えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

最終兵器彼女の感想

漫画版です.そこそこ前に書いていたメモがみつかったので...

 

ただ懸命に生きるということ,人を愛することが伝わってくる傑作だったと思います.レビューを見る限り賛否あるみたいですが個人的には賛.

気になったのは背景が適当なのが嫌と意見(たとえば何故チセがといった)です.一応は開発中の兵器が狙われてその近くにいた少女がたまたまチセだったといった設定されていたのですが,それでは不満ということなのでしょう.何が不満なのかわからないです.この作品は生きること,愛することを二人の恋愛を通して伝える作品なのですから,そういった設定は不要なのではないでしょうか.むしろ○○粒子が~○○理論が~といった雰囲気をかっこよくするためだけに疑問点が逆に湧き出てくるような作りこみをするぐらいならこれくらいの設定のほうがベター(ベスト)だと思います(というよりよっぽど科学に精通していないと疑問点を少なくするのは不可能でしょう).さらにその設定が作りこめたとしてもそのせいでテーマが薄くなるくらいなら不要だと思います.

数々の印象に残ったシーンはありますが,特に「明日は来ないのに,町の人々が明日に想いを馳せる」シーンと,「一度両親に会いに行ってすぐちせに会いに戻る」シーンが大好きです.理由は言わずもがな.特に後者は両親への愛と,それ以上のチセへの愛が感じ取れる秀逸なシーンだと感じました.我々は生まれて,全員が全員ではありませんが,家族を愛します.そして大人になって血のつながった家族以上に大切な人を愛し始めます.その決定的な,作品を通して描かれてきたシュウジの成長が現れているようで...

ラストシーンも印象的でしたね.1人で生きることの哀しみはわかるが,それでもただ一人船に乗るシュウジ.その決心,想いの強さがチセとの再会という奇跡を生み出したのかなあと.これから先シュウジが先に死んで,チセは本当の意味で一人になるんでしょう.人の心を取り戻したチセにとってはそれはきっと辛いことでしょうが,それでも二人の再開は二人にとってこの上ない幸福なのです.二人がこの17年の人生のたった数週間を慈しむように.

地球を取り巻く出来事は壮大だけれど,描かれるのはほとんどが二人の恋愛劇.テーマがしっかりしているからこそ,これほどまでに現実離れした世界の中で,これほどまでにリアリティある感情が描けたのかなあと思った作品です.

 

他にも大江健三郎の飼育とかのメモが出てきたのでいずれまとめようかなあと思ったんですが,これはたしか中学生とかのころのメモなのでさすがになあ...

 

以上