えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

装甲悪鬼村正の感想(第五編 宿星騎)

=第五編 宿星騎=

ー1ー

次なる標的が使うは幻術.景明の癒しを見せる.

 

ー0ー

仲の良い兄妹だった.兄妹と母の統を合わせた3人暮らし.仲がいいとはいえ景明と二人に血のつながりはなかった.

 

そんな幸せな日常も永遠には続かなかった.光を蝕む公害病.あの元気だった妹はもういない.

頼みの綱は本家の資金と人脈であった.町を襲う山賊に対し,犠牲は出すまいと尻込みする統と好戦的な本家.光のため,その間に挟まれた景明.

 

遂に得られた外国の医師を呼ぶ許可.その条件は山賊を始末することであった.生来争いごとを好まない景明に課せられた使命に,義母からの助言はただ一つ,誰も殺しちゃいけないというものだった.誰かが死ねば戦いは終わらない,それは景明とて同じ.

 

相手の油断を誘い,なんとか試合に勝利することはできた.けれども油断を突いたがゆえに山賊側に納得はなかった.約束が守られる,そう言い切ることは難しい.実際山賊たちは約束など守りもしなかった.

 

もはや不殺などときれいごとを並べている暇はなかった.それでも本家と話す義母の真意を聞いてしまい,そして景明が死んだ際には,仇討ちしたうえ自らも命を絶つ覚悟を知る.心が平穏なものへと戻る.争いは誰も救わない.やはり不殺しかないのだ.不殺は甘えではなく,何よりも険しい道なのである.戈を止めると書いて武.

明朝訪ねてきた頭領.今度は真剣勝負であった.約束は前回と同じ.それこそが覚悟.

勝利をおさめ,不殺を守る.義母との約束を,武人としての掟を貫き通せた.

 

どこまでも頭が低く,町に受け入れるという度量の広ささえ見せた景明だったが彼女もその部下もまた武士.彼女は矜持まで守らねばならなかった.

 

光の発作はひどくなるばかり.しかし景明にはただ頭を下げるしかできない.療養する中で首領は光のことを知る.そして遂に武士であることを辞めることを彼女は受け入れた.首領には光のことを知らせない,武士の悪いところばかり備わった景明への配慮.

 

海外の医師により光は瞬く間に体調が回復する.心以外は.もっと早ければ.あまりの痛みに光は廃人になってしまっていたのだった.残るはもっと早く呼んでいれば,自分が努力していればという後悔ばかり.それでも義母が語る1年ぶりに見た光のすやすやとした寝顔に救われる.あっさり諦めてはだめだと,可能性は0ではないのだと.奇跡をもってここまで生き延びたのだから,これは光の人生なのだから景明は勝手にあきらめてはならないのだ.最後の最後まで.

 

本家の意向で家督が光へと継がれた.白銀の女王蟻と深紅の蜘蛛,二つの真打が継承される.触れてはならないはずの真打に,不意な物音からか光は白いものに触れていた.何も起こらなかったはずだった.

光の意識に,村正と名乗る蝦夷の女性が一同の前に現れる.白い真打.母が語る武とは正反対の,破壊を求める武.父を求める光にとってそれは自らの望む道だった.

 

あの時より,光は元の健康な状態へともどった.再会を喜ぶ兄妹.しかし母娘はそうもいかなかった.

時を同じくして山賊たち.彼らは取引を受け入れたわけではなかった.彼らは武士なのではなかったのだ.

瀕死のままなんとか首領は景明にその件を報告に来た.命を賭して.妹が助かった,その一言だけが彼女の救いだった.最期の願いは名を呼んでほしいと言う者.恩人の名すら知らない自信に嫌気がさす.瑞陽,景明の言葉を嬉しそうに聞き,事切れた.

そんな様子を見た光は村正のもとへと走る.戈にて止むと書いて武.もう光は光ではない.

光のいうことは何より正しい.それでも義母から教わった不殺を慮れば,その行いを止めねばならない.せめてもの譲歩,景明が劒冑を着るという提案も無下になった.先に飛んでしまった光を,もう一つの劒冑を着て止めねばならない.しかしあれほどの悪意に満ちたものを景明に扱う自信はなかった.

山賊により荒れ果てた町をさらに荒らすは銀色の星であった.

 

山上から抜け出した劒冑を纏った山賊の二代目首領は景明のもとへと舞い降りる.逆恨みに他ならない.圧倒的な恐怖に負け,再び紅の蜘蛛に触れる.それでも理性がそれを使うまいと一線を守る.しかしそれは自分の命の場合.義母の命がかかっているのであれば...

気づいたときには首領を切り捨てていた.そして誓約が景明に迫る.善悪相殺.悪を切らば,善も切らねばならない.義母はその刃を受け入れた.息子が仕出かした過ちを,負の連鎖をそこで止めるために.それでもなお息子の涙を拭う,責任を負う.

最期に託されたのは光のことだった.二世村正が宿すは洗脳の力.三世村正が言うにはそれにより光は狂ってしまったらしい.三世村正がともに封じられたのは二世を封じるため.

 

ー1ー

景明の癒しは母.その母を切れぬわけはない.とうの昔に自らが切り殺したのだから.

残る卵は一つ.そして光の居場所は六波羅.その前にまた一人善を切らねばならない.

遂に動き出した装甲悪鬼村正.ここまででめっちゃ面白かったのに,ここからが本番と思うと期待が止まらない...

やっぱり家族愛が好きだし母のシーンは泣いたなあ.