さくらの死について自責の念のある百合子.きっと百合子も犯人でないのであろう.
ああ,私っていう1人称に引きずられていたけど,男も容疑者か.
ー3ー
土砂崩れで道がふさがったらしい.そして景子と高永はまだ寝ているらしい.そして響く景子に何かあったぞという声.
そして死んでいた景子.部屋に入るとそこには血まみれの景子.本当の密室殺人.高永はまだ見つかっていない.何かの細工がスルーされていることに喜ぶ犯人の声.残されたダイイングメッセージは「シュン」.高永は昨日と同じように隠し部屋にいた.まるで犯人が高永と示唆するように.カギとなるのは1本足りないバラ.
犯人は探偵ごっこの内容を知る4人のうちの誰かなんだろう.
皆殺しにしてでも翔子の隠滅を図ろうとする犯人.
ここから推理パート.
犯人は浜.
推理がわかったとき気持ちいいいいい・
激高した犯人は萌花を人質に取ろうとする.守る一真.犯人を合気道で組み伏せる百合子.
こうして3班の合宿は終わった.
ー4ー
足りないバラの本数.そのことを萌花に証言してもらう.そのことで疑問をもつ萌花.しかしもうこれ以上はどうしようもない.祖母が萌花のような裏表のない祖父になら打ち明けられたように,萌花に打ち明ける.嫌悪感を抱かず,一真の辛さを理解しようと歩み寄る萌花.葛藤して受け入れられたわけはないから,嬉しいわけはない.それでも救われた気分にはなった.
そしてさくらについての真実を話す.犯人の声を聞いたことを.
転校性がやってくる.その子はさくらに瓜二つだった.
なんでこんな残酷なストーリーを描けるの⁉涙が出て来た.プレイヤーとしてすら受け入れられないのに,一真たちが受け入れられるわけない.大好きだった人の死を受け入れようとしている最中に,その人の生き写しである人物が自分たちの懐に入ってくるなんて...
おもしろ.
続く!