ー第12話 決別のイブ、復縁のイブー
クリスマスのディナー.美都子は麻実といくことをこれほどかというほど押してきた.どれほど誘おうとのらりくらりな美都子とは23日に出かけることになった.それとクリスマスプレゼントも.同じものを麻実にあげるという無理やりな感じで.指輪がほしいなと揶揄う美都子ととまどう理.
きたる23日.高級寿司を奢ろうと思っていたが,美都子はお弁当を作ってきた.嬉しい!嬉しいけれど...親の財布を気にする子供.思い描いてきた相互扶助の親子.しかしちょっとの寂しさが残る理だった.
美都子は理と結婚したいと思っていたことを告白する.しかしそれは小さな子供がお父さんと結婚するというようなよくある話.いつまでもお父さんと一緒にいたら笑われちゃう.だから理くんのことは世界で一番好きだけど,もうそういうことを言うのはやめる.そんなどちらかわからない風な美都子の気持ち.プレゼントに渡したお守りをもらう前の期待に満ちた恥ずかしげな表情.応援すると言って頬にしたキス.美都子の気持ちは理も気づき始めた.
24日.美都子のことがあったからか,理も麻実を口説く.麻実へのプレゼントは指輪.麻実を抱きしめる修の異変に麻実は気づいていた.麻実といるときもずっとずっと美都子のことが頭の中にあった.それでも麻実はそんなことは気にしないと言った.それで理が救われるなら今日だけは...
あらためて尾関に告白される美都子.今好きなやつがいるか?美都子はその告白を受け入れた.迫られたキスと受け入れようとする美都子が落としたお守りの中に入っていたのは指輪だった.涙が出そうな美都子に,美都子が握るお守りについて話す尾関.購入までにあまりに過酷なお守りに,購入したのが母親なんて嘘はすぐにばれた.松葉づえで片足で登れるはずなんてない.号泣する美都子にもう一度,好きなやつがいるかと聞いた尾関.返事はなかった.
泣きながらかける理の電話の電波は通じない.
あああああああああああああごめん美都子ちゃん!ほんとうはこのまま美都子ちゃんのルートにいきたいんだけど!!本当にごめん!!
麻実,仮面ライダーみたいなショールしてるな.
お守りのところとか辛すぎて死にそうだった.
ー第13話 二度目の恋、初めての人ー
時折美都子を見ると複雑な感情になる.そのたびに麻実に頼りたくなる.美都子も美都子で不安を抱えている.美都子が何を求めているかわからない.わからないようにしている.叶えてはならない願いに気づかないふりをする.美都子は最近ますます綺麗になる.
美都子はあらためて,はっきりと尾関に断りを入れる.好きな人がいるから付き合えない.そして尾関は悩む美都子の背中を押した.許さなかったのは倫子だった.絶好.それでも,いくら反対されようと,自分の気持ちを認めた美都子は折れない.どれほど辛くとも自分で選んだ道だから.そして美都子は麻実に宣戦布告をする.
結婚を申し込まれていた男性教諭からふられたことと,美都子とのことがあり泥酔する麻実.そんな麻実に結婚を申し込む.麻実は断ろうとした.しかし自分の中に眠る理への愛には勝てなかった.
その後,美都子の急落した成績について聞く.どうすればいいかと焦る理に,あなたにしかできない,そろそろ私に逃げるのはやめてと言った.
美都子が強請った抱っこしてという願い.そんな美都子の手は取れなかった.台風の日はできたはずなのに.嫌じゃない.むしろそれと反対の気持ちが湧き上がってくるのがあまりにも怖くて.保護者と被保護者.いけないこと.そうとわかっていて美都子は理に想いを伝える.何度も何度も愛している気持ちを伝える.涙を流しながら困らせてしまっていることを謝罪する.それでも好き.
理の答えは額への口づけ.美都子の求める答えとは違うけれど,それでも今までと違う関係にはなれない.理が自分のことが好きという事実だけを受け入れ,美都子は受験へと切り替えた.そしてもし合格したらはっきり受け入れるかふってほしい.
受験も終わり合格発表の日.美都子か麻実を選べと言われている日.そんな日に理は麻実に結婚を申し込んだことのある男性教諭と取っ組み合いのけんかをしてぼこぼこにされた.それは悔しさのあまり理が仕掛けた喧嘩.麻実が子供を造れないという事実を自分に言ってくれてなかったことが悔しくて悔しくて.そして美都子から合格の連絡が入った.
ー第14話 夫と父と男の決断ー
興信所を使って調べた不妊症の事実をまるで麻実が悪いかのように言う男性教諭に我慢ならなった.
美都子の合格祝いパーティに理の姿はなかった.
別れる半年前,ついにできたと思っていた時の検査で突き付けられた現実.いつの間にか子供を心から欲しいと思っていた理にそんなことは言えず,一番最初にした約束なんてできないと思うと別れる死か選択肢は見つからなかった.辛いのは麻実のはずなのに,麻実はずっと理を励まし続ける.そして別れを告げた.
仕事に没頭し,現実から目を背け続ける.家にも帰らず24時間会社の毎日.そんな理をみんなは無理やり連れ帰り励ます.今日は久しぶりに眠れた.
口論する美都子と麻実.教師と生徒ではなく,女と女の言い合い.
ようやく決心がついた理.それは一人の人を切り捨てるかもしれないけれど,一人の人を抱きしめる決断.明日はバレンタイン.彼女に愛を告げる日.
ひと月も遅れてしまった美都子の合格祝い.理のための義理でもなんでもない本命チョコレート.そこにはさよならの4文字.先生と同じくらい大好きだから,いつまでも理君を悩ませたくなくて.だから二人に子供がいないことが,理くんを不幸にしたというのなら,あたしが娘になる.だからさようなら理くん.これからもずっとよろしくねお父さん.
今日約束していた麻実はほったらかしになった.
ー最終話 ×1回目のプロポーズー
埋め合わせすると言われたままほったらかしの日々.生徒からの恋愛相談で,これから理との接点がなくなっていくんだと気づいた麻実は会社にまで連絡するが,姫緒から伝えられた真実は美都子と一緒に実家に旅行に行っているというもの.そして酔いつぶれる麻実.
卒業式.いろいろあった1年.
麻実は最後のつもりで美都子と話す.この1年,麻実の協力があったからこそ,美都子は大学には入れて,卒業もできた.だからとても悔しいけどお礼を言って,理へとバトンタッチ.
真実を話そうとする理に,麻実は体裁を繕えなくなり始める.二人は同時に叫んだ.結婚してください,捨てないで.もう2年前の自分じゃない.この1年,美都子に拾われて,人を愛せるようになって.結婚してください.そうもう一度言う前に逃げ出す麻実.
これまでのひと月.美都子との新しくはっきりとした関係を作って,麻実への想いを固めて,一生懸命初めてのプロポーズを練習して.それがようやく実を結ぶ.
世界で一番大事なのと美都子だけど,世界で一番最初に恋をして,一番恋しているのは麻実だから.子供も欲しいけど,それ以上に麻実が欲しい.
ーEPー
旦那と妻とちょっと棘のある娘が一人.ぶつかりながらもすぐに仲直りできる母娘とちょっと頼りない父の家庭はこれから始まる.
普通によかったけど,美都子のことが気になりすぎて気が気じゃなかったEND.