えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

アオイトリの感想(始まりの3日間)

=始まりの3日間=

ー1ー

人に触れると安心感を与える主人公,白鳥律.特に体液を与えた時には極上の安心感を与える.

なぜ律はこのようなことを繰り返すのか.それは歪んだ常識とトラウマのため.幼いころこの女学園に捨てられて,それ以来多くの女生徒に触れられてきたという常識.そして過去,「普通」にあこがれて一度だけ断った女生徒が自殺したトラウマのためであった.

この学園から出ようとすると,心がざわついてどうしても出られない.ここで神父として不安を取り除き続ける.

 

冬に咲く桜.輝く花びら.非日常的光景に目を奪われていると電話がかかってくる.かつて自殺した少女の声.いつもは頭で鳴り響いていた.しかし今回は...

しばらくすると電話の主は「電話の悪魔」と自称する.桜が咲いたことで理由はわからないが繋がった電話.悪魔はこれから律に仕えるというが,そこでタイムリミットが来た.

 

そして屋敷に戻ると,その温室には吸血鬼メアリー・ハーカーがいた.この冬桜はメアリーの血によるものらしい.もともと,100年もの昔,ここに住んでいたメアリーはしばらくここで暮らす.

 

100年前,事故で両親が死に,自分も死に瀕したときに,吸血鬼の師に助けてもらった.そこからの2年はその優しいけど不器用な女性と旅をしていた.吸血鬼らしい吸血鬼.生きることに飽きていた女性はある日いなくなった.その後も何十年も旅をしてきたメアリー.文明の進歩とともに,吸血鬼が認識されなくなったから故郷に戻ってきた.

そんなメアリーの師のために,神父として祈りを捧げる.祈祷の間,吐血するメアリー.強く祈ると吐血する,真なる祈り.

 

ー2ー

フレンドリーな天才,赤錆美果子.名家の天才ゆえに男兄弟を委縮させてしまったため,この学園という鳥かごに囚われた彼女もまたトリ.

 

メアリーについて古い記事で調べる.ほとんどは本当.ただ両親は強盗に刺殺されていた.

 

メアリーに力と「していること」の話をする.少しびっくりしたが受け入れるメアリー.人助けのためなら同意もしているしそれでいいんじゃないかと.楽しそうに電話口で煽っていた悪魔も驚愕のあまり言葉が出ない.この件については自分に責任はない.そしてその当人たちがそう決めたんだったら,正解なんてわからないから結果を確かめるしかない.言えることはただ一つ.その自殺した子はもったいないな.生きていることは本当に楽しくて幸せで価値があると思う.100年の間死んでしまいたいと思ったこともあったけど,それ以上に,生きててよかったと思うことの方が多かったから.

メアリーと同じ考えで生きてるから好き...メアリー最後に回そ...

 

悪魔は,キリストと対称的に生まれた悪魔の救世主こそが律だという( ^ω^)・・・この学園にいることで力が抑制されているらしい( ^ω^)・・・

力が目覚めると,人格が変わる.すなわち律の死.女性を抱かず,負の感情を食わなかったり,無茶をすると早まる死,なにもせずとも数年の命.

そして悪魔は,人間的な意味で,メアリーは律にとって害悪になるかもしれないという.

 

ー3ー

悪魔の救世主としての最大の力,それはおそらく死んだ者の蘇生.現世から死を消すことで対立する生すらも打ち崩せる力.

動揺する二人.それはメアリーの両親と,自死においやった少女も生き返らせることができるから.しかしメアリーはそれだけはダメだという.それは律も同じだった.

ではなぜ律はこんな話をしたのか…律はメアリーが自殺しようとしていることに気づいていた.それは師と同じ「もういいかな」という言葉.心の死.次の100年,そしてその次の100年,そこできっと人の血を吸ってしまうから.きっと仲間を増やそうとしてしまうから.人のまま死にたいと願う.最後の願い,それはもう1度日の暖かさを感じたい.それは死と共にかなう願い.

 

私自身,人間,最後に残される権利は死であると思いますから,メアリーの気持ちも,私自身が死に面したことはないので理解できるとは言えませんが,納得はできます.最も話に上がるのが,本作にもあったように尊厳死安楽死.そしてそれさえも奪われる例は戦争捕虜や漫画チックな例でいうと,スパイが捉えられて情報を吐かされる,しかしそれを阻止するために死ぬこともできず,自分の国や結社がピンチに陥るなど…普通に生きていても,それが正しいかは置いておいて,自殺することはできるわけです.つまり死ぬ権利さえ奪われた人間が他になにか残されているものはあるのか.病等で本人が安楽死を願っている場合はどうか.その場合食い扶持や当面の娯楽もあるでしょう.しかし本人が死を願うのは,快楽説的に,生きることによる辛さが喜びを上回ったということですから,死の権利を奪われた末に残されたものは大したことのないものなんだと思います.つまりメアリーのように死こそが最後の救いなんだと思います.その点で言えば,個人的には死ぬ権利を奪われた末には何もないに等しいと思うわけです.

 

明日の朝,死ぬというメアリーと最後のお茶会.

メアリーは赦す.かつて自殺した少女と同じ立場から.本来,罪の告白ができない神父である律にとっての神父として遣わされたメアリー.二人の運命の出会い.

 

律は悪魔と取引する.メアリーが日光を浴びても問題なく,失った100年を取り戻すために,学園に通えるようになる手段と,自分の命.

拒否する悪魔.そんな悪魔に律は生まれて初めて本心を表す.もう心は律さない.もしメアリーを救える方法を教えないなら,必ずお前を見つけ出して,八つ裂きにすると言い放つ.自分に正直になった悪魔のような律にほれぼれとする.だから1度だけ,この1度だけ無償で命令を聞くという.一つの選択を律に投げかける.「メアリーを救うか,かつて自殺に追いやった少女を救うか」

メアリーと即答する.この時,本当にあの日の少女を殺した.

メアリーに自分の血を飲ますために走る.

恍惚とした表情で血を啜ってしまうメアリー.その後日を一身に受ける.長い長い夜が明けた.

そして律の長い夜も明ける.電話の主に語り掛ける.「僕は君を見捨てたわけじゃない.普通になりたかった,その時の相手がたまたま君だった.ただそれだけ.だからこそもう誰も見捨てない.君が最初で最後.だから君のためには死ねないけれど,きっといつか君のいる場所に行くからそれまでは待っていてくれ」

この後に共通ってマジ...?共通に入ってもいないのにばちばちに泣いた...これは大当たりかもしれない...