えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

アマツツミの感想(水無月ほたる)

水無月ほたる ー蛍ー最後の一週間=

ー1ー

ほたるは愛を呼び出す.本題は,誠は人の命を救えるか.誠で無理なら,愛なら.愛の返答はありえないというものだった.もう誰も救おうとは思わない.しかし誠がそれを望んだ時,それを手助けするのではないか.すこしずつ命を分け与えるようにして.しかしそれすらも否定する.愛自身にも余裕がない.そして誠に救われた自分の命を誰かのために捧げるという選択肢はない.そう言った.ほたるはもう誰も救うことができない.その事実に笑顔を浮かべていた.救いたい相手に死んでほしい.そうほたるは思っていた.

 

病院へ向かう.これまでの経緯を知り,不機嫌な目の前の闇に.自分が助かる道と共に,あなたが助かる道はなくなった.いくら目の前の闇に罵倒されようと,ほたるにとってはその事実が恐悦至極だった.そして12時を迎え,闇の言葉と共に意識を手放すはずだった.「人を動かすのは絶望でなく,愛情.あなたは何度でも彼に恋をする」闇のいうその言葉を確かめに,ほたるはまたあの人に会いに行く.

ーーーーー

元気なほたるは,文字通り顔だけ見て帰っていった.

 

こころがいうには毎週月曜日になると,ほたるは誠のことをよく聞くらしい.それもよくしっていることを.

 

ー2ー

テスト.暇すぎて愛は帰宅.1時間受けて諦めた誠もそうそうにサボり.そんな時中庭で出くわしたのはほたるだった.

 

二人して湖畔で語り合う.他人のいる世界といない世界の狭間で,他人のいない世界の美しさと,いるせかいの素晴らしさについて再認識した.不思議な少女を前に,自分はほたるをどう思っているんだろうという疑問が生じる.

やはり会話の中でずれを感じながら,1つの可能性が思い当たる.ほたるは記憶を失くしているのではないか.それと同時に,3人を選ばないという選択を選んだのは,きっとほたるが好きなんだということも伝えた.結果ほたるは逃げた.

 

けじめとして二人にもあったことを話す.涙声でこころはほたるを幸せにしてあげてと願う.愛はほたるに裏があることにだけ忠告をした.それは誠も気付いていたこと.

 

 

 

ー3ー

こころの企みのおかげで,ほたると話をすることができた.告白の返事は待ってほしい.何曜日かを聞いたほたるは,来週の月曜日にもう一度告白してほしいという.たくさん幸せなことがあったわたしはこれで十分かなと言う.誠は本心から,何か助けになれるならと告げる.ここまで予想通りか,そうつぶやくほたるはどこか寂しそうだった.

 

 

ー4ー

月曜日.テストも最終日.そして告白の日.

二人が見つけた二人だけの場所で,蛍を身にまとうほたる.これ以上にない光景.知っていたはずの告白.望んでいたはずのロマンティックな告白.しかしほたるは初めて聞いたかのような反応を示した.答えは私も好き.ただ1つだけ.一週間だけ様子見をさせてほしい.一週間経って,ほたるのことを手に負えないと思ったら,ほたるには気にせず,恋人を解消してほしい.ほたるが何かを隠しているのは知っているし,ほたるのすべてを知っているなんて傲慢なことは思わない.それでもほたるのことを嫌いになるはずがないことだけは胸を張って言えた.

 

 

 

ー5ー

だんだんと言霊の力が弱くなってきていた.しかしもうあまり言霊を使いたくないまことにしてみれば,そのこと自体は問題はない.

 

先週の自分にさえ嫉妬するほど誠のことを好きになっているほたる.誠のことを考えながら向かう場所は,病院の霊安室だった.幼いころは死を恐れ近づけなかった霊安室に,何も感じず近づける自分は同じほたるなのだろうか.

ほたるの前の少女は,先週の検査の結果を告げる.持って8月,悪ければ1週間.少女はほたるに命令する.なんのためにお前がいるのかと.何とかして生きようとする彼女は,ただ世界への恨み言を口にする.自分の代わりに誰か死ね,死んでしまえ.

図らずも少女の願う通りの道を進み続ける.残された一週間.それはほたるにとっても残された時間だった.誠のことが好き.だからほたる自身のことをすべて伝えなくてはいけない.

 

ほたるから明日の放課後,そちらに向かってもいいかとお願いされた.誠に会いたいそういって.そして行くまでにシャワーを浴びておいてほしいとも.

 

 

 

ー6ー

男性を好きになる気持ちがたぶんまだわかってないから,身体でつながれば心でも繋がれるんじゃないか.そう期待しての決意だった.

二度目の逢瀬.しかしほたるにとっては初めての逢瀬だった.疑問が残ったまま,ほたるは帰路に就く.

 

ー7ー

二人だけの場所で,ほたるは誠とほたるの思い出を語ってほしいという.そんな真剣で美しいほたるをみていると,聞きたかったことも聞くのをやめ,出会ってからの思い出を話した.そうした思い出の中で,初めて身体を重ねたことだけは秘密にした.一番強烈な思い出を.やはりほたるは憶えていない.神様としてではなく,恋人としてほたるの役に立ちたい.そう申し出た.ほたるは日曜日の23時55分に会おうと,そしてその時すべてを明かすと言った.先週のほたるは,今週のほたるにあなたの想いを託してくれたから,来週のほたるに生きる意味を託さなければならないという.今日できなくとも明日なら,未来の自分なら願いは叶う,そう信じられるように.だから私はここまで.ほたるは感謝を表して帰っていった.

 

ー8ー

ベッドの上から動けない少女に,彼が来ることを告げる.それをさも当然かのように笑う少女.それがお前の役割だと.今の,誠から本当の愛を教えてもらったほたるは,少女が哀れに思えて仕方がなかった.

ーーー

23時55分.あと5分後,シンデレラの魔法は解けるというほたるはわけのわからない,まるで今生の別れかのようなことを言う.そうして24時.ほたるの体は輝き始める.それは鈴夏との別れと同じ光景.消えゆくほたるに誠は思わず言霊を使おうとする.しかしほたるはそれだけは許さなかった.あずきのため自らの命を捨てようとし,しかし同じようにしようとした響子を止め,思い出に囚われていた愛を救った.これはすべて誠が生きていたからこそできたこと.ほたるが好きな誠を無駄にしないでほしい.それにこれは終わりでもあり始まりでもあるから.きっと後悔はあるだろうけど,わたしがあなたの選んだ選択を信じてあげる.だからあなたは自分自身を生きていかなくてはならない.それが私の願い.これからあなたは私を生み出した,人間のエゴ,悪意が詰まった人間に会うことになる.誠さんのよく知るその相手の言葉に惑わされないで,間違った答えを選ばないで.やっぱり死ぬのは怖いな.変なお願いだけど,ほたるを愛して.何度生まれ変わっても,わたしはあなたに恋をするから.そう言い残し,ほたるは消えていった.

すぐに電話がかかってきた.その相手は水無月ほたる.呼び出された先は病院だった.わからないことだらけだが,前に進むしかない.それが誠にとってできる唯一の事.

そして初めて彼女に会う.憧れていた人間らしさを凝縮した,初めて殺したいと思った人間に.

 

 

ほたるに似た,しかしほたるとは程遠い少女は私が水無月ほたるだと不機嫌そうに言い放った.彼女は自身が癌に侵されているという.そしてそれはもう手遅れで,なぜ生きているかもわからない状態.そして死にたくない,生きたいと願う気持ちが奇跡を起こした.ある日目の前にもう一人の自分が現れた.ふざけた奇跡と神を憎んだ.誠はきっとこのほたるにも似て非なる力が宿っていると感じる.

目の前のほたるに似た少女は,それでも全くほたるではない.そう感じると,全く同情することもなかった.会いたいのはあのほたるであって,このほたるではない.

目の前のほたるは,私を治せと言う.当然,そんな力が残っているわけもなく,このほたるを助けたいわけもなく断った.少女は笑う.だからこそ,それでも救いたくなるような人質を用意したと.わたしが死ねば,あなたが知るほたるも消える.そして1週間ごとに創り出されたほたるは消えるといい,そのことを知ったときの絶望の表情を笑う.そしてようやく残酷な現実に気づいた.ほたるは彼女「たち」で,彼女たちは別人なのだ.そしてその彼女たちは毎週のように死を経験している.死の恐怖に耐えながら,それでも誠を支えてくれていた.ほたるを侮辱するこの女に,はじめて殺意を抱く.「死ね」といいそうになった.しかしかつてほたるがそう言ってほしいと言ったことを思い出し,その呪いの言葉を飲み込む.

思わず言った笑うなという言霊は,この少女には効力があった.ただし,受け取る側の魂が弱すぎてその効果も一部だけのものだった.そう推察した少女は高笑う.だから言霊の効かないあいつらに魂がないと証明したのはあなた自身であると.

彼女の言うように,今の自分にはどうにもできない.部屋の外でほたるが待っているから.だけどやることは決まっていた.1週間後,この悪魔を

=・・・・・・=

病室の前で待っていたほたるは,オリジナルのしたことをまず謝罪した.そしてすべてのことを聞く.健全な魂は健全な身体に宿る.それがたとえ1週間の命であったとしても.オリジナルの目的はただ生きることだけ.そしてそのためにほたるのことを好きにさせようとオリジナルがしていたことを謝罪した.続きは明日.いい夢が見れますようにと言葉に願いを込めてほたるに伝えた.

 

ー9ー

ほたるはオリジナルだけでなく,自分も救う必要はないという.ただこの1週間を楽しく過ごせればいい.

ほたるがオリジナルと違うことを考えられるようになったのは,運命を感じたから.誠と出会えたから.誠を好きになることが自分の目的.最もその運命はオリジナルも感じているのだが.夏の暑さに汗が噴き出す.遠くで走る車の音.名も知らぬ星座.草と土の匂い.そんな簡単なことだけで,生きていると実感し,世界を恨む気持ちがすっ飛んで行った.だから精いっぱいこの世界で精一杯笑顔で生きようと思うし,これまでのほたるも同じように思ってきたんだろうという.そしてたぶん,ほたるたちは贖罪を始めたんだとも.オリジナルが世界を憎む分,笑顔を世界に溢れさせようとして藻掻いていた.そんなある日,誠と出会い,生きる意味を得た.死ぬために生きる里の生活を抜け出した誠とオリジナルはどこか似ているのかもしれない.

こんな状況でも自分のことを恋人と思ってくれるのかとほたるは聞く.いままでのほたるは次のほたるのために,誠にほたるの欠片を繋いできた.オリジナルでなく,誠の中に繋いできた.だからこそ本当は違うほたるもほたるとして愛せる.今度は誠がその想いを今のほたるに話していく.

 

再び待ち合わせをし,二人だけの場所をほたるに紹介した.蛍が舞う中で,今までの話を全部した.最後のほたるのためにほたるたちが残してきた想いすべて.オリジナルはもう次のほたるを創り出すつもりはない.人質.その事実をほたるは喜んだ.消える前に,誠と過ごした水無月ほたるが1つになれたから.それでも誠は救いたい.それをほたるは止めない.だからほたるも残された時間で自分の望むことをする.まず最後の1週間を最高に幸せな時間にすること.それと,今までのほたるの誰よりも誠のことを好きになること.

家出の居心地の悪いというほたるを織部家に誘う.本当は一緒にいたいからだけど.

指先に蛍が止まる.好奇心から飛ぶなと言霊を使ってみた.ほたるが用意をする間,1つ気まぐれに賭けをした.このまま蛍が飛ばないなら,かつての自分と重なるオリジナルに会ってみる.

ほたるはオリジナルに向かって飛んだ.どうやら言霊が効いていたわけではなかった.蛍を離したことを非難するオリジナルに,蛍から連想される和歌を聞いた.返答はほたると同じもの.やはりオリジナルはオリジナルなのだろう.けれどこの少女は恋する楽しさを,あの場所での蛍の美しさを知らない悲しい少女なのだ.そんな少女によく眠れるおまじないをかけて,病室を後にした.

成虫になると何も口にできて死ぬ蛍.子孫を残すためだけに光る蛍.水を求めオリジナルの手に止まる蛍は,少し手を握るだけで殺せる.さぞ愉快なことだろう.そう思いながら水無月ほたるは...

 

ー10ー

日常.

誠の頭をもたげる1つの可能性.誰か他人の命を使うこと.ほたるを救うためならば,他人の命を消すこともためらいはない.悪意.最後の一線の上に立つ.悩む誠にほたるは何を考えているかはわからないがやめた方がいいという.そんな泣きそうになりながら笑う顔をして考えていることは誰も幸せにはしない.昨日話した,あの日と全く同じ言葉がほたるから紡がれる.死ねと言われる相手ではなく,自分だけが自分を止められる.善意と悪意に板挟みにされ,あなただけが苦しむ.今ならほたるの言うことがわかる.ほたるとの時間を通じて,喜びをそして怒りを知った.

ほたるは1つお願いをした.自分がいなくなったら泣いてくれる?泣いたことのない誠に対する辛い願い.誠はそんな事態にさせるつもりは毛頭ない.

 

今日もオリジナルのもとへ赴いた.真偽はわからないが,どうやら蛍は逃がしたらしい.そのためにずっと見たくなかった外を見たという.

キミは純粋な怒りをくれた.だから君が嫌いだからこそ,目をそらしてはいけないと思ったといい,誠はオリジナルに話しかける.どのほたるも誠を好きになるというのなら,君も?そう聞くと笑っていた.別に嫌う理由もないし,命を救ってくれるのなら可能性はあるかもね.そう答えた.生に執着する彼女に,尊敬の念が生まれた.血でも才能でもなく,純粋な人間の力で神の域にまでたどり着いた彼女に.

オリジナルは横に座れと言う.他人の命を奪えと言う彼女に,例えそれがほたるの命であってもできないと言うと,ほたるは死んでいい人間を見繕うと言った.死んでいい人間なんていない.そうほたるも思っていたはずだった.彼女は病院で聞いた悪意の数々を話した.人を傷つけなければ生きていけないような人間の話.そんな話を誠は本心から認めた.それでも誠は折れない.ほたるはそのことを知ってもなお笑顔を世界に振りまくほどの善を知っているだろうから.僕は水無月ほたるを信じている,つまり君もかもしれない.そう聞いたオリジナルは初めて驚きの表情を見せた.もしも明日も来るなら椅子を用意する,だからケーキ,それとドーナツとピザを持ってきて,そういう彼女は少し楽しそうな声をしていた.

 

蛍のきまぐれな導きで,運命が交差するんですねえ.

 

ー11ー

今日と明日はふたりでデート.ほたるの提案はHなこと.そうして再び身体がつながり,心も繋がる.

 

オリジナルは椅子と櫛を用意させた.

 

昨日より早い時間なのに,遅いと咎められる.折ってやるという櫛を袖に隠す.

持ってきたのはケーキのその他おかず.食べる食べないの押し問答を続けると,櫛で髪を梳いてくれれば食べると訳の分からないことを言う.彼女をほたると呼ぶとどこか嬉しそうだった.

これまでの話を聞かせろと言われ,その通り聞かせると不機嫌そうに帰れと言うほたる.しかしこのまま帰りたくはない.いつの間にかこのほたるにも情が芽生えているのだろう.だからまた明日.そう言って病室を後にした.

 

あずきのケーキを久しぶりにおいしそうに食べるほたるを見ていると涙が出てくる.ほたるも苦しんでいるけれど,それ以上にこのほたるも苦しんでいるんだと.誠が去った後笑ってたけど,これも計算なのかな?そんなことは思わないけど...

 

ー12ー

二人で思い出の場所をめぐる.響子に会う.また今度,その一言で震えが止まらなくなった.幸せだからこそ怖い.それでもその怖いのも嬉しい.それは誠や他の皆を前よりももっともっと好きになった証だから.

ほたるは学園で出会ったこころにお願いをしたらしかった.それはほたるになにかあったとき,誠をよろしく頼むという遺言めいたお願い.私が消えたら別の女の子を好きになって,幸せになってほしい.そしてできるならその相手はこころがいい.響子や愛は女の子過ぎて嫉妬してしまうからと笑うほたる.

 

最後に回ったのは礼拝堂.いろんな人を笑顔にする約束を守ってくれてありがとうというほたるに,あと一人,僕も笑顔でいなくてはいけないと言った.そのためには君がいなくてはいけない.そう心で思って.

誠はほたるに結婚を申し込む.人生で一番幸せなことの一つだから.そんな血痕にほたるが憧れていたから.なにより誠もそうしたかったから.次に会う日曜日.その日二人だけの結婚式を執り行う.

 

 

 

ー13ー

日曜日までほたると会えないから,そのぶんこちらのほたると会えた.

思いついた一つの可能性,ほたるがオリジナルのために命を集めているという可能性を告げる.それでもそれが命を救うには焼石に水なことは明白だった.元気のない彼女に,命を救うほどではないが,自分の命を分け与えようと提案した.もしかすると殺されるかもしれない,その提案にほたるは乗った.

「僕は君が好きだ」話す中で気づいたのは,やはり君も水無月ほたるで,やはり君のことが好きだということ.ありったけの言霊をその気持ちに込めた.

あまりの力で誠の胸元をつかむ.誠に恋したコピーを羨ましいと思ってしまった.私はでくの坊にすら劣るのかと.そうしてほたるは自分と彼女たちを比べろと言う.そんなことをすれば死ぬかもしれない.言霊を渡したせいでされるがまま.しかしほたるは死ぬためだけに生きるのなんて御免だと言い放つ.それは誠と同じ願いだった.何度も何度も口づけをした.

眠ることに強い恐怖心を抱くほたるだったが,起きるまでずっと誠が横にいて,たとえ起きなくても必ず起こす,そう約束すると眠れたようだった.

数分して目を覚ましたほたるに1つお願いをする.それはコピーと対話をすること.1つのほたるを救う可能性はオリジナルを入れ替えること.そのことをオリジナルに認めさせること.今の力関係なら言霊の力で無理やりそうすることもできただろう.しかしみんなを幸せにしてほしいというほたるの願いにはもちろんオリジナルも含まれている.

蛍が見たいといい,ほたるは意識を失った.もう冷たくなり始めている.ほたるに繋がれた管を引き離し,病院から連れ出す.

 

輝く夏の月.じめじめと暑い大嫌いな季節を,ほたるはつかもうとする.意識を失う度に何度も言霊で命を送り込む.呼び出したほたるとともに誠とほたるだけの場所に向かった.

蛍の飛び交う中で,ほたるとほたるは本当の意味で初めて邂逅する.最後の力で歩き始める.1週間しかない命で,見知らぬ女の子のお見舞いをしていたこと.そのお礼を言われたことをほたるは話す.あなたのおかげでわたしも気分がよかった.もうほたるはほたるを人間として認めている.どうしてわたしはこんなにも変わってしまったのだろう.健康で,みんなの幸せを願い,笑顔を振りまいていたかつての自分.水無月ほたる.オリジナルはコピーの首に手をかける.そんな手を払いもせず,取り戻せるという.あと数分しかないかもしれないけれど,あなたが信じれば取り戻せる.だってあなたもわたしなんだから.そして水無月ほたるは自身を目の前の少女に譲渡した.そうすれば思い出にあるきれいな姿のまま,愛する人と一緒にいられる.

そうじゃない.誠はその願いを叶えない.自分は神じゃなく,人間だから.自分には足を止めず歩き続けることしかできないから.ただしてほしかったのは諦めることではなく,二人がそれぞれの考えを伝えあうこと.二人のほたる.似て非なる存在.命は増えないが,心は増えている.同じものなら1つを選ばなくてはいけないが,それが元から違ったものなのだとしたら.そう誠と同時に思いつく.

オリジナルのほたるとしてほたるを認める.そしてもとのほたるを新たなオリジナルに,記憶も感情も一緒に受け入れる.もしかすると何もかもが壊れてしまうかもしれない.それでも誠は自身にそんな失敗はしないと言霊をかける.進まなくては進んだ先のことはわからない.だから自分にできると言い放つ.

ここまで命を分け続け,誠の命も限界だった.死にたくない,生きたい.目指すところは同じ.二人は一人.水無月ほたるの心を1つに.そう言いかけて意識を失った.

あの笑いはコピーに嫉妬していると気づいた自分への失笑だったのかな?

ーーー

あと一歩足りなかった.健康なほたるがオリジナルになっただろう.しかしそれでいいはずがない.あの世で一人の少女が問いかける.少し早すぎる再会.命に釣り合うものを必死で探す.1つだけあった.この力を,ひととして生きていくには不必要な言霊の力を命に.

ーーー

水無月ほたるの心を1つにする.

 

ーEPー

な,何が起こったかわからないが,ほぼハーレム?

水無月ほたると1つにする.もしかすると今までのほたるたちの思念も一緒になったのかもしれない.だって知りようもないことをほたるが知っているのだから.二人は永遠に隣り合う.あなたはいま何色ですか?その問いに誠はあの夏の空の色だろうと答えた.

 

今までのほたるまで含めて全部が1になる.最初から最後まで本当にきれいな物語でした...唯一!最後のタイトルボイスが光一でなんでやねん!って感じ.