えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

ふゆから、くるる。の感想

ー総評ー

良作.ただし短め,一本道.一応BADもあるもののCG回収以外で見る意味はあんまりないかな.

他のくるるシリーズと比べ,SF要素は薄め,というかとっつきやすそう.春に近い.ただし春のように最後怒涛の主人公パートで泣かせにくるというものではなく,しっとり系.わたしはしっとり系も大好きなので,たまらなく好き.春,冬>夏>秋って感じかな.

みごとなまでの起承転結.導入→推理→真実→ENDという形ではっきりいって推理パートまではしんどい.ただそこが終わってしまえばめちゃくちゃおもしろかった.

ENDについては賛否あるんでしょうが,作品テーマ自体を考えるとこれ以外ないなと思ってしまう,個人的に.

きっとプレイヤーは雲母の言うように,彼女たちのアルパカの電波を拾ってみていたんだろうな.私たちの心に残ったから,きっと彼女たちの旅も成功なんだろう.

In life, unlike chess, the game continues after checkmate.これこそがこの作品の伝えたかったことなんでしょうね.彼女たちの旅は惑星についた後も続くし,私たちプレイヤーの旅も続く.そのたびが幸せでありますように.

 

ー0ー

まるで太陽系外からきたであろう惑星オウムアムア

空丘島朝日はオナニーが好きな少女.彼女が通う学園は秩序を壊す天才を養成することに主軸を置いた学園.だから殺人鬼だって認められている.その一人宇賀島ユカリは雲母舞歌が「針」を隠していることを見つける.黒い先端が丸い針が空を飛ぶ空想をしていることを知った宇賀島は雲母を殺した.

 

ーOPー

製作会社が変わったのもあるのか絵柄もOPもだいぶ変わったな.意識さえあれば肉体が傷ついても死にことはないとかそんな感じかな?

 

ー1ー

え?朝日と夕陽.苗字も違うしどういうことだこれ.

 

ー2ー

月角島ヴィカにあいさつされる.

この世界では18輪(歳)まで成長した後は-1,-2輪と0歳まで戻り,また18輪までというのを繰り返すらしい.これがカーネーション.その間脳を刺激し続け天才を作る.その中で才能が認められると外の世界に卒業できる.それがこの学園の目的.月角島の場合は特殊で5カーネーション(180輪?)の記憶が保持できているらしかった.

月角島は第二手芸部.部員は部長である月角島だけ.第二手芸部が作るのは服飾ではなく,宇宙を題材にした芸術作品の数々.

一方で夕陽の趣味はプログラミングでチェスの解析をすること.終わりが見たいというちょっと変わった理由で.

本題として渡されたのは先の丸い黒い針.その用途は誰にも分からない.卒業前になると針に興味を示すようになるといううわさ.そのうわさはどこまでが真実なのだろうか...

カーネーションとリンカネーションの洒落かな?卒業は死なのかなあ.冒頭見る感じそんな気がしないでもない.はるくると繋がりあるのかな?

流行りの挨拶がにゃんにゃんで,さっきは古い挨拶って言われてたから過去と未来かなあ.チェスが終わった世界と終わっていない世界でもだし.カーネーションの引継ぎがうまくいく人はその記憶の継続もある程度うまくいくけど,夕陽の場合それがうまくいっていないんだろう.TRUEで未来の世界って感じなのかな?月角島から島渡されて,未来では月角だったりして.

量子コンピュータが実用化されたら将棋もチェスも本当に限界が見える競技になるんだろうな.競技がどうなるかはしらないけど.

ゲーム理論ねえ...どこまで本筋にかかわってくるのだろうか.

 

ー3ー

星座がない星空をながめる夢を見た水名とりねこ.そんな夢を見ると卒業が近いという噂もあって夕陽はおおはしゃぎ.

護身術をする水名たちに軽蔑する感情を見せる月角島.悪意はない.しかしこの練習でナイフを躱せるとは思えない.本物の殺人鬼はこんなナイフの使い方をしないと確信めいていう月角島はが語る殺人鬼の理論に否定すべきところはなかった.天才になれなくとも好きだからこの練習をする水名と,意味がなくても天才になれる可能性があるならこの練習をする意味があるという月角島はいつまでも分かり合えないだろう.

挑発に乗った水名と月角島の組手.勝者は不敵に微笑み月角島だった.確かに力量があったのは水名.しかしすべてを誘導しているかのような月角島の策略には勝てない.

水名の夢の星が今では瞬いていることを知ると月角島は嬉しそうだった.

これまでもいろんな挨拶が流行って廃れてを繰り返していたんだったら,今回のカーネーションの挨拶が残るっていうのはやっぱり意味のあることだよなあ.

あとはやっぱり死んだとしても脳の移植でカーネーションを繰り返すことができるっていう事実は大事そう.夕陽にエッチな気持ちを抱きやすいっていうのは疑似ペニスのせいかな?

輪が進むごとに寒くなる冬...みんなの限界よりも世界の限界が近いってことですかね.

 

ー4ー

殺人鬼が現れた.犯人は救護班である宇賀島ベルリンの双子の姉妹である宇賀島ユカリ.

生徒会会長,星都チエミが不安に思うのは生徒の数が単調に減少していること.きっとこの世界に永続性はないのだろう.地熱発電所の出力も徐々に低下している.

 

殺人に抵抗はないが楽しみもできないユカリをベルリンは慰める.誰かがしなくてはいけないこと.ユカリがいなくなればベルリンがやらなければいけないこと.

よく知らない二人のよくわからない恋愛パート見せられて,だんだんと辛くなってきたな.

イヤリングをしているのがユカリ,してないのがベルリン.

 

ー5ー

注射の日ってなんの?

義務的なHシーンは本当につらいな.

 

ー6ー

何気ない会話の中で,しほんから月角島が殺されたことを聞く.問題はユカリにはアリバイがあるということだった.そして更なる問題は頭がなくなっていたこと.このままだと今までやってきたカーネーションはすべて無駄になってしまうということは,繰り返す中天才を目指すこの学園の生徒たちにとってはなによりも酷な仕打ちだった.しほんは意気揚々と自分が助手,夕陽が名探偵として解決しようとはしゃいでいた.ひとまずは落ち着け,時が来れば,ダブル名探偵ならということで...

 

ー7ー

翌朝,一緒に寝たはずのしほんがいない.急いだ様子で部屋にやってきな水名はしほんが殺されたことを告げる.それも首を持ち去られた状態で.死を受け入れられない.それでも落ち着いて考えなくてはならない.だってこのままだとしほんのクローンがつくられ,そちらが本体になるから.カーネーションがないままだと,私のことをおぼえていない,今までと全く違うしほんになってしまうから.泣くことなんて後でもできる.タイムリミットは脳が腐敗するまでの約50時間.名探偵夕陽とその助手水名は,瞑想室で行われた2つの密室殺人を解き明かし,しほんの頭部を取り戻す.

全員が卒業しなくても済む方法を見つけたと言っていた月角島.それを聞いた一般生徒が逆上した?自分の身体と引き換えにユカリに協力を頼んだ.殺したい匂いをしているらしい.

死後硬直しているはずがないのに,体育座りし,なおかつ血が全く出ていない異様な現場の情報を熾火から聞く.

心を殺し確認した死体.どうやら確かに死後硬直はしていて,可能性としてはほとんどのATPを使い切るほど疲弊した状態ならあり得るらしい.そしてあまりにも綺麗な切断面も不可思議なポイントだった.そうするほど,大きな鉈等を使えるのは森の賢者たちくらい.

しほんの部屋にあったのは黒い大きな丸い針.どこか水名もそれが気に入った様子でそれを扱う.そして月角島の部屋には全校生徒の写真が所せましと貼られていた.それ以上に異様だったのはそれらがすべて正面から撮られていたこと.どうやって気づかれずに正面から写真を撮ったのだろうか.そして写真ごとに割り振られたaからgまでのアルファベットは何を意味するのか.

 

暫くして夕陽は写真とアルファベットの暗号がチェスであることに気づく.夕陽と月角島がキング.そして月角島にチェックメイトしているのは宇賀島ベルリン.そして次に取られるのは黒のルーク,星都チエミ.取るのは白のナイト,宇賀島ユカリ.

おとりを申し出たチエミは直後,苦しみはじめ吐血する.

一命はとりとめた.チエミの一筆により,任意の人物の拘束も可能になった.

 

殺人願望が露呈してしまった熾火を連れた3人でユカリに真相を尋ねると,あっさりとチェスの暗号と,殺すつもりはなかったが依頼通り会長に毒を盛ったことを白状した.それでも頭のありかを言わないユカリに,何かがプツリときれた夕陽は暴力性が露になる.この一連の事件は月角島でもしほんでもなく夕陽を狙ったもの.

飛び掛かった熾火の首をユカリは水名に質問をする.黒い針に興味があるのか?夢に見る宇宙に星は瞬いているか?

意識を取り戻した熾火に逃げたユカリは任せていると,ゆかりの生体反応が突如として消えた.まるで二人の時のように.しかし現場に到着してみると,元気そうに二人が喧嘩している.

 

そして二人はベルリンのもとへ向かう.犯人だと認めるベルリンに怒りが収まらない.

二人は自分で自分の予備体の死体を瞑想室に運んだ.そして信号が外部に届かない場所でなら信号が途絶えても救護隊がこない穴をつけば冷凍室に入れる.

そこへ帰ってきたユカリ.もう1度,星が瞬いているかと水名に聞く.瞬いていない.そう答えた次の瞬間には水名の息は途絶えていた.

ユカリは星が瞬いていないのは宇宙から見ているからだという.このままだと水名卒業してしまっていたから止めなくてはならなかったと.ユカリの口から紡がれる衝撃の事実.それは卒業や外の世界なんてなく,卒業と呼ばれているものは消失であるということ.

 

ユカリが呼ぶと,月角島が扉から現れる.

あの写真はこの学園が始まったときの写真.つまり月角島にはこの学園の創始からの記憶がある.そしてチェスに込めた願いは新しい世界を創るというメッセージ.月角島たちの目的は男がどういう行動をとるかを観察するため.しほんに頼まれ,研究の一環として注射により男になっていた.凡人の自分が卒業をするためにはこれしかないと思った.二人だけの秘密だった.

人間原理.人間が存在するためにこの宇宙が存在するという考え.地球の位置も,光の速さもすべて人間の存在のため.しかしそれが成立するのは宇宙が唯一だとした場合.

私たちの本当の姿は,あの黒く大きく丸い針.この針の姿で宇宙を旅をする.目的は人類が生存可能な惑星を見つけ,新たに反映すること.そして今共通の学園という幻覚を見ている.そしてその理由は人間原理.ただの偶然.宇宙船により見た幻覚がたまたま今の形だっただけ.卒業はただの隠れ蓑.故障の修理というカーネーションが間に合わなかった人に対し言っているだけ.ただ全く無意味というものではなく,この幻覚での関係は,針同士の関係に影響を及ぼしている.

できる限り絶滅しないように,多様性を持たせようと学園の校則ができた.しかしこのままでは接近する中性子星により,全滅してしまう可能性がある.だから子孫を作らねばならなければならない.男が必要になる.針は無限ではない.子を作るためには今ある針を使用しなければならない.針から意識を消し去らねばならない.

どうしてしほんは霜雪島ではないのか.それは旅の目的を知らないから.旅の目的を知るものは,どれほどカーネーションを繰り返そうとそれだけはわからない.

 

全てを知った夕陽はようやくしほんと再会する.しかししほんはもう,手の施しようがないほど故障していた.生きることを諦めながら,夕陽に愛を伝える.いろんなことがあったけど,これだけは本当だと.夕陽が男に適しているからとかそんな理由で近づいたんじゃなくて,誰かと新しい意識を創るなら,そう考えると夕陽しかいなかった.男を作るという危険な賭け.危険だからこそその賭けの結果にかかわらず,しほんは消えるしかない.

しほんの首を絞める.死ねば初期化できるかもしれないから.しかししほんはいくら首を絞められようと息一つ乱さない.来るはずのない未来を涙ながらに話し合う.シロツメクサの花冠をきっと一緒に作ろうと約束する.そして大きな音とともにしほんは消えた.

何度も何度も月角島たちは友人たちがさっきのしほんの様に消えていくのを確認してきた.そして同じように現実を見させるため,夕陽にも同じ辛い経験をさせた.恨めないはずなんてない.だけどしほんのためにも全てを背負って生きなければならない.しほんを助けられなかった.だから誰でもいいから助けたい.狂った欲望.今度は名探偵としての責務を果たしたい.

狂った夕陽は目の前の月角島を助けたくて助けたくてたまらない.きっと理想の世界が壊れる前に死にたいんでしょう,だったら楽に殺してあげます.

 

長かった推理パートも終わり,ようやく面白くなってきた.

 

ー8ー

あれから2輪.群れに限界が来れば駆逐艦としほんのような男を作るプログラムが働く.いったいなぜ感情なんてものを導入したのだろうか.それはきっと幸せであるためになんだと思う.私たちを作り出した誰かの幸せにあってほしいという願いの中に,私たちはいる.

次のカーネーションで夕陽も月角島も男になる.きっとあの二人の子供を産めるのは自分くらいだろう.そう自分の終わりを,月角島が好きだったこの世界の終わりを覚悟する.ちなみにユカリお姉さまに恋い焦がれる熾火も男になるらしい.そんな想像もしていなかった未来に,ユカリはようやく自分が人間であると思う.面白い.こんな未来があったのか.いつか自分に勝ったらそうしよう.そんな約束をした.

自分が殺してきた人たちにいつか会って,そしてみんな人間だったと伝えたい.

 

ユカリの自分が人間だと確信できたシーンはめっちゃ胸がつまった.平然としてても,自分が針で,本当に人間なのかってずっと迷いがあって,それでも群れの存続のために自分の気持ちに蓋をして.

 

ー9ー

あの事件のあといろいろな衝突があった.当然生徒は信じない.そこで殺人鬼が殺人をやめ壊れ行く生徒を目の当たりにさせ,チエミがはじめに自分が子供を産むと宣言することでようやく落ち着いたのだ.

確定した辛い旅に,もしかしたら新たな意識には恨まれるかもしれない.それでもその恨みも生きる糧となると信じて.未来のために.だからこそ二人は願う.この意識が幸せになりますように...私たちのことは恨んでもいいから幸せに...

 

一見普通の世界で子を産むのと変わりないんじゃと一瞬思ってしまったけれど,産んだ瞬間個がなくなるのと,子が成長するまで個が継続するのとでは主観的には大きな違いがあるよなあ.巨視的に見れば,自らの個の意思を子に継承する,それが受け入れられるかはさておき,というのは一致していますが,その行為=死というのは子供を産むのとは違うし...極論言えば,戦争に近い気もします.国のために自ら死地に赴き,その意志はほかの兵に託す.

 

ー10ー

ついに熾火がユカリに追いつく.痛く気持ちいいその行為は,熾火の気持ちが伝わってきてとても幸せだった.どうかこの道程が幸せでありますように...

 

ー11ー

かつて親友だった蔦凪島に想いを馳せる月角島.自分たちが針だという情報を確実なものにするため,実験に使った親友.恐怖から死を願う親友の首をいくら絞めても殺すことはできなかった.こうなることはわかっていた.それでも首を絞め続けた.

そんな蔦凪島によく似た水名を選ぶ.いつか会えた時,こんなにもがんばったよと伝えるために.男としての嗜好を感じさせなかった水名が男を選んだのは,しほんを見たままきっと求めてくる夕陽を避けるため.好きだけど好きになってもらえない人と対等な立場でいるため.そんな最も男から離れた男なら.二人はそれぞれの打算のため,体を重ねる.

 

ー0ー

空丘島朝日と霜月れぷと.お互いに一目ぼれをした二人は祈りのチェスを行う.みんなが幸せでありますように.そう言いながら最善手がわかりきったチェスをさす.いつか生まれ来る意識が星々を渡れますように.未来を祈りながら,今この時間を大切にする.

 

ー0-1ー

もっと未来.

雲母は様々なものに感謝する.耐えてくれた地熱発電所に,先人たちの墓に.そんなきららに宇賀島ゆゆゆはようやく会えたと告げる.

他にも生徒がたくさん外に出ていた.ついに目指していた惑星につく.きっとこの惑星で繫栄して,また針をばらまくかもしれない.広がりたい,そう思う気持ちはずっとあったのだし.

空丘島光たちは祭りを開く.死んでいった先人たちに,これから来る未来に祈るため.