えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

装甲悪鬼村正の感想(魔王編)

=魔王編=

ー0ー

三世村正が生きた時代はまさしく戦の時代であった.母が,祖父が生まれたころから延々と続いてきた戦,南北朝時代.由緒正しき南朝の立場に立つ腕利きの鍛冶師,それが村正の家系の役割だった.

裏切りに次ぐ裏切り.それは信用していた者でさえ,家族でさえも行うこと.その人が悪いのではない,時代が悪いのだ.一世村正には何を信ずればよいか,何を信じて打てばよいかもうわからなかった.

紹介で出会った浦夢の教え,この世界に正義と悪などない.正義と悪は裏表だという教えを受け,一世村正はどのような劒冑を作るか漸く決心がついた.平和のため,正義を,悪を,独善を成敗する.一世村正とともに,二世村正もまた鋳造を行う.南北朝ともに献上することでしか争いは防げないのだから.善悪相殺と精神同調.この二つの力があれば争いはなくなる.三人はそう信じて疑わなかった.

たった一つの事故が争いを生むこととなった.北朝の主将は政治的にすぐれず,弟が取り仕切りをしていた.兄弟が手を取り合い,南朝に対抗する.そこに何の問題もなかった.戦の前のあわただしい中,刺客が兄を襲う.腕がよかった兄は思わず切り伏せる.善悪相殺.兄が殺した善は誰よりも近くにいた弟であった.兄の発狂が全軍に同調され,止まることはなかった.

一家断絶.これが残された三世村正に下された罪であった.失われた一世村正と残された二世村正.だからこそ残った村正は砕かねばならない.しかしそれは鍛冶師にとって,戦の外で葬られるは何よりも屈辱であった.妥協案は三世村正が劒冑を打ち,二世村正とともに歴史の闇に埋もれること.母の封印が敗れた時の保険,監視.あの精神汚染さえなければこのような結末にはならなかっただろう.だからこそ三世村正はその力を使用することを禁じられた.二度と目覚めぬよう祈られながら,長い眠りについた.

~~

これが村正を装着し,敵の陰義をかけられたときに伝わってきた過去である.

弱い力と強い力をまとめて基素っていってるのかな?

まさか祖母が無理やり産まされた子の子孫があの村のとか...

 

ー1ー

銀星号との差は技量はもちろん,連携にもあると近頃感じ,そのたびに弥源太の言葉が思い返される.お互いに道具といいあってきたが,今回は景明が折れることとした.村正は道具ではないと,意思を持つと.そして自らの光を救いたいという意思を認めてほしいと頭を下げる.

しかし村正はそれを認めなかった.一世,二世にもなかった力.それは仕手にも精神汚染の力をできるというもの.二世を討つためだけに作られた劒冑だからこそできること.景明は当然それを止める.それは自分の意識がという理由もあったが,一番は帝の勅命に逆らうという村正の時代の人間にとっては何よりも罪深い行動をさせてしまうためであった.

結局村正は能力を使うことができなかった.そのまま別の仕手を探すと消え去ってしまった.村正に認められるはずがなかったのだ.平穏に暮らしていた彼に,村正さえいなければその平穏を享受し続けることができた彼に責任を負わせることなんて...責任は母を見捨てることができなかった自分にあるはずなのに.

銀星号の気配がする.思わず「御堂」そう言いそうになった.

 

三世の偽装を見抜く二世.光に許可を得,二世もまた独力で三世と対峙する.それは酸性よりも一歩も二歩も進んだ生身の肉体を再現する肉体変成.敵わない.それもそのはず,武者の形態ではあまりにも熱量が足りないのだ.

村正の狂気的な戦のあともたらされた後,百年もせずおとずれた戦国時代.あれでは足りなかったのだと二世は言う.

景明の到着が間に合い,なんとか村正は鉄くずにならずに済んだ.光は八幡宮に向かうと言い残し去る.

 

自らのふがいなさに村正は別の劒冑を探せと言う.今まではずっとそうしようと思い,しかし精神汚染を避けるため「仕方なく」村正を使ってきた.しかし今は村正でなくてはダメだと思う.この二年,村正のおかげで卵の孵化を阻止できたのだと,村正のおかげで正義に酔うことなくいれたのだと気づけたのだ.

二人は帯刀儀礼を行い,初めて一騎の武者となった.

村正とのやりとりに感動し,光の兄への愛に笑い,このルート好きかも.

 

ーOP2ー

ここでOPがきて漸く装甲悪鬼村正をプレイし始めたんだなって感じがし始めた.今までの2ルート,正直そんな好きじゃなかったけど,今更ながらわくわく.

 

ー2ー

足利護氏を討ち,朝廷の発言力を戻す.そう宮殿下から依頼をされる.悩みはあった.だからこそ,護氏が切るべき人間かを会って確認し,行動に移す.そのような約束をした.そして仮に護氏を切った際の善は宮殿下本人とも約束をした.ただ義父が認めるわけもなく,また切るべきは愛する義父が正しいのではという思いもあり,生贄となるのは義父ということになった.

 

ー3ー

作戦当日.人の姿を取り戻した村正とともに儀式へもぐりこむ.

目の前にしてわかる強さ.歩調から神官ではないと看破される.治めるためではなく,統べるための征服.目的と手段が逆である.自らの支配欲のためならば,民の犠牲も厭わない,このような人間を生かしてはおけぬし,そして護氏自身も景明を生かしておくつもりはなかった.

強かった.以前までの二人なら簡単に敗れていただろう.しかし一騎となった景明と村正ならばそのような未来はあり得ないもの.

護氏が逃げ出した外は先ほどまでとは全く違った様相であった.茶々丸が囲っていた局.光.息を乱すことなく護氏を倒す.これほどまでに力の差があるのか.

 

生き延びた護氏を討つは茶々丸.一人の愛する者のため,世界を敵に回してもいいというほど狂った光に惚れた茶々丸は,神の到来を,光が神になることを望んでいた.

 

本気を出した光の速度に全く追いつけなかった.だから義父の教え通り五感を捨てる.ただ観る.

重力を操る銀星号はついにブラックホールを操作する.逃れられぬ引力の中,景明は光の真意を知った.奪われた父と再び会うため,愛し合うため.そして意識は消失する.

大和の未来のためとはいえ,目の前で部下を見殺しにするっていうのは宮殿下は辛いわなあ...優しい性格なんだろうし.

それにしてもおっちょこちょいな村正かわええなあ.

 

ー4ー

目を覚ました景明の視界に入ってきたのは茶々丸であった.何故かわからないが協力的,目的が点でわからない.

色々と質問している最中,光が現れた.一目散に飛び掛かるが生身で勝てる筈もなかった.

二年前となんら変わりない光,全く理解ができない.狂っている,そう思いたいが,そう思えないほど普遍的な振る舞い.

これから世話になる家賃として茶々丸は添い寝を願う.景明の出す音は不快ではないからと.

キノコ(依存症)女ってなんでキノコかと思ったけど,マジックマッシュルームかな?オッペンハイマー以降の年代だし,まあ時代もあうのかな?

これ茶々丸半分劒冑っぽいな...

景明を我が物顔で扱う村正かわいい~

 

ー5ー

銀星号の速さに追いつくため,無我の境地を得ようと修行するも上手くはいかない.それは無我の境地を得るために先んじて銀星号を倒すと言う目的があるからと通りかかった僧は言う.それは茶々丸と同様の立場の遊佐童心であったのだが,茶々丸に言わせればそれは英雄になれとの助言らしかった.彼女に言わせれば,いくら自分の目的があるとはいえ,やりたくないことをし,それが世のためになっているのであればそれはもう英雄なのだと.自我を捨て,個人の情を捨て,銀星号をただ世界の敵と,魔王と認め英雄とならねばならないと.

 

あの日以来,景明を他者として意識することが増えた.それが劒冑にとって邪魔なのだろうか.銀星号たちのようにある意味でお互いを無視しなくてはならないのだろうか.

 

目の前に光が隙を見せて立とうと切れない.それは相手が妹であるからだった.光は何時までも待つというが,惨状を鑑み焦る景明.そんな景明に光は卵を植え付けようとする.村正のおかげでなんとか妨げることはできた.

生身の肉体で二世と向き合う村正の様子はかつて義母と面した光の様であった.

劒冑は生身でも人よりも明確に強い.しかしその常識は光には通用しない.村正を不要という光を止めようとした際に不意に出た言葉,村正を殺せば光を許せなくなる,その言葉が光の逆鱗に触れたようだった.光の破壊,それを止めたのは意外にも二世であった.善悪相殺.光は今村正に敵意を抱いている,それは光の言う武に背き,そしてその代償となるのは他でもない景明である.

この作品の何がいいかっていうと,主人公である景明と村正以外の行動はほとんど固定されているところだと思う.運命的に.

坊主がしたことは許せないけど,根本から嫌いになれないんだよなー.今回の景明への助言で余計にそれが深まったけど.

思わぬところで沖生徒会長,スピカ他が出てきてびっくり,ニトロプラスだもんね.そして梨深までも.そういやニトロプラスから出てたな.他のキャラも登場キャラなのかな?

 

ー6ー

茶々丸に連れられ,アーマーレースへ.この喧噪を静かという茶々丸はやはり何かを知っているようだった.

茶々丸が伸ばした手を受け入れる景明.頭にノイズが入る.うるさくて仕方がなかった.どうやら一行はテロの対象となっているようだ.

大きな爆発.茶々丸を殺したと喜ぶテロリスト.景明にはただ怒りと憎しみが渦巻く.何の罪も,関係もない観客を巻き込んで,何故そこまでできるのか.一殺多救を叫ぶ奴らを見ているとまるで自分の行いを見ているようで我慢がならなかった.流星団,彼らは銀星号を崇拝する倒幕派テロリスト集団あるいは宗教団体.再び光を切る決意を固める景明に,茶々丸はチャンスをあげると言う.英雄に徹し,肉親を切る機会を.

 

このまま進めば引き返せなくなる,そう誰かが忠告したように聞こえた.

茶々丸に連れられた先,その光景を景明は知っていた.かつての,病魔に侵されていたころの,毎日のように看病していたころの姿だった.この湊斗光が眠ると銀星号が現れる.そう茶々丸は語る.気になった茶々丸が脳波を調べたところ,この光が覚醒状態で,生き生きとした状態が眠った状態.つまりあれは光の夢なのだ.夢の中の存在だからこそ,存在が捉えられないほど希薄だったのだ.夢想だからこそあれほどまでに強いのだ.そしてこれは奇跡ではなく呪いである.二年前と比べものにならないほど光は衰弱している.景明が手を下さずとも時期に死ぬほど.後二回,それが銀星号に,光に残された時間らしかった.まさしく光を殺すチャンスである.しかし誰が目の前の愛すべき妹の息の根を止められるであろうか.村正がその役を引き受けようとしたが,茶々丸はそれを許さない.殺せない.目の前の光は何もしていないのだから.光を殺すため,殺してきた罪なき人々がいくら景明を責めようとも,殺せなかった.ただ許しを願う.光を抱きかかえ逃げ出した.

 

走り続けた先で,光はいつの間にか眠っていた.銀星号は自信を光の夢だと,光の希望だと認める.自らが泡沫のものだと認める.歩みは止めない.ただ父を取り返すため.会いはしない,拒絶されるのが恐ろしいから.だからすべてを手に入れるため世界を滅ぼす.

 

町の惨状.これは光を殺せなかった自身がしたことだと景明は責める.殺さなくてはならない.しかし...そんな景明に,村正を組み伏せた茶々丸は卵を植えつけようとする.村正を装着すれば茶々丸は切れる.しかし茶々丸の光を助ける方法があるという甘言に,例えそれが自身の心魂を捨てることとなろうとも,身を委ねてしまう.

景明!もしかしてお前!光の父親なのか!?それはお前が悪いわ...

 

ー7ー

茶々丸の直属の部下となった景明.二人が向かったのは本丸,普陀楽城.しかしその事実を景明は認めなかった.光を救うため,神にするため,茶々丸に景明が協力するのではない.茶々丸が景明に協力するのだから.卵を植え付けられた割には理性的.それが二人の純粋な感想であった.

 

村正はただ会いたかった.自分の無能を悔いた.助けるものなどいないはずだった.そこへ現れたのは先日偶然助けた忍びのものである.

村正がいなくて寂しいよ;;

 

ー8ー

茶々丸に連れられて行ったの集会は,ウォルフ教授,常闇,桜子,といっても桜子も景明と同じく今日が初なのであったが,が集う緑龍会.神を呼び出そうとする者たちの集まり.神の実在を推察したウォルフ.そして事実人として生まれなかったため,その声を聴ける茶々丸

茶々丸の世界は,先日味わった以上に雑音が響く苦痛の世界であった.神なんかではない.ただの力である.

 

ー9ー

公方,特に獅子吼に気にいられる景明.それは能力があるのももちろんだが,養子に入る前にいた弟を思い出させるからだと獅子吼は言う.

 

正宗を携えた一条は景明にかけられた呪いを,その原因である村正を恨む.村正もその責任を景明から奪ったりはしない.あの日以来それは二人の過ちなのだから.二人の罪であるなら,片方だけは裁けない.そうして仕手のいない村正は見逃された.

 

夜,ウォルフと会って紹介されたのはリトルガール.その正体は進駐軍の新型爆弾の鍵である.これを普陀楽に落とし,銀星号と結びつける.賭けである.

そういわれれば似てるもんなあ...

 

ー10ー

村正は主のため普陀楽へと向かう.それを聞き,親王,署長も決心がついた.

 

茶々丸はその情報をつかみ,先回りをし建朝寺を攻めることにした.

村正一同を包囲する六波羅.その陣頭は茶々丸,雷蝶,そして景明であった.劒冑である村正を相手にするのはやはり茶々丸.劒冑をもつ一条には雷蝶,忍には景明.

六波羅の圧勝に思われた.しかし問題となったのは景明.忍は劒冑を所持していたのだ.茶々丸は焦る.それは村正に汚染を浄化されうるからであったが,それが不可能なことは景明が最も理解していた.かつて景明にその能力を使えなかったように,それほどまでに勅命は重い.それにまた負ける予感がしなかった.かつて光がやってのけた兜割をいま景明も成し遂げた.生身で初めて人を切った.ただ光への愛情一つで無我の境地へと至ったのだ.

最後に立ちふさがったのは義父であった.義父は景明に説く.それは愛情ではなく呪いだと.

意外にも戦いを止めたのはただの一報.進駐軍が横須賀へと攻め入っている.

 

鍛造雷弾が使えなくなるよう横やりを入れられた末のウォルフの決断.目的のためにはそれに従うしかなかった.光が目覚めるまでの四日間,城を守り,痺れを切らした進駐軍に爆弾を使用させるしかない.

雷蝶がやっぱり朝廷と繋がってたり,他のルートと主人公たち以外の行動がおおむね一致してるのは本当に良い.

こういうとこみても一条>香奈枝の優遇の差が感じられる.現状だけど.

村正をプレイして一つ思い直したことは,やっぱり人間は生きている間迷い続けなければならないってことかな.だからこっちの景明は好きじゃない.

かつて道具という関係であった村正が,今道具であることを望む茶々丸と戦うってのはいいなあ.燃える.

 

ー11ー

どうしても普陀楽に忍び込めない村正は,まるで酔っぱらったように歩く男性を見つけた.車に轢かれそうになった彼を助ける.稲城忠保.鈴川によって視力を奪われた彼であった.彼が懐かしむ友人,雄飛は,小夏はもういない.他でもない村正が奪ったのだ.彼は雄飛の代わりに小夏を守ろうとしている.

目が見えないからと,弱者をいたぶろうとする進駐軍兵士.御堂なら,稲城忠保を死なせはしない.だから死なせない.今いない景明の代わりに.

彼は村正が守る様子から雄飛を殺した犯人が目の前の人物だと気づく.彼は村正を憎む.劒冑は不死である,心が砕けない限り.村正は死に瀕していた.それでも質問を続けた.あなたは私に復讐をする?答えはいいえだった.意味を失くしたくないから.雄飛が死んだのには理由があった.目の前の人物が死ねばその理由までもなくなってしまうから.殺したものとして,その意味を守り抜かねばならない.周囲の武者には恐れを感じなかった.目の前の彼が突き付けた罪こそ,なによりも重い.人を殺したものはその死を生涯背負わねばならないのだ.

 

運よく武者たちは撤退した.それは来るはずのない獅子吼の援軍の到来のためである.真打にまさる数打の銃撃兵器.時代の終焉に他ならない.

ここで泣かされるとは思わなんだ.

 

ー12ー

雷弾を許可なく使おうとする寸前,GHQ全権委任代理が女王から拝命を受けて訪れる.犯人は香奈枝であった.アメリカ信奉者の夢はここで潰える.

なんか最後まで香奈枝のことは好きになれなかったな.見せ場なんだろうけど.

香奈枝ルートでは香奈枝が景明とともにいたから爆弾落とされちゃったけど,他のルートではそんなことはないから落とされてなかったってことね.なるほど.

 

ー13ー

光が目覚める日になった.同日,作戦失敗の報を受ける.だが景明らは黙って諦められない.キャノン中佐さえ自由になれば作戦が続行できるのなら,景明もしくは常闇が拘束を解くまで.結局向かったのは常闇であった.もう二度と景明と常闇が会うことはない予感がした.

 

目覚めた光は用意されていた食事に口をつける.それは故郷の,景明の味であった.そうして戦場は地獄と化した.

 

隙を見て侵入した村正.目の前の人物が湊斗景明ならば,大勢が死にゆくのを眺めたりはしない.世界と妹を天秤にかけ,迷いなく妹を取れるのは景明ではない.景明は精神汚染の力を使えまいと油断していた.しかし村正は勅命があったから力が使えなかったわけではない.できなかったのは景明の意志を奪いたくなかったからなのだ.だから今村正は力を使う.光を助けるという目的のみを残されて,他は奪われてしまったのだから.その力は暖かかった.奪う力でなく取り戻す力.目的を,罪を取り戻す.殺した理由を取り戻す.しかし景明の精神世界に干渉できるのは村正だけではなかった.茶々丸もまた語り掛ける.

 

全てを捨てられるのであればどれほど楽だろう.しかし罪は如何様にしても消えないのだ.その理由は消してはならないのだ.一身上の都合によりその命を奪ったのだから.冷たき村正のおかげで景明は正しくいられる.

まずは雷弾を防がねばならない.そのためには邦氏を説得し,大政奉還をさせる.そうすれば六波羅はなくなり,進駐軍との戦争も終わる.

茶々丸は簡単には通してくれなかった.全身が鋼鉄へと変化する.人であり劒冑でもある,両者のハーフ.茶々丸の狙いは足止めすること,それだけではない.邦氏を殺してしまえば大政奉還などできはしないのだから.

 

雷蝶と護氏の劒冑は対を為すもの,片方に傷がつけばもう片方にも傷がつく.だからこそ茶々丸が裏切り者だとその姿を見て雷蝶はすぐに悟った.

しかし邦氏を狙うものは茶々丸だけではない.岡部桜子.彼女もまた六波羅を恨むもの.彼女の中で邦氏はすでに悪鬼の王だった.彼女を愛していた.だからこそ,悪鬼の王を演じる.彼女に刺される,彼女を刺す.

雷弾は落とされる.銀星号のブラックホールはそれを受けとめる.

神が,すべてを結びつける水がこの世に舞い降りた.

村正ほんとに好き...

はじめは雷蝶情けないキャラと思っていたけれど,こんなかっこよくなるんだね.

 

ー14ー

神が解放され,光の唄は響き,世界が争いに包まれた.またもう一つの太陽から降り注ぐ雨は人々を鉱物へと変容させる.なんとしてもあの太陽を壊さねばならない.きっとあの太陽は近いうちに舞い降りるだろう,それが光なのだから.

茶々丸は言う.景明が湊斗景明であるうちは光には勝てないと,無名の英雄にならねばならないと.そう呪いをかけ,茶々丸は息を引き取った.

そして卵から回収した太刀の断片もそろう.それは同時に銀星号の力が完全な状態で村正の中に生まれることをも意味した.仕手の景明にはできることはない.それでも今度は村正に力を貸す番である.二人で一騎の武者である.

~~

自分は誰だったか,ここはどこか.ただわけのわからぬ焦燥感にかられるまま町を探索し,自らを探す.

そうだった.自分は湊斗景明で,湊斗光を殺さなくてはならない.それでも湊斗光を殺せないと言うのなら,協力者である村正にはまず湊斗景明を殺してもらわねばならなかった.景明が死に,ようやく光を殺すのに邪魔なものがなくなるのだ.

無我の理念.今だけは村正は景明を英雄と呼んだ.

~~

以前と違う野太刀に銘をつける.虎徹

 

ー15ー

終わりの時が来た.手を差し出せば救える命を自らの意思で見捨てる.必ずやあの太陽と切り落とすため.

行く手を阻むのは銀星号に匹敵する力をもつ複製体.一条,香奈枝の助けを借り,二人を見捨て,ついに銀星号の,光のもとへたどり着く.あれはきっと本当に劒冑の神なのだろう.あれ1粒で劒冑を生み出す.

空間を曲げ,時間を曲げる神.さらには徐々に知性まで身に着け始める.それはかつて金神を得ようと模索していた長坂を頭に据えての事だった.しかしそれは剣と剣の戦いを意味し,景明にとっての好機.

ここで連携なんかしないってのがいいな.下手な友情見せられるより各個撃破でいい.そしてなにより二人に託すとかでなく,景明が見捨てると割り切っているのがいい.

最後の最後でお前なんかーーい.

神を倒し,漸く光が現れた.これまでと比にならないほどの汚染.すぐにでも切らねばならなかった.

神の力をも操る銀星号.光に勝つにはやはり景明が不要だった.だからこそ村正の精神汚染を受ける.

しかし敵わない.敗れた景明は光の胎内へ,そして村正は砕かれた.それでも景明は村正を求む.それは光が夢だからだ.夢だからこそ己を全て肯定している.景明にはそのようなことができない.重ねてきた犠牲に対し開き直ることなどできない.夢と現実は混じり舞うことはないのだ.景明はその名を叫ぶ.村正.

あと少し耐え切れば勝ちだった.そしてそれは造作もないことだった.しかしそうすれば同時に景明の意思は本当に消失してしまう.そんなことを村正は許容できなかった.

光の父は景明だと思ったけどそんなことなかったみたい.ごめんね疑って.もしくはそのことすら光は知っていて,景明に執着するか.もしかしたら義母の言葉も署長にじゃなくて景明に?と思ったけど,景明と父を呼び分けてるからそれはないんだろうな.

そして急に始まるパズルゲーム.いるかこれ?

 

ー16ー

村正も景明も瀕死であった.だがこれでいいのだ.茶々丸は呪いだといった.本当に彼女は陰謀に向いていないのだろう.自己を失くしたままだったら,景明は英雄の果てに魔王へ化していただろう.なぜなら善悪相殺.無我のまま敵を切ってはならないのだ.あくまでも湊斗景明として湊斗光を殺すのだ.救いたい.光を守るのが景明の望みで,光を殺すのが景明の責である.光は悪くない.あれはただの夢なのだから.目の前の少女を娘ではなく,妹として愛する.それこそが約束だから.

敵はただ一人.悪鬼,湊斗景明.心臓を突き刺す.善悪相殺.その代償は愛すべき「妹」の光.

てっきり景明が暴走してって思ったけど,湊斗家にかかわる重い因縁があって,養子であった景明はそれに逆らえず,父母もそればかりはどうしようもなく,それでも実の息子ほど愛していた景明に幸せになってもらうために,妹でしかない,父になってはならないという戒律をつけたのか...

終わり方完璧じゃないか...?途中宇宙に行ったところはちょっと笑ってたけど号泣も号泣.

 

ーEPー

争いはとどまることを知らなかった.中央の権力争い,攻め入るロシア.陸奥が頼れるのは武帝ただ一つであった.傭兵を生業とする武帝は,終わりを迎えた劒冑を受け入れ一つの国を為した.代償は依頼者側の命.今回の依頼者がただ一つ勘違いしたのはその数であった.善悪相殺.