えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

WHITE ALBUM2の感想・考察

=総評=

なんか書いてるうちに13000字とかになっちゃった.各チャプターは下の方.絶対来年の年末もやるぞ!

 

いやー神.途中までいつものようにあらすじ書いてましたけど,あまりにものめり込みたくて,どうせこの内容なら絶対2周目するなって思ったんで全部消し去りました.2万字強.というかあらすじを残しておきたい内容はもう一度やりたいものですし,別に2周目やらないものは,残そうとは思わないのではという...

たぶんもう私は恋をできない...これほどまでに他人を愛し,思い続けるなんてこときっと私にはできなくて,たぶん異性に惹かれる度に3人のことが思い浮かんで,自分の中の愛情のちっぽけさに失望してしまう.3年も苦しみ続けることなんてできないほどの愛なんだなあと諦めてしまう.

ICはもちろん,CCの3人はプレイヤーにとって空白だった3年間を埋めるもの.どれほど春希と雪菜が藻掻き,苦しんでいたのかを実感するためのもの.3年間を埋めた後はあるべき過去,雪菜との今までの過去を追随する.そしてついに我々は春希と雪菜とかずさが邂逅した現在へと舞い戻る.CCまではあくまで過去,もうすでにあったことで,codaからようやく現在,不定の未来,プレイヤーに委ねられた選択なのである.

他の丸戸作品と異質な点はなんといっても他のヒロインもやはり踏み台でしかないというところ.最初から最後まで,どのような未来をつかみ取ろうとも,やっぱりこの物語は始まりの3人の物語なんです.だからこそ,他作品が一人のルートだけ浮いていたり,まとまりがなかったりするのに比べて,本作は異様な完成度を誇っているんだと思いますし,だからこそ最高傑作だと評されているんだと思います.

ちなみにちゃんと胃痛は引き起こしました.麻里さんルートまでは千晶ルートまでは締め付けられてる感じ,そこから麻里さんルートまでは胃のむかむか.そして小春ルートからは普通に胃が痛かった.

 

おすすめ順は2chテンプレ通りで間違いないです.好きなルートなんてのもないです.全部合わせてWHITE ALBUM2.強いて言えば,かずさルートと浮気ルートが気に入ってて,浮気が一番泣いた.Afterまで含めてね.Afterはわけわからないくらい泣いた.雪菜派,かずさ派を問われると,どっちも大好きだけど..........かずさ…

 

この物語の好きなポイントは

・すれ違いと弱い男.これは単なる好物.

とか

・ほんのちょっと自分に正直になること,勇気を出すこと.そうすればきっと人生は前向きになるのに,それでもそれはあまりにも難しく,時に人生は大きく捻じれてしまう.好き合っているのに.愛し合っているのに.

とか

・他人を,愛する人を傷つけて,人との関わりを避けようとしても,それでも人は人を求めずにはいられない.他人の優しさに期待せずにはいられない.でも前述のちょっとした正直さと勇気がなければやはり人はすれ違ってしまう.優しさを与えられようと,それを受け取ろうとして手を椀状に掲げなければ零してしまう.千晶ルートだって,麻里ルートだって,春希の人生が好転したのは春希が,そしてヒロインが自分の気持ちに正直になって,相手がくれる優しさを受け取ろうとしたときなんですから.

とか

・誰に対しての優しさなんてものは虚構であること(特にこれは小春ルートなわけですが).誰に対しても誠実で,優しくあることは時として,いや大抵の場合,人を裏切ることに等しい.誰にでも優しくありたいなんてどこかで思っていた私に,そんなことを気づかせてくれてありがとう...それでも,出来る限り優しくありたいとは思いますけど.

 

=IC=

全ての始まり.そしてやはりWHITE ALBUM2が春希と雪菜と,そしてかずさの物語なのだと決定づける物語.自分への正直さと勇気の足りなさを明らかにする序章.CCにはいってから,どのヒロインもかずさを感じさせる(千晶は微妙だけど)のはきっとそのあとに待ち受ける物語のため.雪菜ルートとCodaと.

 

=千晶ルート=

正直,雪菜のためのルートだなあ,と.千晶だけ分岐があったのも,たぶん千晶の我儘さと残酷さと,そして天才ゆえの孤独さを描くためだったんだと思いますが,そのためにはもっともっと千晶の描写が欲しかったです.それこそIC3周目を見ないと分岐できないくらいに.いやそうすると千晶ルートの秘密が明かされるのが微妙に前後してしまうからってのが本当のところなんでしょうが,まあ惜しいですよね.いや偉そうですけど,きっとそれは不可能なんです.この物語はあまりにも3人のためのものなんですから.雪菜とかずさとは違う女になろうとした千晶はその時点であやふやなルートなんですよ,きっと.麻里さんと小春はかずさを感じさせるけど,千晶にそれはないんですから.まあかといってすべてを布石にするわけにもいかず...って感じなんでしょうか.

珍しくHシーンをちゃんと読んだんですが,千晶ルートのHシーンなんて,春希への想いが本心だという重大な描写なのに,移植版ではどうしたんですかね?カットはもったいないですよね.

 

=麻里ルート=

やっぱりこちらも雪菜のためのルートで,そんでもってかずさのためのルートでもあって,やっぱり麻里さんのルートでした.

いやーアメリカまで行くってのは想像ついてましたが先回りって言うのは,想像ついてなかった.結末としてはアメリカで再会なんですけど,どうしてあんなにも私は泣いてしまったんですかね.先回りっていうのがそれほど大きいファクターなのかどうなのか.贔屓目で言えば春希の語るように,麻里さんらしさを引き継いだ結果,なんですがだからめちゃくちゃ泣いてしまったのかは私自身わかりません.

2/28からの圧倒的な同年代との楽しさを描くのがなんといってもいい.正直,このルートの春希は千晶ルート以上に優柔不断で,すっごく不快だったんですが,それでもあの時間は,描写は,物語は必要だと思います.麻里さんからメールが来る前に,雪菜に話す.そのタイミングが,あの4人での居心地の良さを最大限感じてから,それでもその目の前の,手の届く居心地の良さを捨ててまで,手の届くかわからない麻里さんを選ぶという意味でも.

あとはかずさとのすれ違いですっごく泣きました.運命は残酷だなあって.もうちょっとの正直さと勇気があればかずさと再会できていたのに,それでもそうならなかったのは運命なのかなって.

 

=小春ルート=

小さな春希である小春.春希はこのルートで自身に,なりたかった理想の自分に向き合うこととなります.他の二人にはない無償の優しさ,そしてそれがどれほど他人に,傷ついている人間に魅力的かということ.どれほど自分の罪が深かったかということに.

きっと春希のかずさへの想いが憧れからだったように,小春の春希への想いも憧れに近い感情で,そんなところで他ルートと同様,かずさを想起させます.それでもって,友人のために自分の想いに蓋をしようとしてしまうところも.そしてまた美穂子の心を知りながら,春希とキスをしてしまう,そんなところは雪菜でしょうか.

武也が小春の異変に気付いて,そして客観的に見て完全に春希が悪いのにそれでも雪菜が悪いといってしまう小春を我々が見て,小春の気持ちが確定的なものとなってしまうことを心底理解.同時に小春の暗い未来も確定的なものとなった瞬間,胃を熱した手で握られてるかのような感じがしました.鋭利な刃物で切り裂くよりも,刃こぼれだらけのナマクラでゆっくりと突き刺される方が辛い...そんな状況を大人になった晴生も理解していて,失うものが多すぎると踏みとどまろうとする.また自分の気持ちに嘘をついてまで.でも自分に嘘をつくことは,不幸な結末を手繰り寄せることだから.だからこそ春希は今度こそ,自分に正直になる.どれほど多くの犠牲を払おうと.まあ最後の部分はどのルートも共通ですけどね.

あああああああ,ほんとに学校でいじめられる小春を見るのはしんどかった,辛かった,痛かった,むかついた!!仕方ないじゃん!それほどまでに好きになってしまったんだから!ってわけのわからない擁護が頭に浮かぶほどには.

小春が自身の心の傷を埋めるために春希に溺れるのはそれはそれで胃が痛いし,Hシーンがかずさとそっくりで,それはもうなんかね...辛いってのも違うけどああ...

まあそんな胃痛の才骨頂は雪菜の誕生日パーチーからなんですけどね^^ようやく小春の現状を知ることになった春希.しかしそれは小春がすでに破滅願望を叶えてしまったあとのこと.どうしようもないほど小春が傷ついてしまったあとのこと.小春の誠実さが壊されてしまった後の事.悪いのは自分のはずなのに,自分の周りには優しい友人がそれでも付いてくれていて,小春の周りには誰もいない.たった一人,孝宏が手を差し伸べたとしても,もう小春はその愛する姉である雪菜まで裏切ってしまったのだから,その手は取れない.だからこそ春希は3年前のお節介な自分に戻らなくてはならない.そうして二人きりの世界から,みんなのいる世界へと連れ戻さなければならない.3年前の自分と同じ過ちを犯させてはいけない.二人きりの世界で生きていけるほど,春希も小春も強くないから.

そして小春と雪菜の邂逅.明かされる春希と雪菜の決別.あまりにも雪菜がまっすぐで,優しくて,眩しくて.ここまで精々,涙ウルウルする程度だったけど,泣いてしまいました.私とは正反対な強くて明るくて綺麗で優しい雪菜に羨望しながら,憧れながら,畏怖して.

そんでもってやっぱり,ED後の卒業旅行の話.来るとわかってても泣いちゃいますよね.しゃあないですよ.

 

ここまできてようやく,このWHITE ALBUM2という物語も結末へと向かい始めるわけですか...気になるけれど,終わってほしくない...

 

=雪菜ルート=

ついに来た本番で,それでもかずさ派の私にはきっと辛さが残るルートで,それでも雪菜とかずさと向き合うためには必要なルート.あったかもしれない未来じゃなくて,あるべき現実.冬馬かずさという女性を決して忘れられない事実を認め,それでも目の前で待ち続けてくれた一人の小木曽雪菜という女性を愛するための物語.

動き始めた北原春希と小木曽雪菜の物語はあまりにも幸せで,忘れちゃいけない人のことを忘れてしまい,ずっと心地よいぬるま湯に浸っていようなんて思ってしまうのも仕方がなかった.そんなぬるま湯も続けばそれはそれでよかったのかもしれない.けれど,そのぬるま湯に冷水をいれた柳原の策略はきっと二人の最上の未来にとっては必要だったんです.春希を好きでいるために,好きだった歌も,それに伴う何もかもを忘れてしまったままではきっと雪菜に幸せはやってこないから.例え歌うことで春希が嫌われたとしても,それでも小木曽雪菜が笑うために.

忘れてしまいたい過去と向き合うそんな大切なストーリーでした.今までのすれ違いがすべて収束していくような,いい意味で平坦な.そしてこれからの激動の展開を予期させるような.まあ最後にかずさを忘れてる時点で甘くねえなって予感はさせるけど.

こんな展開になって,かずさを選べる人いるのか?いやどんな展開かは知らないけど,この後.まあここで終わってたらゲンナリってのも確かなんですけどね.

 

=coda=

あれから2年.1週間も離れない,そんな約束を守り続けた幸せな2年.今日12/24.春希と雪菜はフランスにいた.一世一代の決意を伝える,そんなイベントを予定して.そしてもう一人冬馬かずさもここフランスの地を踏む.WHITE ALBUM2に終わりを告げる最終章codaが始まる.

かずさの破れたストッキングを見て泣いて,OPで泣いた.こんなに残酷で,望んでいた再会なんて...初めにあんなにかずさのことを好きにさせて,ようやく3人と雪菜のルートを追って,ここまで雪菜だけを好きになったのに...ああ,あの3人のルートはプレイヤーにとって空白の3年間の代わりで,そしてその3年を終えたのち,4年目を始めるために雪菜とのあるべき過去を追随して,そしてそこから2年経った現在へとようやくたどり着いたのか...

なあ春希,お前やっぱ最低だよ.そして同時に,かずさには春希じゃなくちゃいけないなんて思ったりする自分にも嫌気がさす.春希や雪菜は仲間たちに支えられ,この5年で良くも悪くも大人になった.しかしかずさは例えあいつが母さんになっても,それ以外はずっと一人で,ずっと5年前のままだったんだ.春希の気持ちもわかるよ.私だってストラスブールでかずさと再会した時は心臓が止まったかと思った.けれど.だけど嘘をついて約束を反故にしたり,黙って家に連れ帰ったり.それは人としてしちゃいけないだろう.バレないわけないだろう...雪菜は春希が,かずさが大好きなんだから...近づきたいと思うほど遠くに行ってしまい,遠ざけたいと思うほど近くに来てしまう.確かに運命とかずさの選択は春希にとっても酷なんものかもしれない.けれど,それでも悪いのは春希だよ.

ああでも...自分の中のかずさの気持ちに気づいていながら,雪菜との逢瀬のときにはずっとかずさを考えていたのに,それでもかずさといるときは雪菜のことは頭からすっかり抜けてしまうほどなのに,良識と恩と自分への愛着のために決して裏切れないなんて思ってしまって選択肢を選ぶ私も,昔の春希にそっくりなんだ...あれだけ正直になれと,勇気を出せと嫌っていた5年前の春希に.

今度こそ春希はかずさを忘れない決意をする.決して忘れないために残された1週間の取材で彼女の姿を心に焼き付ける.そしてかずさの空白の時間のことを知り,ついに時間は5年前に巻き戻る.5年前,かずさがキスをした時間へと.止まらなくなった想い.知ってる話なのに泣いた.だってあれほど好きだった人にあそこまで思われていたことを知って...私自身嬉しくて,後悔が募って(いやその後悔の原因は私じゃなくて春希なんだけど怒)

 

=coda-ノーマル-=

だから私は最後に弱い自分と決別するために,真っ向からかずさと向き合うためにまずはこちらを読む.ほんとは雪菜ルートのつもりだったけど...

かずさが用意してくれたコンサートの特等席を空白にして雪菜に会いに行く.きっと,もっと前にすべてを雪菜に話していれば,こんな彼女の晴れ舞台に彼女を傷つけることもなかった.それでも,これほどまで深く傷つけなければきっと春希とかずさの縁は切れないから.例え,かずさとの想いが繋がりあおうと,かずさ自身が偽りの関係でいいと言ったとしても,雪菜を愛しているから.愛する雪菜を裏切りたくないから...例え冬馬かずさの行方が知らずになろうと,雪菜はきっと薄々気づいていようとも,春希はそんなことお構いなしに繕おうとする,最低な春希ですね.

 

そのあとさ...2周目でかずさが日本に来た理由がやっぱり春希で,春希が聞きたがっていたピアノの演奏で二人を祝福するためなんて知ってしまったら,もう...

 

=coda-雪菜-=

きっと事実かもしれない5年前の夜のことを,無理やりにでも嘘にする.目の前の冬馬かずさの冗談だということにする.今を認めないんじゃなくて,過去を認めないことが必要なのかな.そうかもね.今だけを認めないでいようとしたら,過去は自然と認めてしまう.だってそれはあまりにも嬉しくて望んでいることだから.けれど過去から否定してしまえば,自然と現在の想いも否定することになるから.

そして春希はようやく雪菜の前でも認める.かずさと共に過ごしていたことと,それが本当に楽しかったことを.雪菜は怒った.しかしそれは自身を裏切ったことではなく,かずさを裏切ったこと.また3人でいられるように.きっとそんな未来は万が一もないけれど,それでも大好きで,自分が最初に裏切った相手である冬馬かずさを最後まで支えてほしいと.いつまでも逃げ続けてはいけないから.例え春希がかずさの元へ行こうとも,それでも今向かい合わなければ一生,3人とも不幸なままだから.

まあああああそれにしても咽び泣いた.雪菜は強すぎるよ...優しすぎるよ...いや春希もかずさも...

 

雪菜ルートのはずなのに,それなのに登場するのはしばらくかずさばかり...いやわかるけど!もとからメインがかずさだったからっていうのもわかるけど!あまりにも...雪菜早く...

そして判明する曜子さんの病.ああどこまでもかずさを追いつめるんだ...自分が病だからこそ,かずさにできる限りのことをしてあげたいという気持ちが曜子さんが春希を呼び止めて,そしてそんなことできないから春希は曜子さんにかずさを支えてもらおうとして...もうむちゃくちゃだ...日本に永住させてやりたい,それは3人でいるためにも必要なこと.けれどそれは春希がその気持ちを受け入れられないことで夢へと変わる.いや受け入れたとしても3人にはなれないかもしれない.けどかずさは本当に一人になってしまう...

かずさがその事実を知ってしまったとき,ありもしない二人でウィーンに帰る未来を描いた時,そしてその未来がすぐに否定されてしまったとき,そんな時のかずさの叫び,慟哭を聞いていると私の方の慟哭まで止まらなくなってしまいました.

 

だから二人でいると恋人かそうじゃないか,そんな関係にしかなれないから,3人だった時に,友達だったころに戻るために雪菜に頼ったのは,わかってた,わかってたけどまあ泣くよね.

 

一人と一人と一人が三人になり,三人が二人と一人になって,二人がまた一人と一人になって,そしてまた二人になって,三人に戻る物語.そして今度は七人へと.かずさの世界からみんなを追い出す別れの曲が,みんなと共に新しい世界を創る歓迎の曲へと変わる物語.

私もかずさが日本に残ろう未来を創造したりしたけれど,やっぱり前向いてウィーンに帰ってくれる方が嬉しいや,本心からそう思ってました.けれど雪菜と一緒に,最後の最後に騙されちゃったなー.最後は嬉し泣きかよー,親子愛かよー,やってくれるなあ…ほんと.

 

そして雪菜への告白ですよね.俺にはわからないけど,かずさなら雪菜の心がわかるからと,だから俺への気持ちもわかるっていうのは泣けましたね.やっぱり私はかずさが好きなんでしょうね.いやかずさ「も」好きなんでしょうね.

最後の結婚式での出し物とか,ドレスのまま抱き合う二人とか最高かよ..もちろん冬馬親子の一枚絵も...「時の魔法」染みわたる…

 

=coda-浮気-=

まあ書きたくもないけれど...でもこれがWHITE ALBUM2なんだぞ!って感じのEND.もっとも現実的で,私の中の悪魔が正史として考えてしまいたいほどのルート.浮気ルートって誰が名付けたんだろうなあ.そんな陳腐な名前じゃなくてもっといい名前があっただろうに.公式だったらm(__)m.

胃痛とかじゃなくて春希に吐き気がしたけど,唯一得た知見があって.それはなぜ私が,おそらく多数がかずさに惹かれるかということ.かずさの言う通り,雪菜は春希を愛するが故,常に春希を優先し,かずさは春希を愛するが故,時として自分を優先してしまうから.そんな態度が愛おしく感じるからなんだなあって...雪菜はありがとう,ごめんで終わって,かずさはごめん,ありがとうで終わるから.それでもかずさも春希の幸せを一番に願ってくれるから.

 

ああ…旧冬馬邸でのHシーンが最初と何もかも一緒で,これから来る3人の物語がどうしても5年前の物語と重なって...どうしてこうなってしまったんだろう.それでも自分の憐みのためなんだと免罪符を用意してくれるかずさはどれほどまでに優しいんだろう,どれほどまでに春希のことが,雪菜のことが好きなんだろう...雪菜との逢瀬を感じさせる上手くなったセックスがどれほどかずさの救いとなるだろう...

数字で合言葉を決めるなんて,登録名を変えるなんて丸っきり浮気じゃないか...相手を愛するが故の浮気じゃなくって,自分の体裁を守るための,自分の快楽のためだけの...誰も幸せになんかならないよ...かずさが息を潜めてる可能性なんて,優等生のお前なら思いついただろ...なんで二人の幸せを追い求めてたのに,二人ともを不幸にしてしまうんだよ...雪菜もかずさも,お互いを,春希を責められないとわかってるんだろ...まだ二人の幸せを願ってたノーマルルートの方がましだよ.

どれだけ二人が逢瀬を続けようと,一緒になろうとしてもそんなことができるほど春希は強くないし,周囲の人間もかずさも,優しすぎて,そんな破滅に近い道は許してくれない.

もっとも愛し合った二人は決して運命から交わることはない.どれほど強い意志を持ったとしても,N極とS極が避け合うように,決して混じりあうことはない.孤高の天才と愛される凡人は相容れない.

かずさに嘘を言えと言われても真実を話したのは,逃避行ができないほど春希が弱いことの表れで,かずさを愛していたことをなかったことにしたくない,みっともない足掻き.死ぬまで独りでいることで,唯一できる贖罪,自己満足.

それでも雪菜は折れなくて,一人で立ち直って,強くって,春希を許してくれた.

 

でもさ...今まで散々に書き散らかしたけど,この展開は私が浮気ルートの存在を知る前からずっと予感してたもので...最も現実的な展開だと私は思うんですよね...悲しいことに私は雪菜ルートのように雪菜に頼み込む厚顔無恥さも,雪菜への,かずさへの信頼も私にはたぶん持てないです.というかこれがきっと普通なんだと思います.物語として美しいのはこのルートではない,それでも最も現実的なのはこんな展開なんだと.その意味で私はこのルートが好きですし,なければならない哀しい結末だと信じています.世界中で誰一人,プレイヤーも含めて全員が赦さなくても,赦されなかったとしても,私だけはと思ってしまう.決して私が容認してるとか,これが弁解だとかそういうのではなくて,あの楽し気な3人を見ていた側からすると,あまりにも哀しすぎて...そうでもしないとこの世界線の皆が救われなくて...

エピローグは認めたくなんかないけれど,読まなかったことにしたいけど,それでもかずさが願ったように雪菜が春希を治した.それに雪菜自身がこの現在が幸せと言うなら私はそれを否定できない.

 

=coda-かずさ-=

なあ...かずさとばったり出会ったシーンで,かずさ視点入れるのは卑怯だろう...泣くやん...

 

やっぱりかずさを忘れられなくて,教室で5年前の再現をしてしまった.ほんの一瞬だけのキス.どれほど5年前を冗談と言おうと,その事実だけはもう偽ることのないもの.その罪悪感から逃げ出して雪菜に会いに行って,やはりかずさのことは言わない.二人を裏切る最低な未来.そしてICレコーダーに込められたかずさからのメッセージを見つける未来.教室での冗談が冗談なんかじゃないことを確約してしまうかずさからのメッセージを.コンサートにだけは来てほしい,雪菜と一緒に来てほしいというかずさの決意のメッセージ.

ああ,雪菜もわかっていながら自分に嘘をついて,勇気を持てなくて.やっぱりそれが故に3人はまたすれ違ってしまうんだ.もう半日,メッセージを見つけるのが早ければ,もう一歩だけ正直になれていれば,こんな辛い結末に向かうこともなかったのに...約束も,決意も何もかも反故にして...それでもどこか嬉しいと思ってしまう自分が狂おしいほど嫌い.

ただ浮気ルートと違って,自分の気持ちをごまかさず,かずさが一番だと認めた未来.認めたからこそ誠実に身体は求めなかった.だから葉子さんの病気の話も知った上でかずさに関わる.だけど他ルートと同じように,雪菜との婚約はかずさを追いつめる.身体の関係がない分,余計に追いつめる.縋るものがないから壊れるしかない.だったら...もう春希が手を差し伸べるしかない.世界で一番好きな冬馬かずさに.

ああ,こうしてすべてを捨てる覚悟を最初に伝えておけば,浮気ルートのようにならなかったのかなあ...

 

想いを確かめ合うより先に肉体を交えなかったからこそ,想いの強さを確かめ合ったからこそ,二人は壊れてしまうかもしれない未来へ突き進める.物理的なものよりももっと大切で,不確かで,確かなものを胸に抱える.かずさを守るために雪菜を正面から傷つける.

 

そしてごめんなさい.雪菜ルートをみて,もっとご都合主義的なものになると思ってたけど,理想的なかずさルートだと思います.正直さと勇気を持って.ただそれは当初描いていたようなちょっとしたものじゃなく,拗れた結果,大きなものが必要となったけれど.

春希の決して壊れたりしないという宣言も,壊れたら護ってみせるというかずさの宣言も,浮気ルートがあったからこそ引き立つ.浮気ルートにはなかった決心こそが,二人が進む茨の道をきっとコーティングしてくれる.自分たち二人以外を傷つけることとなる,そしてだからこそ二人も傷つくことになるいばらの道を.本物の親友だった武也さえも捨てて二人だけの未来に向かう.

武也が言うようにきっと雪菜に言えば3人の未来があった,雪菜ルートのようになっていた.けれど春希が信じるように,雪菜ルートのようにそれはかずさを愛せない道だった.たぶんほんのちょっとの時系列の前後で未来は簡単に変わってた.

 

雪菜を徹底的に裏切ったからこそ,ここまでで先に雪菜の人としての凄さ,すばらしさを見て来たからこそ,その優しさが何よりも辛い.日常生活もままならないほど壊してしまったことが辛い.もう3人は無理なんだ...雪菜ほど二人は強くないんだよ...

雪菜ルートではかずさが3人「だけ」の世界から広がった「3人」の世界へと踏み出したけれど,その逆は無理なんだ...すでに得たものを捨てるなんて普通はできないよ...春希はそれを捨ててまで手に入れたいかずさがいた.けれど雪菜には...代償にはあまりにも大きすぎる.

もうここからは語るに足りません.雪菜の失踪で春希が近くにいなくても,かずさは戸惑うことも,恐れることもない.だってそれはかずさを護るためにいないのだから.もう涙は枯れた.最期までかずさの,春希の幸せを願ってしまう雪菜にも.雪菜が生きててよかった…

 

エピローグも,平気な顔してみてたら曜子さんの母としての強さを見せつけられやっぱり泣いてしまった.もう枯れてたけど.

3人はバラバラになったままだったけど,きっとまた近い日に再会できるだろう,そんな素敵な未来を授けてくれて嬉しい...

個人的TRUEというかなんというか,あってほしい未来.

 

=幸せへと続く道(雪菜After)=

猜疑心とかそういうちっぽけだけど,二人にはあまりに大きかった試練もなくなって,また3人へと,7人へと戻って,さらには母と小木曽家という家族が増えた後の,二人が新居に引っ越すまでの,さらに新しい家族が増えるまでの物語.

ああ幸せだなあ,そう感じられるAfter.どうしようもなく幸せで,今までだったらこの後どんなどん底があるのだろうと思ってしまうような未来.だけどたぶんここが今から先のどん底で.二人は,みんなはもっともっと幸せになる.喧嘩しながらもすぐ仲直りして,また喧嘩して,仲直りして.

 

=不倶戴天の君へ(浮気After)=

かずさとはもう二度と会えない.それでも,あれほど裏切った雪菜は愛してくれている,支えてくれている.エピローグまでの,春希が立ち直るまでの物語.雪菜とかずさの大喧嘩.

どれほど雪菜は優しいんだよ...大好きだから,二人が一緒になる未来を夢見てとかそういうのじゃなくて,ただ春希くんがもとのお節介で,融通が利かなくて,説教癖が会って,決して誰も見捨てない,そんな春希くんに戻ってほしいという純粋な願いから看病する.雪菜の尊さがひしひしと感じられる.

骨髄移植をしようとするかずさ.けれどかずさに最後に残ったピアノまで取り合出てしまう可能性が億が一でもあるならそれは何があっても許さないという曜子.一夜明けてこれをプレイして,涙は復活してましたね.

時が経つにつれ,行かなくちゃとそれが義務感に変わり始める雪菜.そりゃそうだよなあ...辛いよなあ...ましてや目の前の相手が大好きで,その大好きな相手が自分じゃなくって.そして雪菜まで壊れ始めたことに,半年前の自分に優しい春希が気づかないわけもなくて...

かずさも,お母さんとピアノ以外のものはすべて失って...母のための最期の演奏を一人で頑張るしかなくて...

 

結局3人は3人でしか立ち直れない.6年前の問題は3人が一緒にいたことで起こったんだから...だから,3人はお互いが大好きだから,決して離れられない.だから,雪菜がかずさに連絡をしようとしたとき,時差の関係から先にかずさから電話がかかってきたこともきっと必然なんでしょう.二人がそれほど追いつめられて,追いつめられたときには春希がいない今は頼る相手がお互いしかいなくて.そして二人はようやく勇気を出して,正直になって不安をぶつけあう.

雪菜は春希を救えないかもしれないこと.かずさはそんな事実を認められないこと.ピアノがあれから全然うまくいかないこと,お母さんの事.泣いて泣いて泣いて,お互いに責め合って.中学生みたいな喧嘩をして,一夜だけ親友に戻った.電話を切ればきっと不倶戴天の敵同士に戻るけれど,それでも二人は6年の時を超えてようやく仲直りする.

 

はっきりいって雪菜Afterは見ても見なくてもよかったけど,これは見て本当によかった.わけわからないくらい泣いた.二人の喧嘩とか,最後のかずさの,ざまあみろなんて泣かない人は世界にいないでしょ...かずさからの春希と雪菜への3人にだけわかる伝言.不倶戴天の敵への死ぬまでの宣戦布告.雪菜派だとかかずさ派だとかそういうのが馬鹿らしくなるくらい,春希には敵わないかもしれないけれど,それでもそれにちょっとしか劣らないくらいには二人のことが大好き.よかった,もう一度かずさが日本に来てくれて.よかった3人がいがみ合いながらも仲直りしてくれて.

不倶戴天の君へまで含めると浮気ルートが一番泣いたし,好きだあ・・・・・

 

=幸せへと戻る道(かずさAfter)=

二人がウィーンに行ってから3年も経って,そして日本に再び戻ってきたときの二人の結婚式のお話.

か!ず!さ!,か!わ!い!い!!!!!

半年前,ウィーンまで愛に来てくれた雪菜.なんていい子なんだ...小木曽家が納得してなかったら曜子さんがわざわざ説得しに行って,それでも聞き入れてくれないから雪菜まで説得して...だからもう日本にいれない理由はないと.

式場が第二音楽室で,またここから3人が一緒になる.最高.そしてかずさのウェディングドレス,ほんとにきれい…

友人1,2,3も大好きだぜ...

 

 

=最後に=

どの未来がTRUEなんですかね,GRANDなんですかね,人気なんですかね.ええ,わかっています.もちろん人それぞれですし,きっと(仮に数値化できるとしたら)幸せなのは雪菜ルートなのでしょう.でも私のように何度だってかずさルートを選んでしまう酔狂もいるわけです.雪菜ルートはかずさが最後に言っていたような3人の,平均を取った幸せで,きっと最も幸せな道.しかしたった一瞬かもしれない幸せのために人は多くの悲しみを背負うことだってあるじゃないですか.たったひとかけらの幸せのために,多くのものを犠牲にしたっていいじゃありませんか.もちろん最低な道ですよ.それでも私のように最低な,自己中心的な人間はそんな未来を時として,そんな選択をしてしまうんです.

そして,私的には(Afterも含めると)浮気ルートが一番好みな展開.幸せかは置いといてね.

 

 

そしてさらに最後に.私はいつまでもふらふらし続ける北原春希が大嫌いだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!けれど,雪菜もかずさも素敵な人で,好きになってしまう気持ちだけは理解できる...し,そして本心から自分以外の二人を大切にできる春希がすごいと思う……

雪菜大好き!!!!!かずさ大好き愛してる!!!!!

以上!