えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

装甲悪鬼村正の感想(悪鬼編)

=悪鬼編=

ー1ー

どうしたわけか景明は生きていた.おそらくは光が生かしたのだろう.あとは死刑に処されるのみのはずだった.しかし親王も署長もその件は黙殺したのだった.

死に向かう村正の心残りは景明の幸せだけである.

結構魔王編で綺麗に終わったと思うけれど...

 

ー2ー

二日酔いの景明が目を覚ましたのは見知らぬ村の家屋であった.貧しい生活の中,憂いもなく自らの食事を分け与える子供に父母はもうおらず,一人で暮らしているようだった.その子の名は「ひかり」.愛していた妹が思い出される.

どうやら村正も追いつき,介抱してくれていたようだった.

酔いながらも,村の争いごとを収めたという事実は幾分か景明の心を救った.だからなのだろう,この村の難民と旧来から住む者の諍いに助力したくなったのだ.

 

ー3ー

行動が心を動かす.いつしか手を取り合うようになった.しかし過去は変わらないのだ.どこかから漏れた景明の所業.問い詰められ,嘘をつけるような性格ではない.次の争いの火種は自分であった.

 

ー4ー

自責する日々に戻る景明に,村正は我慢の限界だった.

一途な彼女を愛おしいと感じる.自らの卑しさに絶望しながらも,光を,義母を殺してから初めて深い眠りにつけた.

 

ー5ー

あ~村正かわよ~なデートパート.

建朝寺で紛争が起こったと知る.思わず飛びたとうとするが,もう景明にできることはなにもないのだった.

村正は思う.景明に戦いを忘れてもらいたいと.昼時に言った劒冑になったことを後悔はしていないというのは真実である.だからこそ景明に出会えた.同時に,今なにより景明に戦いを思い出させるのは他でもない村正自身.だからこそ辛かった.

 

ー6ー

二人は旅に出る.逃避ながら穏やかな旅になるはずだった.

村正の胸を貫く刃.その主は雪車町であった.純粋に,ただ湊斗景明を憎しんだのは雪車町ただ一人であった.

拉致された列車を追いかける.理不尽である.愛すべきものを理由なく奪われるのはこうまで理不尽だったのか.列車は間に合わない,そして乗ろうとしたバスも間に合わない.景明が必死であるかどうか,他の人々には関係がないのだ.理不尽としか思えなかった.すべて,すべて景明が行ってきたころに違いなかった.

 

伝言板に残されたメッセージの先で,雪車町はもう村正がどこにもいないと言う.目の前の村正の断片から声はもう聞こえてこない.

憎しみのまま雪車町を殴り続ける.その様子に雪車町は満足げだった.

 

=BAD=

雪車町を殺した.息絶える寸前,雪車町が出した通信遮断の箱.そこには愛する村正がいた.再会,そしてそれは別れを意味する.善悪相殺.悪である雪車町を殺した景明は,村正を殺さねばならない.そしてそれを村正は笑顔で受け入れる.戦いを思い出させるのは自分なのだから.これで全部失ったのだから,これで自分を許してあげて欲しい.そう村正は言った.使命も,呪いも,愛も.景明はなにもかもから自由だった.

まあBADだよねえ...CG回収のためとはいえ,あまり好きじゃない終わらせ方だなあ.投げやりというか.というか生身で切っても善悪相殺になるのね.それは知らなかった...

 

ーEPー

 

=TRUE=

それでも雪車町は殺せなかった.今まで自分が誰かにこのような当然の復讐を許したことがあっただろうか.殺したい,が村正を殺したのは雪車町だけではない.これはある意味で復讐であったのだから.他でもない景明が原因でもある.そして何より今は景明には殺す理由はなかった.もう平和なのだから.雪車町を殺して救われるのは自身だけなのだから.

かつて雪車町は言った.村正とともに籠っていればよかったと.それでもそうしなかったのは人を殺してでも人を救いたかったからである.まだ景明の使命は,村正の使命は果たされていない.この世のすべての争いを鎮めるのだ.嫌々やるのではない.やりたくないことを進んでやる人間などいない.これからも,これまでも.あの時泣いていたと雪車町が言うのなら,それはきっと愉悦の涙だったのだ.思えばこう思うまで長くかかった気がする.景明は自身の邪悪を信じる.

通信遮断装置から村正は現れた.村正もまた景明とともに進む.村正は善悪相殺を礎とする景明の劒冑なのだから.いつかすべてが終わったとき,その代償を二人してささげるまで.

雪車町,一条,香奈枝の三者は別れる.雪車町は帰り,香奈枝は待ち,一条は行く.

景明の前に一人の少女が敵として立ちふさがる.景明は笑う.自らの道を突き進むものとして.

 

先日の村ではやはり諍いが再発していた.しかし景明のもう一つの真意を継ぐ少女,ひかりがいる.和を以て貴しとなす.彼女の笑顔はまた景明とは別の道を進む.