えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

サナララRの感想(第4章)

一応リメイク前のメインシナリオはこれでおしまいなのかな?

ー1 ナビ歴半年の男ー

死ぬことのないナビゲーターの状態が予想以上に楽で願いを使わせないままのらりくらいしている.まああとからアフタードローもあるみたいだし,せっぱ詰まった願いもされてないわけだし良いだろう.ナビ歴半年.無職.芳沢洋一.

 

今度はよくくしゃみをする女の子だった.珍しくすんなりと信じた少女だったが,やることは変わらない.いつものようにお試しの願いを叶えて逃げるだけだ.

どうも街がおかしかった.どこにも人がいないのだ.普通ではないこと.間違いなく先ほどの少女だった.

やっぱりさっきのお試しの願いが原因だった.みんないなくなれ.冗談半分の願いが叶ってしまったようだった.特に少女に悪意もなかったので,少女は本番のチャンスを使って世界を元に戻そうとするが,そんなことはさせたくなかった.誰もいない世界なんて思ってもいなかった理想郷なのだから.

そうはいっても相手からは自分の場所がわかるのだから,敢え無く追い詰められてしまう洋一だった.しかし額を付け合せる直前,少女は意識を失った.高熱.どういう因果かわからないが,洋一の看病が始まる.名は矢上由梨子.好物牡蠣.

人がいなくなった以外の世界はなんにも変わらない,ライフラインもつながったままの世界であった.作ったおかゆは大失敗だったが,誰かとご飯を食べるのが日さしぶりだと言う彼女は嬉しそうだった.喜びとは反対の願い.そのことを聞くたびに彼女は苦しそうな顔を一瞬見せる.関係なんてないけれど,少し何かが引っ掛かった.

 

ー2 誰もいないー

由梨子の方が先に目を覚ましたが,願いを叶えたりはしなかったようだ.料理をおいしいというと嬉しそうにする由梨子.誰にも食べさせたことがないから美味しいかもわからなかった.

ナビ生活が気楽と言っても,久しぶりに人と話したのもまた事実.ということで1週間だけ一緒に遊ぶことにした.

犯罪行為の数々に振り回されながらもなんだかんだと楽しんだ由梨子.由梨子は絵に興味がるようだった.元ペンキ屋の洋一の話を聞きたがる.

1日と少しを過ごした誰もいない世界の感想は,たいして面白くないなというものだった.由梨子の意見に負けるようで認めはしないが.

 

彼女の部屋でのんびりしていると,同人誌を発見した.しかもショタものばかりの.そしてもう一つ,たくさんの描かれた絵と.本気で,絵が好きな人が何かをつかもうともがいている絵.ガサガサになった自分の両手が目に入る.親方から咎められながらも,過去を否定するようで決して手袋をつけなかった手.

大量のキウイとショタ物は笑った.

 

ー3 雨ー

怒られる覚悟で,どうして絵を描かないのかと聞いてみた.それは人前で絵を描くという行為が何かを主張していると捕らえられ宋からというものだった.友人に料理を振る舞わない理由と同じ.他人を気にしてのもの.これからも人と接することなく生きていくつもりの自分が,そんなおせっかいをするのはなんとも卑怯なものに思えた.

周りを気にして,目立つのも,置いていかれるのも怖いという彼女.もどかしい.けれど背中を押す資格が自分にないこともわかる.今日は雨が降っていた.こんな日は昔を思い出す.

ーーー

特に取柄もない少年だった.雨で約束がなくなって,手持無沙汰だから昔もらったノートに絵を描いた.褒められたえはほんのちょっと得意なもので,そんなことを繰り返しているうちに特技になった.そして才能の限界を知った.化け物だらけの世界で,いつの間にか絵を描くことが辛いものになっていた.ちっぽけなプライドだけが残って,普通の会社への就職は蹴って,思いを引きづるように左官になる.いつまでも真っ白なキャンバスを胸に抱き続け,その色が白から変わることはなかった.

3章と被り?まだわかんないけど.

 

ー4 軌道ー

夜中,久しぶりに書いた絵を見て,由梨子は驚いていた.それでも,いくら由梨子がうまいと言おうとそれでも遠い.あくまでプロ並みでプロにはなれないレベル.

 

清掃委員で気になるからと連れていかれた学校.自分もここに通っていた時のことが思い出される.まだ頑張っていた時の事を.

落書きだらけのプールの壁.当初は何かを描いておこうという案もあったがいつの間にか消えていた.何も描かないこと,何かに塗りつぶされたままのこと.俺も由梨子も全く同じことだと思った.落書きを消して何か描くことを決めた.由梨子だけじゃなく自分も一緒になら背中を押してもいい気がした.彼女にあげた赤いバンダナは再デビューの証である.

3章で落書きされているのを見て飛んでもない学校だなと思ってたけど,やっぱり何かしらあるよね~.

 

ー5 『サナララ』ー

今日から作品を描き始める.

彼女が作った渾身のエメラルドグリーン.サクラとナタネとラベンダーとライトブルーを混ぜたその色に,彼女はサナララと名付けた.現実的ではない,幻想的な海の色はその絵にとても似合っていた.

入社してひと月くらいでもらったマイ刷毛を由梨子は欲しがったが,仕事でこれからも使うことが頭に浮かんであげることはできなかった.どうしてこの生活の中でそんなことを考えるのだろうと自分でも不思議だった.

由梨子は今日の作業が終わったタイミングで泳ごうと言うが,さすがに5月なので厳しいものがあった.なので二人はまた今度と約束する.きっと来ることがないであろうナツノバカンスを予定表に書き込む.

シンナーでラリってるヒロインとはいかに...

ついにきたタイトル回収.珍しく色のタイトルじゃないんだと思っていましたが,色だったか…負けた.

 

ー6 カッパー

あいにくの雨だったが今日も作業を続ける.由梨子は自分のわがままに付き合わせてと申し訳なさそうにする.そんな由梨子にお礼なんかは言わなかった.終わりの言葉じゃなく,今が楽しいからという言葉.だから返ってきた言葉も現在進行形のありがとうございますという言葉.

足りなくなった塗料を探して帰ってくると男性の頭には自分のつけているものにそっくりなタオルが巻かれていた.それを正面から指摘するのもちょっぴり恥ずかしくて,女性の方にも赤いバンダナを撒こうと提案した.

 

雨に濡れて風邪を引いたため,あの後の作業は続けられなかった.だからあれほど防寒性のいいカッパを着ろと言ったのに,ダサいからと着なかったのだ.二人は次の話をするが,もうふたりには後1日しか残されていない.

由梨子はもう絵ができなくてもいいと言う.だってもう絵を描くと言う一歩を踏み出したから.一番大変だったことは乗り越えることができたから.洋一の口からは自然と願いについての言葉が出ていた.そんな彼女の願いはおかゆが食べたい.願いを叶えると終わってしまうルールの中で,終わらないための願い.あと1日で二人だけの夏休みが終わる.

 

ー7 ー

今度は洋一が風邪を引いてしまった.最後の一日だっていうのに.

もう時間が迫っている.やることは決まっていた.率直な願いの話に彼女は満面の,だけどいつもより悲しそうな笑顔を浮かべながら,二人だけの世界を願おうと言う.自然と抱きしめていた.そんなことはダメだと言ってほしい.もう自分にはそれを否定することができなくなってしまったから.

 

もう人がだんだんと戻り始めているのに,由梨子は二人乗りを拒むことはなかった.どれだけ人に見られていようと二人だけの世界だった.

ただ絵の前で雨に打たれながら二人は立ち尽くす.洋一はプールへと飛び込んだ.二人のした約束を果たすため.誰が何と言おうとそこはサナララ色が覆いつくす8がつ海だった.

 

残酷な現実が刻々と迫る.最後に,彼女の願いだけは叶えたかった.ちゃんと絵を描いてみたい.そんなことを言う彼女の願いは刷毛だった.二人でまた描けるかもしれないから.この1回だけは奇跡にかけてみたくなった.

ーーー

由梨子は一人だけの世界に戻った.残されたのは壁の絵と,二人が作ったサナララ色.無駄だって言っていたくせに目印を残して...

1週間前より大きな歩幅で彼女は歩き始めた.

 

ー8ー

だんだんと仕事が好きになっていた.今日の仕事先は母校.目に入ったのはプールの壁に描かれた男女と海と絵だった.特別うまいものではなかったが,それでも自然と親方に頼んでいた.

もっと時間がかかると思っていたが,昼に俺が描くと夜に誰かが続きを描いているようだった.気になったのは男性が巻く白いタオル.気になるけど誰かの作品を消すこともできず,だから洋一は女性の方に赤いバンダナを巻き付ける.どうにも似合ってはいあなったけれど満足いった.

問題となったのは背景の色だった.どうやってこんな色を作ったのか.もう一人からの挑戦状として受け取り,何度も色を配合するがうまくはいかなかった.似た色で塗ればいいはずなのに,この色以外はダメな気がした.

雨が降っていた.どうしても描きたくなって,雨だからもう一人もいないだろうと夜に描きに行く.プール開きの日程からしても今日が配色のラストチャンス.人影がよぎった.それは変わった,けれど洋一が気に入っている会社のカッパを着た赤いバンダナの少女.手にはプロが使う刷毛.彼女ならと思い色の配合を聞いてみるがどうやら知らないようだった.

サナララ.彼女がつぶやく.サクラ,ナタネ,ラベンダー.そこに続く言葉が不思議と頭に浮かぶ.ライトブルー.最後だけ花じゃないんですね.そう彼女は笑う.洋一も笑う.

初め勝手に由梨子には記憶があるままだと思っていたけど,すぐにチャンスを使わせたんだ.最後めっちゃ泣いた.1章と同じで美しいと思います.ええなあ...サナララ