えす山の日記

自分用のゲームの感想日記とか

美少女万華鏡-忘れな草と永遠の少女-の感想および考察

 

=感想=

素晴らしいADV。これはゲームという要素をものすごく生かしたノベルゲームだと思いました。

今度の相手は引っ越してしまった幼馴染。秒速5センチメートルかなあ!?

死んでるもんだと思ってた、タイトル的にも。どうしよう、今の心臓が雫の心臓だったらと思ったけど。音信不通だったのに急に表れてこの態度なのは、それはそれで怖い。このことに関しては彰人の言うとおりだよ。

結局トリックは二人が結ばれてすぐくらいにわかるのですが、、、普通に怖かった。怖さを漂わせるのうますぎないですか?

1周目からGOODルートにいってしまったので、なんというかちょっともったいない気はしているんですが、、、まあよかったですね。勘違いからレイプしてしまった彰人は雫が自身を愛していた事実を知り、自死しようとする。それを助けようとした雫は彰人とともに命を落としてしまった。罪の意識からあの世を彷徨い続ける彰人はついに雫と出会い、二人はともにあの世へと向かう。なんという神。好みが過ぎる。

2周目は実は二人とも死んでなかったよルート。でもこのルート、いろいろとおかしいんだよね、たぶん。めぐみと甲児が普通に仲良かったり、アニメ好きだったり。いやまああの仲が悪い二人も空想世界のことだから嘘な可能性はあるんだけど。

3周目はもう一度逃げ出してしまうやつ。特になし。

4周目はめぐみと関係を持っていたことが明らかになる世界。えぇ、お前屑すぎんか?くるってよし。

 

=考察=

さていろいろヤヤコシイ結末ばかりです。3周目は空想世界に再び閉じこもっているだけなのでさておき、他では

まず

1.彰人と雫のすれ違い(現実)

2.彰人、自殺未遂の末、寝たきりに(現実)

2.5.寝たきりの彰人、空想の中で空想世界にいること、自らの罪に気づく(空想世界)

3.雫、2年間、現実で看病(彰人による再構築された空想)

4.彰人、目を覚まして、また4人で過ごすように(彰人による再構築された空想)

これがおそらく2周目ルートで、表層的TRUE。

一方で1周目は

1.彰人と雫のすれ違い(現実)

2.彰人、自殺未遂の末、寝たきりに(現実)

2.5.寝たきりの彰人、空想の中で空想世界にいること、自らの罪に気づく(空想世界)

3.空想世界の中で、真実を気づかせようとしていた雫の魂とともに成仏(空想世界)

4.彰人、めぐみが二人のお参りに(現実)

4周目は

1.彰人と雫のすれ違い(現実)

2.彰人、自殺未遂の末、寝たきりに(現実)

2.5.寝たきりの彰人、空想の中で空想世界にいること、自らの罪。さらにめぐみを性欲のはけ口に使っていたことに気づく(空想世界)

3.目を覚ます彰人だが、もうすでに正気ではなく裸エプロンで歩き回る(現実)=雫とともに暮らす(妄想)

以上の()内は私の中の想定です。個人的には2周目は寝たきりのままなんだと思います。というのもだったら1周目で墓参りにきてる二人は誰視点なんだとなってしまう。いや神視点なんですが、この世に彰人がいない世界では彰人が見れるわけがない。つまり万華鏡に存在しないんですよ。だからこそ実際ED後に二人のお参りの追加シーンが挿入されるわけです。

だったら他ルートもED後の挿入なのは何故なのか、となるわけですが、それはおそらく空想世界が再構築されて、万華鏡では追いきれなくなったからと考えます。これらのルートの世界では彰人が生きているため、彰人視点が存在してよいため、ED後に挿入されていても問題ありません。

つまりED後に彰人が死んだ世界が描写されているというのが、個人的にはどれが正史なのかというのを考えるための肝だと思っています。

まあ作者がそこまで考えず、我々プレイヤーが考えすぎなだけかもしれませんけど笑

 

もう一つ。では仮にナイフの用途が自殺だったとして、それがなぜ空想世界で埋まっていたかですが、それは単なる事実からの逃避でいいんじゃないかと思います。完全に忘れていなかったのは罪の意識。変に考えると、雫を刺したのが現実と考えてしまいそうになりますが。

 

最後に勿忘草の意味。一つは単純に永遠を示すための道具。ただ個人的には、それを示すためだけには深堀されすぎているような気がしました(そのためだけなら花のプレゼント程度でも問題ない)。子供のころに植えた勿忘草があれほどまでに群生していること。つまり溢れんばかりの永遠の愛が彰人の前に現れて、それを彰人が気づいて、彰人は初めて現実と向き合う。それは現実でも雫が、例え直前にレイプしたという事実があってもなお、自分に愛を送ってくれたことを思い出すということに等しいのだと思います。それほどまでに真っすぐで揺るぎない愛は、きっと永遠のものでしょうから。

 

まあ以上つらつらと書いたのはそれほどまでにこの作品がすきだからでしょう。1作目は文字通り永遠を生きる二人。2作目は成仏して紡がれる永遠の愛。4作目は永遠に続く愛し合う双子の呪い。てなところでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと気になるのは、ではどうして空想世界の中で、現実のように無視してきたりする二人を作り出したか、です。非常に分からない。空想世界ならそんなこともしなくていいのに。仮に現実で見たのだとすれば、時系列は合わなくなりますし、(こじつけて考えるなら)これもまた罪の意識なのかなと思ったり。

めぐみとのことをどの程度思い出すかで分岐ってのは商業的な観点でやったんだろうか。

あれ?結局穴が多いのか?いやでもプライヤーに考えさせるだけで、もうADVとしては傑作か。