えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

装甲悪鬼村正の全体の感想

ー総評と感想―

良作.人によってはそうでもないと思います.というのはノベルゲームにはあまり見られない独特の文章と地の文の多さからです.あとはUI関連の悪さと無駄な選択肢.UI関連が悪いがゆえに,攻略なしでやるにはちょっともっさりしてて不満を感じました.

 

個人的に良いなあと思ったのは,物語の構成の美しさ.主人公の関係しないところでは他の登場人物は自ら行うところを曲げない,信念を曲げないんです.だからこそ概ね景明が関係しないところの物語は変わらない.そこが素晴らしい.

また裏のシナリオもすべては明かさず,さりとてデウスエクスマキナ的なものにもならず,そこにもまた調和性を感じました.

 

シナリオとしては

魔王悪鬼編>英雄編>復讐編

でしょうか.正直復讐編が好きになれないのは香奈枝とさよの声が好きになれないところが大きいからなんでしょうが.

 

さて最後のシナリオ,悪鬼編は必要だったのでしょうか.正直綺麗に,気持ちよく終わるのは魔王編村正ENDだと思います.では何故美しい物語構成の本作がわざわざ蛇足にもなり得たこのシナリオを挟んだかといわれれば,個人的にはその目的が違ったからだと思います.魔王編まではプレイヤー(を楽しませる)ためのもの.一方で悪鬼編は景明(と村正)のためのものでしょう.それは最後の一枚絵が「完」ではなく「始」であることからも感じ取れます.景明は愛すべき村正が理不尽に奪われる経験を通し,初めて善悪相殺の理を真の意味で我が物としたのです,光が,先代村正たちがそうしていたように.だからこそプレイヤーの物語は終わり,景明の物語がここから始まると考えました.またもう一つ.人間は争い続けるが,そんな中でどのような苦境にいようとも,ひかりのように和を尊べるものがいる.そういうプレイヤーへの救いを残す意味もあったでしょう(あくまで景明への救いではありません,彼は悪鬼となれたのですから).

 

人生が変わった!みたいなレビューを多く見ましたが,そこまでではないです.それはその人があまりこういったものを読まない,見ないからでしょう.