えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

サクラノ刻の感想及び考察

 

 

=全体の感想=

傑作。すべてやり終えた時の感想は「ああ、死にたいなあ」でした。一つは素晴らしい作品が完結してしまったことへの喪失感。もう一つはこの満たされた感覚のまま死んで行けたらどれほど幸せなのだろうという期待感。時々思うことですが素晴らしき作品は人を殺しますね。

世間が約10年続編を待った今作。詩を今年やったばかりなのにプレイしていいのだろうか。贅沢というよりは、こんな勿体ない消費をしていいのだろうか。でも結局プレイを遅らせたところで「もっと早くプレイしておけばよかった」とも後悔する未来も見える。何事にも影響されやすい自分だからこそ、インパクトの強い作品は少しでも早くプレイしておいた方がいいかもしれない。そう正当化しつつお盆休みにプレイを開始…

唯一の懸念点は直哉が女子高生に手を出しまくる展開を見たくないことでした。教師という聖職者なんだし、一人、心に決めた人ならまだしも、いくつものルートで複数の学生にっていうのは見たくありませんでした。が、なんとその懸念点など気にすることはありませんでした。万歳!

一応はこの作品からプレイしても物語の流れはある程度わかるようになっています。しかし、これはやはり草薙直哉と夏目圭の物語なので、必ず前作はプレイしなくてはなりません。サクラノ詩は草薙健一郎に捧げる鎮魂歌なら、今作は夏目圭に捧げる物語。そしてサクラの詩が天才たちの物語なのだとしたら、サクラノ刻は天才たちとその悪魔に魅入られた凡人たちの物語。

 

おすすめ順は

真琴→心鈴→TRUE

短期間でやるなら心鈴から。まあ正直TRUEは確実に最後なのでなんでもいいと思います。

 

好きな順は

心鈴<<真琴<<・・・<<TRUE

まあTRUEというか正史には勝てないでしょう。いわずもがな。

 

話はそれますが、素晴日々、詩、刻と哲学的要素がだんだんと薄くなった気がしますね。もちろんわざとだと思いますが。

 

=共通=

=Ⅰ La gazza ladra=

ムーア展。その言葉だけで胸が詰まる。圭の死を思い出す。全くの他人である私が圭の死を乗り越えていないのに、直哉が圭の死を乗り越えられているのだろうか。

カササギと陶芸。まずは真琴からか。。。

 

あたりまえだけど前作までの登場人物の紹介があるわけで。それを見るだけで胸が詰まる。優しい人達の愛を受けて今を生きるみんな。ただ単に私個人が不安定な気もする。

 

前作以上に恩田家の話が深堀りされている。。。これは恩田家いっぱい出てくる?

 

夢は多ければ、多い方がいい。その種は多ければ、多い方がいい。健一郎らしい傲慢な、実を伴った言葉だ…

 

当初は真琴の物語だと思っていた第1章。終わってみれば、サクラノ詩を継承する素晴らしい導入となった1章でした。芸術なんてなにもわからないけれど、それでも息を呑むほど美しいモネの贋作。物語でも語られるように、作品だけでなく、その物語に恋をした、ということなのでしょうけど。そして何度も見た健一郎の描いたオランピア。も。この、前作ではその姿が見られなかった贋作を見るだけで今までの物語が思いだされて、静流に似た直哉が思い出されて自然と涙が出てくる。

麗華のことはどうしても好きになれないけれど、それでも自分らしく、自分として生きていきたいって心底願って足掻く気持ちはわかるなあ。麗華のことが好きになれないのは直哉の、圭が大好きな立場だから。何もなしにこの経緯だけを知ったら、麗華にとどめを刺すかのような静流のことの方が嫌いだったまである。どういう風に思っても、自身の傑作を壊せないのは芸術家らしい。芸術家を知らないけどそう思う。

いややっぱり、偽物とわかっても静流との友情のためにそれを何としてでも手に入れたいと倒錯してしまった麗華は憎めないかもなあ。

 

そしてED。OPの前にEDがあるとか斬新だな!

 

=Ⅱ Картинки с выставки=

偽りの美がこれほど美しいのなら、本物なんていらないのかもしれない。長山香奈のこの一言はサクラノ刻全体のテーマになり得るのかな?それほど重要に聞こえた。偽りばかりを創ってきた直哉の作品は何よりも美しい。

その直後に挟まれる一女学生の直哉への告白。本物と偽物に拘る女学生とそれを達観したように断る直哉。直哉のはっきりとした成長はたびたび健一郎も言及していた本物と偽物の差の認識として現れてるんだなあ、良くも悪くも。もちろんそれは高校生の直哉も「知って」いたけど「わかって」いなかった。まあ女心はいまだにわかっていない直哉さんなんですけど。

 

正直、詩で出ていたヒロインのこと覚えてないーー。奈津子と桜子なんて顔全く同じじゃないか。ルリヲと鈴菜は妹sなのでOK。

きっと明け透けな恋心は否定されるための布石なんだろうなあ。簡単に惚れてくれるなよって感じだし、プレイヤー目線だと。まあでも桜子はヒロインなんだろうな、稟とも似てるし。

 

藍の回想はずるいなあ。詩での冒頭の背景が出た時には涙が止まらなくなった。藍の健一郎に対する恋心が生涯消えないだろうこと、これは後々大切になるなあ。

二人をちゃんと見送った、か。圭は見送れてないもんな。

直哉の藍への愛は、情愛とか性愛とかそういうものを全部乗り越えた愛で、好きだなあ。

 

寧ちゃん来た!そりゃ来なきゃね、圭の妹なんだし。そうか、直哉はその出自を知らないんだね。。。

 

ゴール無き道だから歩き始めたならそれでいいっていう校長の言葉、めちゃすこ。

 

圭と直哉の過去。圭が話すシーンなだけで涙がちょちょぎれますよ。ずるいよ、直哉が筆を折ったときの出来事を続編である今作になって初めて詳しく描写するなんて。ああ、これは草薙直哉が夏目圭の死を昇華する物語なんだ。

 

本間心鈴。麗華の娘だなあ。明らかに。弓張が好きっていうのに裏がないことを祈る。私は心から心鈴を信じる。

酸化シリコン、アルミナ、ヘマタイト、なんで口に含んでその組成比がわかるんだ。。。ちなみになんて読むんですか。

 

展覧会で、世間の人が圭のことを知って褒めてくれて、それだけで目が潤んだけど、最期に1枚見て帰ろうとなったところで、みんなが圭の向日葵を見てくれて、涙が止まらなかった。

 

OP。別に好きじゃないけど泣きながら見ていた。きっと好きになっていくんだろうな。

 

=Ⅲ Night on Bald Mountain=

ここでいったんタイトルに戻ったんですが、やっぱりこれは圭はもちろんとして、稟や雫や藍の物語なんですね。タイトルを見るに案外短くて5章くらい?3,4,5でこの3人かもしれませんね。

 

初選択肢。心鈴はヒロインなのか。まあ麗華の話掘り下げてたし当然か。みすゞじゃないだろうな。

え?その理論で行くと校長ルートあるん。。。いやこれは心鈴の好感度選択肢か?

 

えー心鈴でみすずって読むの!?ビンゴじゃん。。。

 

校長が言うように、天才性が人間性に伴って与えられていたら、きっとこの世はもっといい世の中になってるでしょうね。いや天才性が人間性を歪ませることもあるからどうなのかしら。

苦痛と快楽は紙一重というのは間違いない。はっきり言語化できないけど。

 

学びたい場所がある、そこで学ぶための能力もある。しかし運のために、心鈴の場合は出自で、それが叶わないってどれほど悔しいのだろうか。いやそれを言うならば、その才能も運の末かもしれないけれど。

 

あら~久しぶり、真琴。といっても直哉からすればそんなに久しぶりではないんだろうけど。確かに大人にはなったけど、根本が変わってなくて嬉しいな。こういう細かなところ、大好きだな。

 

今まで何度も寧の集中力の卓越性を描写してきたから、心鈴との一件の次の日、扉の開閉音にぱっと気づくことで、不安定さを表す。結構ありがちなのかもしれないけどすこ。

寧から語られる圭との関係。直接会ったのは葬式の時だけかもしれない。けれど確かに圭から寧に受け継がれたものがあって、もう涙がね。。。乗り越えられないよ。そしてそれ以上に受け継いだのは心鈴か…心鈴を助けるために圭が死んだとしても、それが本間じゃなかったら、自分以上に才能があるわけではなかったら、ここまで寧が恨むこともなかったのかなあ。まあ対戦相手が心鈴であった寧と、美そのものであった心鈴とでは結果は見えていたのだろうけど。皮肉なもんですね、血だけに拘っていた麗華の娘が血など気にせず美に拘り、圭の妹が血に拘るなんて。でも幸運だったのは、心鈴の圧倒的才によりそれに気づけたことでしょうか。

 

放哉は圭を殺したのは音量である直哉というが、そんな馬鹿な。言いたいこともわかるがそんな関係性じゃないでしょうに。むかっとくる。

直哉と圭の関係を引き継いだかのような心鈴と寧。でも決して一緒ではなく、そしてあくまで主人公が直哉たちというのもいい。。。

 

=心鈴=

=Ⅲ Der Dichter spricht=

ここも3章ナノ?とにかくおめでとう寧。ところでこれ寧ルート?心鈴ルート?

 

アリアのアナグラムももう一度させてくれ。氷川か?氷川なのか?いやでもHIKAWARINA→ARIA + HIKAWANだしなあ。

 

自分のために料理教室にまで通って京料理を作ってくれる。これはきゅんとしますね?直哉。この真っすぐさはいくら大人びているとはいえ高校生だなあ。

夜の会話、動物園デートからしても、直哉の好意も感じられたけれど、直哉は芸術家以外と結ばれてほしいなあ。これは単なる我儘。まあ芸術家じゃなければ、こんなにもスムーズに心鈴と結ばれることもなかったのだけど。果たしてそれは愛なのか。いや愛なんだろうなあ、私の性根が曲がっているだけで。ただ、一生に一度しか告白しないって決めてる、そういう直哉を見れたのはうれしい。これすごい強気だよなあ。振られることがまったく考慮されていない。さすが直哉と健一郎。

 

心鈴と結ばれるために、相応の人間と思われるためにムーア展優勝を狙う?それは違うだろうが。。。と思ったのも束の間、藍が言いたいことを全部言ってくれた。

 

なんか落ちは芸術チックではなくてあんまり好きじゃなかったかも。エッチなところはハチャメチャすぎてめちゃくちゃ笑ったが笑。直哉が大人だったなあ。いや違うな、圭のことをいつの間にか忘れているのが気に入らないのか、受け入れたのではなく。

これは芸術家としてではなく、教育者としての直哉の物語、才能ない者も芸術に関わってもいいのだというライターからの救済というわけですかね。夏目、草薙、恩田と中村、本間の軋轢がなくなったということが本間心鈴が弓張の制服に腕を通すということで端的に表現されていてよかった。両者の違いは直哉の存在なのでしょうか。その裏に校長の画策のような裏切りの物語はないわけだし。最も幸せなENDなのかもしれないなあ。他の結末をまだ知らないけど。

健一郎と礼次郎の出会い。やはりこれは序章なんだろうな。連続と連続の間の不連続。美を知る健一郎と商に身を置く礼次郎の出会いで物語が幕を閉じるというのも、このルートのテーマ性を端的に表しているようで好きですね。もちろん礼次郎の言うように身を置く商の中で悪徳の美を為していたわけですが、ここでは芸術的美という意味で。美しい刻の中で語られた詩。

 

=真琴=

=Ⅲ kibou=

正直言うとヒロインが誰かがわからない。。。ので心鈴を避けつつって感じで13シーンで心鈴が4つなので3ヒロインと少なめと思うんですが。ちなみにBADの感想は書きません。まあいらないでしょ。

 

おお、真琴がヒロインっぽい。残るは藍かな。

やっぱり、あの頃、10年前を語らずに前になんか進めないと思うんです。筆舌しがたいほど圭の、親友の死は重いものだと。充実していることと、過去が美しかったことは関係ない、真琴の言う通りだなあ、だから誰しもがノスタルジーを感じるわけで。

 

ちょっとした運の差で碧緋の真実にたどり着けなかった真琴。ほんのちょっと、本当にもう少しだけ風が吹けば程度のもの、努力も方法も間違っていなかったのだから。どんな気持ちなんだろうか。もちろん私も運でそういったものを逃したことがあるけれど、同じ気持ちなのだろうか。私の場合、自分ではそう思ってるだけで運ではない可能性も大いにあるけど。ここで笑って採取しようとできる真琴。すごいなあ。

あの時止まってしまった青春時代の続き?でもあくまで処理だと強調するのが真琴らしい。直哉が流されたのはどういう心情なのだろう。真琴への恋心は少しはあったのかな?

そして結局、それを目の前にしても土を取りこぼしてしまう真琴の運命。

 

真琴は自分が部外者なんだというけど、圭の過去に関して直哉が部外者である一面もあるんだし、あまり思いつめないでほしいなあ。

 

雪景鵲図花瓶を欲しがる麗華の真意。これを心鈴ルートで描かなかったのが不思議だったんですが、こっちで描くのかー。

幾望と既望。そして納得はすべてに優先する。

 

40度750ml。うーん1.5から2本が限界か。。。恐るべし静流さん。ショット勝負で7割までいける直哉もすごいけど。45度750一気は全人類死んじゃうよ校長。。。スピリタスに関してはなんで飲めるんだよ。これも才か。直哉の才というものへの説得。

満月と6ペンス。ゴーギャン好きだねえ。作者はゴーギャンじゃないけど、人は~のやつといい。

 

麗華はただ、親友の静流の才を自分で世に知らしめたかっただけ。二人で世の中をぎゃふんと言わせたい。なんて子供らしい夢。そんな子供らしい夢を引きずるしかなかったのか。涙。

 

最後の最後に結婚指輪を渡す。しかもそのBGMが前作のED。最高かよ。

EDの高校時代の黒塗りの写真が好きすぎてもういっちょ泣いた。

 

=共通2=

=Ⅳ Mon panache!=

夏目圭の過去。圭と心鈴との出会い。

色々書いていたけれど、保存し忘れで消えてしまった。最後に描いたのは、圭の最期が羨ましいということでした。死の間際笑顔を浮かべ、自らの人生が幸せだったと心から言える幸福。羨ましい。

 

=Ⅴ D'où venons-nous? Que sommes-nous? Où allons-nous?=

芸術家、草薙直哉の帰還。。。奉仕の時間は終わりか。放哉の描いた絵が実現したTRUEか。。。

 

誰でもできる凡庸な作業。それを非凡な回数塗り重ねた末の作品。かつて右手を奪われ、圭を失い、凡庸と非凡に挟まれた教師生活を過ごした末の結論。圭の向日葵からのメッセージ。

 

やっぱり?氷川がアリアだった?ホーがhawだとは知らなかったからわからなかった。氷川もただただ天才草薙直哉がもう一度飛ぶためだけに。わかってたけど来るものがある。圧倒的天才の前では、その才能を開かせるために人は自身を犠牲にすることができる。残酷な真実だなあ。自分だけじゃない、愛する川内野さえも犠牲にしているんだから。

 

たびたび語られる春日狂想。どうして今まで前半部のみでそれでも生きてしまったときの部分を書かないのかと思ったら、ここで書くのか。母から直哉への生きろという呪い。

藍と直哉のシーンはわんわん泣いた。約束が辛いなら約束はしない。ただ誓う。必ず帰ってきて藍の傍にいる。そんなことはいい。だったら私より長生きしてくれ、そう誓ってくれ。家族愛、友愛、性愛、情愛。ありとあらゆる愛が一緒くたになった、私にとって理想的な愛。

 

稟のムーア最高賞返還。放哉すら予想していなかった展開だろう。直哉の亡霊が直哉に代わり、物語が動き始めた、面白過ぎる。明石も描き直してやれよ笑

 

やっぱりさ、藍じゃなきゃだめなんだよなあ。。。

 

長山香奈。お前は私たち凡人なんだ。かっこいいぜ、放哉なんてやっちまえ!

香奈もただ凡才の立場で直哉に筆をとらせるために。そのためにブルバギに。

 

香奈との勝負。ここで藍だけが気づいていた右手かよ。神かよ。そしてなんて楽しそうなんだ、直哉。なんてかっこいいんだ、香奈。ただこの一瞬のために。草薙直哉の尻を叩き、勝負方法をライブアートにし、執念で氷川を打ち破った。天才たちの物語だったサクラノ詩が、香奈によって天才と凡人の物語に昇華された。

 

千年桜伝説。やっぱりここに戻ってくるのか。これは売れたから作られた続編では確かにない。

トーマスも藍も明石も直哉もかっこよすぎるよ。ここで直哉のボイスをつけるのも粋すぎる。

以降は言うことは何もないです。感想を書くのも烏滸がましい。

 

=Ⅵ 櫻ノ詩ト刻=

次回作があるとどこかで見たけれど、ここからなにか発展させるものがあるのだろうか。エルの物語なのだろうか。ひとまず私の中ではサクラノシリーズは完結したと思っておこう。IとKとL。Jが直哉なんだろうけど何故Jなのか。